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440 殺戮人形と冥王

 話によると、もうほとんどのエルフ達がダルクローアの洗脳から解放されたみたいだ。

 冥王や幽体(レイス)達の憑依する能力で、体内の魔虫を無理矢理に除去出来るらしい。

 かなりの荒業のようだが、寄生されて日が浅ければ特に後遺症なく魔虫を体外に排出出来るとのこと。


 冥王達が味方してくれたことは、エルフ達にとって本当に幸運だったようだ。




「――――――久方ぶりやな〜、〝透〟の冥王はん。その節はご迷惑おかけしましたわ〜」


 パールスが冥王(テュサメレーラ)に声をかけた。

 なんだか少し馴れ馴れしい感じだけど、パールスは冥王と面識があったのか?


「げっ、なんでここに〝紫〟の殺戮人形(キラードール)がいるノサ? この件に〝人形使い(ドールマスター)〟が関わっているなんて情報なかったはずだケド」


 パールスの顔を見るなり、冥王は表情を歪めた。

 どうやら面識はあるようだけど、あまり親しい関係でもないみたいだな。

 寧ろ、すごく嫌そうな顔をしている。

 パールスの方はいつも通りのニコニコ顔だけど。


「――――――ご心配なく〜。創造主(グランドマスター)はエルフの里の件には一切関わってへんで。今のウチは主人(マスター)に仕える奉仕人形やさかい」


 そう言ってパールスがオレに腕を絡めてきた。

 奉仕人形というのは初耳だぞ?


「ちょっとフルフル、これは一体どういうことサ? 聞いてないケド」

「そ、それが······私にも何がなんだかサッパリで······」


 冥王が視線を向けるが、フルフルは困った顔をするだけで答えられずにいる。

 すると冥王は今度はオレに視線を向けてきた。



「人族の勇者が殺戮人形(キラードール)の主人ってのはどういうことダイ? キミ、コイツの恐ろしさは知っているのカナ?」

「どういうことって言われても困るんだけど······。ただ、成り行きで懐かれたとしか言いようが」


 フルフルにも似たようなことを聞かれたが、オレ自身が何故人形娘達に懐かれてるのかわからないから答えようがない。

 それと、レベル900を超える人形娘達が恐ろしい存在というのはわかるが、冥王ならどうにか出来るくらいの強さじゃないか?

 いや、逆に言えば冥王(クラス)じゃないと対処出来ないってことでもあるか。


 そんな人形娘を従えているというのは、冥王から見ても異常なことなのか?



「――――――ウチだけやないで? エルフの里(ここ)には来とらんけど、サフィとヴェルデも主人(マスター)に付き従っとるんや」

「サフィってのは知らないケド、ヴェルデってのはひょっとして以前、冥界で散々暴れてくれたあの〝緑〟の殺戮人形(キラードール)のことカイ?」


 人形娘達のことを髪や翼の色で呼んでいるのなら、〝緑〟というのはヴェルデのことで間違いないだろう。

 冥界で散々暴れたって何をしたんだ、ヴェルデは? 状況が理解出来ない。

 そもそも冥界って普通に行けるような所なのか?



「〝人形使い(ドールマスター)〟はキミ達が人族に仕えてることを知っているのカイ? 彼女がそんなことを許すとは思えないんだケド」

「――――――当然、知っとるで? ちゃ〜んと創造主(グランドマスター)から許可は貰っとるさかい、安心してや」


 一応、トゥーレミシアはそのことを知っているけど、あれは許可が下りてると言っていいのか?

 パールスの話を聞いて、冥王はオレを信じられないモノを見るような目を向けてきた。


「キミ、一体何者? 殺戮人形(キラードール)を従えるなんて、ただの人族の勇者とはとても思えないヨ」


 そういうセリフは色んな人から言われているが、オレは冥王にすら人外認定されるような規格外の存在なのか?





「ま、気になることはまだまだあるケド、〝紫〟の殺戮人形(キラードール)は味方ってことでいいんダネ?」

「――――――そういうことになりますわ〜。それじゃあ、()()()()()()水に流して、よろしゅう頼みますわ〜」

「アレは水に流せる案件じゃないと思うケド。まあ、いいヤ」


 冥界で人形娘達が何をしたのか知らないが、一応の和解が成立したようだ。

 何があったのか詳しく聞いてみたい気もしたが、今はそんな話をしている場合じゃないからな。




 エルフ達の洗脳はほとんど解かれたが、まだ元凶のダルクローアを何とかして捕らえないと解決にはならない。

 それにアイラ姉が相手をしているという凄腕の傀儡兵のことも気になる。



「エイミ、ミール。ちょっといいかしら?」


 学園長が真剣な表情で二人に声をかけた。

 何か大事な話でもあるのかな?


 洗脳が解かれたエルフ達が集まって来て、居心地悪そうにしていた二人だが、学園長に声をかけられて少しホッとしているように見える。


「何でしょうか、学園長?」

「今、アイラさんが相手をしている敵兵のことなのだけど······」


 言いづらそうにしている学園長の様子に、ミールは首を傾げる。

 しかし、その後出てきた言葉に表情が変わった。



「あれは間違いなく、貴女達の父親のデューラだったわ」

 


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