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403 エルフの里への同行者

 学生寮の自室に戻ってきたが、先に帰っていたはずのエイミとミールの姿がなかった。



〝レイさんへ。しばらく部屋を開けます。心配なさらずとも大丈夫ですので、ご安心を〟



 という簡単な内容の書き置きのみが残されていた。これはミールの字かな。

 理由や、いつまで留守にするのかは書かれていない。買い物やちょっと出掛けるくらいなら、わざわざ書き置きを残したりしないだろう。

 まさか二人でエルフの里に向かったんじゃ······。



 オレはすぐに二人を捜すため探知魔法を使ったが、近くに反応はない。

 範囲を王都全体に広げてみても、二人の反応らしきものはなかった。

 もうすでに王都の外に出てしまった可能性が高いな。


 当然、ミールに念話もしてみたが応答がない。

 意図的に遮断しているように繋がらない············。

 着信拒否されているようでショックだ。



 すぐにでも二人を追いかけたいが、オレはエルフの里がどこにあるのか知らないんだよな。

 こんなことなら、事前に調べるなりしておけばよかった。打つ手のないオレは再び学園長室に行き、事情を説明した。


 結局、この日は二人が帰ってくることはなく、行方もわからずじまいだった。










「まさか二人がそんな先走った行動に出るなんてね······」


 次の日、二人を心配した学園長が出発の予定を早めてくれた。グラムに残っていた仕事を任せてきたらしい。

 今オレとアイラ姉、そして学園長の三人で王都の入口前、つまりは町の外に出ている。


「ウム、やはり二人にとって、父親の件は重大な出来事なのだろうからな。先走った挙げ句、冷静さを欠いたことを仕出かさなければ良いのたが。レイ、お前にも言っているのだぞ? 二人が心配なのもわかるが、少し落ち着け」


 アイラ姉も、エイミとミールを心配してくれているようだ。オレも少し冷静にならないとな。



 昨日の内にシノブやミウ達に、エルフの里に向かう旨をすでに伝えておいている。

 シノブ達には学園でのことをお願いしておいた。

 主に人形娘達(特にサフィルス)がトラブルを起こした時の対処などを。

 転移魔法を使えばいつでも戻れるので、そこまで心配いらないと思うが、出来ればこちらはエルフの里の件に集中したい。



「ところで学園長、エルフの里へはどうやって向かうつもりなの?」


 まだ移動手段を聞いていないので、オレは学園長に問いかけた。


「予定を早めたことは伝えたし、そろそろ来る頃だと思うわ。あ、来たわね」


 学園長がそう言うと、町の入口からゾロゾロと人が出てきた。

 この集団はリヴィア教会の神殿騎士団だ。

 もしかして、この人達と一緒に行くのか?



「学園長殿、お待たせしたであります! そしてレイ殿、アイラ殿、お久しぶりであります」


 神殿騎士団を率いていたのは聖女ルナシェアだった。あれ?

 ルナシェアは巡礼のため、ちょっと前に王都を発ったはずじゃなかったっけ?


「実は先日、神託を授かり急遽王都まで戻ってきたのであります。異界の協力者と共にエルフの里の異変を解決せよ、という内容でありました」


 オレが疑問に思っていると、ルナシェアがそう答えた。女神の神託か。

 異界の協力者とは、多分オレ達のことだろう。

 ルナシェアもそう判断して、王都に戻ってきたということか。


「フム、ルナシェア殿にまで女神の神託があったということは、それだけ異常事態が進んでいる可能性が高いな。レイは神託とやらを受けていないのか?」


 アイラ姉に言われてメニュー画面を開いてみた。

 よく見たら〈神託〉のコマンドが点滅している。



〈聖女の証を持つ者と共にエルフの里の異変を解決せよ〉



 来てた。いつの間に?

 いや、思い返してみれば確かに昨日、勝手にメニュー画面が開いた時があったかも。

 エイミとミールを捜すことを優先してたから、何も考えずにそのまま閉じた記憶がある。


 自覚がなかったけど、二人がいなくなったことで、オレはかなり冷静さを欠いていたみたいだ。

 アイラ姉の言う通り、もう一度ちゃんと落ち着こう。



 聖女の証を持つ者とは、聖女候補であるルナシェアのことで間違いないな。

 他にも聖女候補はいるけど、セーラは今は龍人族の国にいるし、アルケミアも隣国のフレンリーズ王国に行っている。エレナはまだ聖女候補になったばかりで、本殿で勉強中だからな。



「どうやらレイ殿にも神託が下されていたようでありますな。では我が剣に誓い、共にエルフの里の危機を救おうであります! レイ殿、アイラ殿、そして学園長殿、改めてよろしくであります!」


 オレにも神託が来ていたことを伝えると、ルナシェアは嬉しそうに敬礼し、そう宣言した。



 まさか、ルナシェアと一緒に行動することになるとはな。こんな時だが、少し嬉しく思っている自分がいた。





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