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424 惨劇の真相

 ダルクローアの傀儡と化したエルフ達が襲いかかってきた。

 通常の傀儡兵と比べたらレベルとステータスは低めだが、ただ操られているだけのエルフ達を攻撃することは出来ず、普通ならオレ達は為す術もない状況となる············という流れになると思うが。


「そちらから手出ししてくるのであれば、ワタシは遠慮しませんよ」


 ミールは容赦無く、操られたエルフ達を氷漬けにしていく。まるで今までの鬱憤を晴らすかのように攻撃しているな。奴隷に落とされて酷い扱いを受けていたらしいので、気持ちは理解出来なくもないが。

 殺してしまわないか心配になるが、一応氷漬けにされたエルフ達は生きているようだ。

 さすがに、それくらいの配慮はしているか。


 エイミは戸惑う様子を見せており、ミールのように喜々としてエルフ達を攻撃はしていない。

 エイミの得意魔法は「炎」だから、少し手加減を誤れば大変なことになりそうだし、ミールのように攻撃的な性格じゃなくてよかった。


 パールスも下手に攻撃させたらエルフ達を殺してしまいそうなので、手を出させないようにしている。

 だから今はミールの無双状態となっていた。


「ヒッヒッヒッ、少しは躊躇するかと思いましたが、容赦ありませんね。貴女からは深い負の感情が見られますよ。やはり貴女はエルフ達に奴隷として、相応の扱いを受けていたようですね」


 自身の操るエルフ達がやられているというのに、ダルクローアはあまり慌てた様子を見せていない。

 ていうかコイツ、ミール達が今までどういう扱いを受けてきたか知ってるのか?

 ミールもその点を不思議に思ったようだ。


「ワタシが奴隷落ちしていることを知っているのですか?」

「ええ、知っていますよ。なにせ、そうなるよう仕向けたのは私ですからね」


 ダルクローアの言葉にミールの表情が変わる。

 明らかに驚きと怒りを滲ませた表情だ。

 エイミも同じように複雑な表情をうかべている。



「メアル、と言いましたか? 貴女方の母親のエルフは。あのエルフはずいぶんと私の邪魔をしてくれましたからね。ならば当然、相応の報いは必要でしょう?」


 コイツは五年くらい前にもエルフの里で何かしようとしていたらしいからな。

 エイミとミールの母親が邪魔をしたというのは、その時の話かな?


「お、お母さんが何をしたっていうの!?」


 今まで黙っていたエイミがたまらず叫んだ。


「精霊達と協力して、私の用意した神具を使い物にならなくしてくれたのですよね。ああ、今思い出すだけで腹立たしいですね。おかげで神具を修復するのに、今の今まで時間をかけることになってしまいました」


 神具······普通のアイテムとは比べ物にならない力を秘めている物だったな。


 話をしていく内に、余裕そうな表情がどんどん歪んでいる。(もともと歪んだ表情だが)

 コイツにとって、相当に腹立たしい出来事だったようだ。


 五年前にもコイツはエルフの里で何かを企んでいて、それに使う神具を二人の母親に壊されたのか。


 神具が使用出来なくなったために、エルフの里から一時的に手を引いていたのか?

 そしてコイツの言い方では、その神具はすでに修復出来ているようだな。


「デューラもあの女エルフに協力して、私の傀儡達をことごとく排除してくれましたね。本当に手を焼かされました。他のエルフ達を手玉に取るのは()()()()()()簡単でしたのに、当時はあの二人によって私の計画は台無しにされました」


 今のコイツの言葉ではっきりしたな。

 二人の父親はコイツの仲間じゃない。

 寧ろ、エルフの里を守るために二人の母親と一緒に戦っていたみたいだ。


「まあ、私もやられっぱなしではありませんがね。なかなかに骨が折れましたが、最終的にデューラを傀儡にすることに成功しましたから」

「やはり、あなたが父様を······!」


 核心を突く言葉にミールが激昂する。

 その反応を見て、ダルクローアは愉悦の表情をうかべる。



「ここまで言えば、もうわかるでしょう? 私の計画を台無しにした報いとして、傀儡にしたデューラに()()()()()()エルフ達を虐殺させたのですよ。傀儡にしたとはいえ、デューラの意思は強く、なかなかに抵抗されましたから、大した数は殺せませんでしたが」


 コイツ、だんだん本性を現してきたな。

 つまりは五年前の惨劇の元凶も、コイツに間違いないようだな。

 二人の父親が狂ったように暴れ出し、エルフ達を襲ったのはコイツに操られていたからか。

 学園長達は操られた形跡を確認することは出来なかったと言っていたが、それはコイツが巧妙に隠したからだろう。



 思ったよりもペラペラ喋ってくれるので黙って聞いていたが、これ以上はもうミールの我慢の限界だな。

 コイツの話は聞いてて不愉快だし、これだけ聞けば充分だろう。


 様子見はもう終わりだ。

 出し惜しみなしの全力でコイツを無力化して、後はアイラ姉や学園長達に尋問を任せて、残りの情報を吐かせ············。



――――――――――!!!!!



 オレが剣を構えて攻撃を仕掛ける前に、ダルクローアの身体が爆散した。

 自爆でもしたのかと思ったが違う。


「············あなたがお父さんとお母さんを。絶対に許さないんだから······!!」


 エイミの全身から、とてつもない魔力が漏れている。今の爆発はエイミがダルクローアに魔法を放ったからか。


 普段のエイミからは想像出来ないくらいに怒りに満ちた表情をしている。

 正直、メチャメチャ怖い。


 ミールに比べたら、ダルクローアに対して怒りをぶつけないかと思ってたが、とんでもない。

 今までは我慢していただけか?

 ミールも今のエイミの様子に驚いている。



 しかもエイミは怒っているだけではない。

 怒りによってかは知らないが、()()()()()()を獲得して、大幅にパワーアップしていた。


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