表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
593/736

444 優勢

 オレは鍛冶師(見習い)ノギナの作った剣を構え、ダルクローアの触手を次々と斬り裂いた。

 運が良ければどんな物も斬れるとあるだけあって、かなりの強度の触手も簡単に斬れる。

 まあ、運が悪いと斬れずに弾かれてしまうが、そこは何とか立て直して攻撃すればいい。


「一体何なのですか、その剣は? 私の持つ情報の中に、そのような武器はありませんよ。私が伝説級の武具の情報を見落とすはずは······」


 ダルクローアは驚いているが、まあそんな情報あるわけないよな。

 オレもネタ武器としか思っていなかったし。


 アイラ姉のスキルで強化しているとはいえ、神将(ダルクローア)ですら伝説級の武具と思ってしまうような剣を作り出せるノギナって、実は思っていた以上にすごいんじゃないか?



「調子に乗るのもそこまでです。さあ、魔神様の贄となりなさい!」


 ダルクローアが触手の数をさらに増やして、オレに向けて一斉に放ってきた。

 この数を全て捌き切るのは無理だな。


「――――――ウチのことも忘れんといてな〜。神将はん、お覚悟〜!」


 パールスが武器(チェーンソー)で触手を切り、そのままの勢いでダルクローアに追撃した。

 パールスの武器はトゥーレミシアに与えられた特別製らしく、オレでも鑑定することが出来ない。

 触手を簡単に切り刻んでいることから、相当に強力な武器だとわかるが。


「その程度では私は倒せませんよ、〝紫〟の殺戮人形(キラードール)。後ほど彼女(トゥーレミシア)に対する言い訳を考えておかなければなりませんね。私の邪魔をしたので仕方無いとはいえ、彼女の溺愛する人形を破壊することになるのですから」


 武器(チェーンソー)での攻撃を受け止めて、触手でパールスを縛り付けた。

 鋭利な刃物となっている触手がパールスの身体を切り刻んでいく。

 パールスは人形のため血は出ないが、明らかに身体にダメージが蓄積されている。

 このままではバラバラにされかねない。


聖光雷神剣(せいこうらいじんけん)っ!!」


 オレは(神聖剣術)で触手を斬り裂き、パールスを救出した。

 (神聖剣術)はやはり強力で、触手を伝い、奴にもダメージが入っている。



 追撃を警戒したのか、ダルクローアが後ろに下がった。オレはその隙にパールスを抱え、距離を取った。


「ぐっ、まさか貴方までこれほどの強さを秘めているとは······。私の見通しが少々、甘かったようですね。ならば、これで死になさい!!!」


 ダルクローアが無数の触手の先に魔力を集中させて、魔法攻撃を放ってきた。

 神樹の迷宮に出てきた植物の魔物も似たようなことをやってきたが、全ての触手から魔法を撃てるって反則だろ。


 ダルクローアの魔法攻撃は、かなりの魔力が込められていて、直撃したらマズそうだ。

 だが、四方から放たれているので逃げ場がない。


 転移魔法で回避しようと考えたが、奴の魔法攻撃はオレ達に当たることなく消滅した。



「――――――魔力をありがとな〜、神将はん。おかげで身体の修復出来るわ〜」

「ちぃっ、忘れていましたよ。〝紫〟には魔法が通用しないことを」


 どうやらパールスが防いでくれたようだ。

 パールスは(魔法分解)など、魔法関連の特殊なスキルをいくつか持っているので、それを駆使して奴の攻撃を吸収したのか。



「エンドレスフレイム!!」

「ディプソード·プリズン!!」


 エイミが「炎」、ミールが「氷」の最上級魔法をダルクローアに向けて放った。

 ダルクローアは触手を集中させて、それらを防ぐ。


「聖魔退斬剣っ!!!」


 そこへ、さらにルナシェアが(聖剣術)で追い打ちをかけた。

 オレの(神聖剣術)のダメージが結構効いているようで、ルナシェア達の追撃に表情を歪めている。

 これはチャンスかもしれないな。


「覚醒前の聖女や出来損ないのハーフエルフが、私を愚弄しないでいただきたいですね······!」


 だんだんと余裕がなくなってきて、本性が出てきたか?

 まだ口調は丁寧さが残っているが、相手を蔑む言葉が目立ってきている。


 ダルクローアはエイミとミールの魔法を弾き飛ばし、残った触手をルナシェアに伸ばした。


「ルナシェア、下がれ!」

「レイ殿、後は任せたであります!」


 オレはルナシェアを襲う触手を斬り裂き、それらを駆け抜けてダルクローアの下まで迫った。


「くらえっ、神翔(しんしょう)斬鉄剣(ざんてつけん)!!!」


 渾身の力と魔力を込めて(神聖剣術)を放った。

 ダルクローアは触手を一点に集中させてオレの剣を防ごうとしたが、ノギナの剣はそんな防御(ガード)を物ともせずに触手ごと奴の身体を斬り裂いた。


「ぐはっ······!? 私の身体をそうまで容易く斬るとは······」


 上半身と下半身が泣き別れした状態となっているのに致命傷には至っていないのか。

 というか下半身の方も意思があるかのように動いている。正直、かなり気持ち悪い。

 放っておくと再生してくっつきそうだ。



 さらに追撃をかけようと思ったのだが、今の剣技でノギナの剣の刀身が粉々に砕けてしまった。

 やはり(神聖剣術)は強力過ぎて、武器の方が耐えられなかったか。

 ノギナに今度謝っておかないとな。



 それよりも悠長にしてはいられない。

 奴が再生する前に無力化しなくては。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ