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402 異変

 学園長室を後にして、オレは学生寮まで帰ってきた。自室に戻る前に、まずはアイラ姉に事情説明しに行くことにした。

 どうやら、すでに帰ってきて部屋にいるようだ。


「アイラ姉、ちょっといいかな?」


 オレは扉をノックして声をかける。

 気配はあるのだが、反応が返ってこない。

 何やら騒がしい声が聞こえるような······?


「入るよ、アイラ姉?」

「レイか······!? ちょっと待······」


 扉を開けると慌てた様子のアイラ姉の声が聞こえてきた。オレは何事かと思って部屋を覗き込んだ。


「あら、レイ君〜。何の用かしら〜?」


 中ではアイラ姉とキリシェさんが、半裸で過激なスキンシップを繰り広げていた。

 そんな姿であるにも関わらず、キリシェさんはオレを見ると、今の状況を気にすることなく普通に声をかけてきた。


 おそらくは着替えの最中だったところに、キリシェさんがアイラ姉に抱きついたりして、このような状況になっているのだろう。


「············取り込み中、失礼しました」


 さすがに二人とも直視し続けるのはマズイ姿だったので、オレはそっと扉を閉めた。


「ちょ、ちょっと待て、レイ!? 何か誤解していないか!?」


 というアイラ姉の叫びが後ろから聞こえてきた。

 誤解というか、アイラ姉とキリシェさんの関係はよく知っているので、仲の良いスキンシップをしているな〜くらいにしか思わないけど?







「まったく、ノックをするのは良いが、扉を開けるのは返事があるまで待たぬか!」


 コホンと気を取り直したアイラ姉に、そう怒られた。当たり前だがアイラ姉もキリシェさんも、すでにちゃんと服を着ている。

 アイラ姉の言う通りではあるので、オレは素直に謝っておいた。


「リイネさんはいないの?」


 アイラ姉とキリシェさん、そしてリイネさんの三人部屋だったはずだが。


「リイネなら用事があるとかで城に行っている。しばらくしたら戻ってくると思うが」


 まあ、リイネさんはこの国の王女だから色々忙しいのだろう。ロディンもまだ学園と王子としての仕事の両立は大変そうだったし。



「それで、レイは何の用事なのだ? お前がわざわざ私達の部屋を訪ねてくるなんて珍しい」

 

 アイラ姉にそう問われたので、オレは魔人族の情報屋(レッテル)から聞いた話と学園長からの頼まれたことを話した。


「フム、そのレッテルという人物が信用できるのかはわからぬが、その情報が本当ならば放っておくわけにはいかぬな」


 アイラ姉がエルフの里に向かうことを、快く了承してくれた。

 アイラ姉がいれば、どんな相手が待っていようと問題なく解決できるだろうと思えるくらい心強い。


「エルフの里に行くのね〜。私も行きたいわ〜」

「まったく······遊びに行くわけではないのだぞ、キリシェ」


 キリシェさんの緊張感のない発言に、アイラ姉が呆れたように言う。

 アイラ姉の言う通り、遊びに行くわけじゃないからな。軽い気持ちで同行はできないだろう。



「キリシェさんはエルフの里に行ったことはあるの?」

「ないわよ〜。けど、自然豊かで落ち着ける場所だって聞いているわ〜。昔は他種族に対して排他的だったのだけど、今は色々な種族を受け入れているみたいよ〜」


 キリシェさんの話では、エルフの里は昔は他種族を受け入れないスタイルだったけど、今は普通に受け入れて発展しているらしい。

 普通に観光気分で訪れる人も多いようだ。

 オレも出来れば観光気分で行きたかったけどね。


 なんでもエルフが他種族を受け入れるようになったのは、当時の勇者のおかげだとか。

 本当に当時の勇者は色々な所で活躍しているな。




「話はわかった。私も出来る限り協力すると約束しよう」


 とりあえずはアイラ姉からの了承は得たので、次はエイミとミールにも学園長からの話を伝えるために、自室に戻ることにした。

 二人とも落ち込んでいる様子だったし、早くこの件に関しては解決してあげたい。



 そうして自室の前まで戻ってきたのだが、何やら様子がおかしい。

 一応、ノックをしてみたが先に戻ったはずの二人の気配がない。

 嫌な予感がしたので、すぐにオレは扉を開けて中に入った。




 自室の中に二人の姿はなく、目立つ場所に書き置きが残されていた。

 もしかして二人とも、先走った行動に出たのか?


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