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404 エルフの里への同行者➁

 聖女ルナシェア率いる神殿騎士団と共に、エルフの里に向かうことになった。

 移動にはリヴィア教会専用の高速馬車を使わせてくれるようだ。以前、聖女アルケミア達とフレンリーズ王国に向かう時に乗せてもらったことがある。

 かなりのスピードが出せるから、通常の馬車よりも早く目的地に着くことができるんだよな。


 エルフの里は距離的にはフレンリーズ王国よりも近いようなので、早ければ一日もかからないそうだ。



「エイミ殿とミール殿が先走った行動を取ったでありますか。それは心配でありますな······」


 ルナシェアに魔人族の情報屋(レッテル)からの話や、現在の状況を説明した。

 本当のところ、二人がエルフの里に向かったのかは未確定だが、状況を考えて間違いないだろう。


 ルナシェアも学園では二人と仲良くやっていたので、先走った行動を心配している。

 何かある前に、早く二人を連れ戻したいな。

 二人はエルフの里までの移動手段はどうしているのだろうか?





「ルナさん、学園長! アタクシも連れて行ってくださいませ!」


 馬車に乗り込み出発しようとしたところで、そう声をかけてくる人物が現れた。

 声の主は学園のクラスメイトのフェニアだ。

 その後ろには取り巻きのエルフの三人娘の姿もある。


「フェニア、貴女達も······もしかして私達の話を聞いていたの?」

「アタクシだって自分なりに情報を集めていましたのですわよ。それくらいのこと掴んでいますわ」


 フェニアも独自に色々動いていたみたいだな。

 兄であるフェルケンやエルフの里のことを、かなり心配していたからな。


「だったらわかっているのでしょ? 里は今、魔王軍の襲撃を受けているのかもしれないのよ? 危険だわ」

「危険は承知しています、アタクシだって戦えますわよ。それに、里にはお兄様やお父様がいますのよ。魔王軍が攻めてきても、そう簡単にやられるはずありませんわ」


 ちなみに今のフェニアのレベルは93。

 アイラ姉と共に鍛えた学園の生徒の中でも高い方だ。並の魔物なら問題なく相手にできるくらいに強い。

 フェルケンの方はレベル100を超えていたし、戦闘技術も相当高かったので、確かに簡単にやられはしないと思う。

 けど、今回の相手は神将という魔王を上回るかもしれない奴なんだよな······。



「············わかったわ。同行を許可するから、勝手な行動を取ることは禁止するわよ」

「良いのか、学園長殿?」


 どうするか悩んでいたが、最終的に学園長はフェニアの同行を許可した。

 アイラ姉が学園長に再確認する。


「フェニアは行動的だから、ここまで知ってしまった以上、拒否しても他の方法で動くと思うわ。だったら目の届く範囲に居てくれた方がいいのよ」


 確かにフェニアは、以前は思い込みなどで突発的な行動することがあったな。

 今は結構落ち着いてきてると思うけど。

 エルフの里の状況がまだわからないのだから、エイミとミールだけでなくフェニアにまで突っ走られたら困るのは確かだ。


 学園長の指示にちゃんと従うのを条件に、フェニアも同行することになった。

 アイラ姉やルナシェア達も了承した。

 皆が了承した以上、オレも特に異論はない。



「フィレ、セレミ、レミーネ! 里のことはアタクシ達に任せておきなさい。必ず良い報告を持って帰ってきますわよ。アタクシ達を信じなさい」

「「「はい、フェニア様。どうか、お気をつけて」」」


 さすがに三人娘達は連れて行かないようだ。

 三人ともレベル的にも実力不足だと思われるし、それは仕方無いか。

 本当なら三人娘達も一緒に来たいのだろうけど、自分達では何かあった場合、足手まといになると思っているようで、文句も言わずにフェニアの言葉に従っていた。




 こうしてオレとアイラ姉、学園長にルナシェア率いる神殿騎士団、そしてフェニアと共にエルフの里に向かうことになった。

 なんだか出発前から波乱の予感がしてきたのだが、無事に今回の件を解決することができるだろうか?











(エイミside)


「ねえミール······本当にレイ君達に黙ってきてよかったの?」

「ちゃんと書き置きは残しておきましたから、大丈夫ですよ、姉さん」


 本当かな······?

 やっぱりレイ君やアイラさん達にも協力してもらった方がよかったと思うんだけど。



 わたしとミールは王都を出て、エルフの里に向かっている。

 お父さんが生きているのかもしれない。

 それを知らされて黙っているなんてできない。

 それはわかるんだけど······。


「それに、やはりレイさん達を巻き込みたくありません。下手にワタシ達と行動して、そのせいで犯罪奴隷に落とされる可能性もあるのですから」


 ミールの言いたいこともわかるよ。

 最近は忘れそうになるけど、わたし達は第一級の犯罪奴隷なんだよね。

 学園長の恩情で今は自由にしていられてるんだけど、本来なら学園に通うどころか、普通の生活すら許されない立場のはず。


 エルフの里の人達の対応を考えたら、わたし達と一緒にいるだけで犯罪者扱いされかねない。

 わたし達を庇ってくれる学園長に対してだって、悪く思っている人がいるんだもの。


「ですが、レイさん達なら············ワタシ達を心配して追いかけて来てくれるかもしれませんけど」


 ミール、やっぱりレイ君が来てくれることを期待してるんじゃない?



「············まあ、もしものことがあればワタシが全責任を負いますから、姉さんは心配する必要ありませんよ」


 ミールだけに背負わせる気はないよ。

 何が起きるか、何があるかわからないんだし、わたしも覚悟を決めておこう。




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