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413 エルフの里を覆う強力な結界

「フェル、ご苦労様であります。もう元の大きさに戻っていいでありますよ」


 ルナシェアがそう言い、最大サイズだったフェルが子犬に戻った。

 神殿騎士達は村に待機してもらっているので、今回は移動するのにフェルの背中に乗せてもらった。

 転移魔法での移動も考えたが、あの傀儡兵達が待ち伏せしている可能性があるし、邪気の充満している場所に転移するのは危険だと判断したからだ。



 エルフの里に向かうメンバーは、オレとアイラ姉にルナシェア、学園長、フェニア、そしてエイミとミールの7人だ。

 最大サイズのフェルならば、このくらいの人数を乗せても余裕そうだった。




 そうして前回、傀儡兵達と遭遇した場所まで戻ってきた。ここからはフェルから降りて、慎重に進んでいくつもりだ。

 エルフの里は、ここからもう少し先にあるらしい。


「フム、あの集団は姿を現さないな」


 アイラ姉が周囲を警戒しながら言う。

 邪気の濃さは相変わらずだが、傀儡兵も魔物も襲ってくる様子はない。

 この静けさは逆に不気味だな。


 まあ、敵が出ないのならそれでいい。

 誰も体調を崩す様子はないし、念の為、ルナシェアが「聖」魔法で周囲の邪気を弱めながら進んでいく。



 そうして精霊の森と呼ばれる場所までやってきた。ここはエルフの里への入口にあたる所だそうだ。


「エイミとミールの言ってた通りね。精霊様の気配がまるで感じられないわ······」

「こんなこと初めてですわ······」


 学園長とフェニアが周囲を見回し言う。

 オレには精霊の気配というのはよくわからないので、邪気が充満していることを除けば普通の森にしか見えないが、二人の反応を見る限り、やはり普通ではないらしい。



 森に入ると学園長達の言う精霊は姿を現さないが、異形の姿をした集団が現れた。

 この気味の悪い見た目は、間違いなく傀儡兵だな。

 前回と違い、最初からオレ達を排除する気満々の完全武装で現れた。


「現れたな。皆、警戒しろ!」


 アイラ姉が剣を抜き、他の皆も構えた。

 傀儡兵の奴らも警告なしに、それぞれ武器を構えている。



[――――――] レベル200

〈体力〉150000/150000

〈力〉9600〈敏捷〉8500〈魔力〉――――


〈スキル〉

(神将の加護〈小〉)(――――)(――――)

(身体強化〈中〉)(――――)



 前回より数は少ないみたいだが、コイツらは平均レベル200くらいあり、ステータスが少々高めだ。

 コイツらは前回の奴らよりも戦闘特化の精鋭なのかな?


 名前やスキルのいくつかが塗りつぶされたように読めず、完全に能力を把握できたわけではないが、勝てないような相手ではない。

 まあ、いつもアイラ姉に言われているように油断は禁物だが。



 学園長とフェニアはレベル的に、コイツらを相手にするには少々厳しそうなので、オレが二人を守りながら戦った。

 他の皆は、迷宮などでコイツら以上のレベルの魔物を何度も相手をしたことがあるから大丈夫だろう。





 傀儡兵達は前回よりもレベルが高いだけでなく、連携の取れた動きや戦法で襲ってきたが、皆は危なげなく戦っている。

 最後にルナシェアの「聖」魔法を受けて、傀儡兵達は撤退していった。


「フム、逃がしたか。やはり何者かに指示を受けているような動きだったな」


 周囲に敵がいなくなったのを確認して、アイラ姉が剣を収めた。

 アイラ姉が言うように傀儡兵達は息のあった連携を取っていたが、機械的な動きで感情が見えなかった。

 ただ、見えない何かの指示通り、淡々と動いているだけのようで不気味に感じたな。


「エイミ殿とミール殿もずいぶん強くなっているでありますな」

「ワタシ達は神樹の迷宮の守護者と戦ったことで、大幅にレベルアップしましたから」


 エイミとミールがレベル800を超えているのに対して、ルナシェアの今のレベルは510だ。

 ルナシェアも充分強いのだが、迷宮攻略したエイミとミールと比べて、結構なレベル差がついてしまっているな。






 傀儡兵達がいなくなったのでオレ達は再び、警戒しながら慎重に進んでいく。

 しばらく進むと、目に見えにくい壁のようなものが現れた。これが問題の結界のようだな。


「かなり強力な結界ね······。解除は難しそうだわ」


 学園長が結界を確認する。

 幻獣人族の里の結界は対象を惑わし、知らず知らずの内に追い返すものだったが、この結界は対象を完全に拒むタイプのものらしい。

 好奇心に負けて結界に手を伸ばすと、バチンッと強い静電気のような衝撃に襲われた。


「レイ君、迂闊に触っては駄目よ! 大丈夫なの······!?」


 学園長に怒られ、手を見ると触った部分が焼け焦げて煙が上がっていた。

 幸いにも痛みはなく、再生スキルの効果ですぐに治ったが、かなりヤバい結界だというのは理解できた。




 強引に突破することも、おそらくは可能だろうけど、オレでも触っただけで結構なダメージを受ける結界だ。

 他の皆が触ったらどうなるか、想像するだけでも怖い。なんとか解除して先に進みたいな。



 今ふと思い出したが、人形娘のパールスが結界解除は得意だと言っていた気がする。

 一度、転移魔法で王都に戻ってパールスを連れて来ようかな。


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