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398 魔人族の情報屋

 学園生活が再開してから数日が過ぎた。

 あれから平穏············と言えるかはわからないが、大きな問題が起きることなく過ごせている。


 ただ、エルフであるクラスメイトのフェルケンは、まだ学園に来ていない。

 他のクラスの帰郷したエルフの生徒も登校していないらしい。


 フェルケンの妹のフェニアも、兄と連絡が取れずにいるようで心配していた。

 やはりエルフの里で何か起きているのだろうか?

 神樹の精霊の警告もあるし、情報収集に向けて動くべきだろうか。




「レイおにーさん、お客さんが来てるよ〜」


 そんなことを考えながら今日の授業が終わり、帰り支度をしていたところで、教室にメリッサがやってきた。

 オレにお客さん? 誰だろうか?


「お客さんって誰?」

「ん〜、アチシも会ったことない人だったけど、バル(にい)の使いとか言ってたよ。()()も一緒だったし、ウソじゃないと思うけど」


 バル兄って······バルフィーユの使い?

 つまりは魔人族ってことか?

 そんな奴が堂々とこんなところに来て大丈夫なのか? まあ、レニーや人形娘達もいるし、今更って気もするが。

 それとサラッと言ったけど、一式ってなんだ?


「あ、おねーさん達にも関係あることだから、一緒に聞いてほしいってよ。なんかエルフの里についての情報を持ってきたってさ」

「え、里のこと?」

「ワタシ達に聞いてほしい情報······ですか」


 メリッサがエイミとミールにも声をかけた。


 エルフの里についての情報······か。

 そういえばバルフィーユはエルフの里について、自分なりに調べるとか言っていたらしい。


 つまりアイツの部下が、オレ達に情報を伝えにきてくれたってことかな?

 それって信用していいのだろうか?

 まあ、会ってみないとわからないか。



 アイラ姉にも一緒に来てもらおうかと思ったのだが、すでに他の生徒達と出ていったらしく、教室に姿がなかった。

 まあ、いないのなら仕方ないか。

 オレ達だけで行くとしよう。







 メリッサの案内で、オレとエイミとミールは学園の正門前に向かった。

 さすがに部外者が学園内に入るわけにはいかないので、メリッサに伝言を頼んだのか。

 学園の入口に小柄な男と、無機質な表情の女性がいた。この二人がバルフィーユの使いなのかな?


「どうも〜、ワイは情報屋のレッテル言うもんです。あんさんがバルフィーユ様の言ってた、レイっちゅう人族でいいんすね? そっちのハーフの子達が、例のハーフの双子姉妹かな」


 レッテルと名乗った小柄な男が、オレ達を見て言う。パッと見た印象は人族と変わらず、少なくとも魔人族とはわからないな。



[レッテル]

妨害魔法の効果で鑑定を弾かれました。

(神眼)の効果で表示を(ひら)きますか?



 鑑定魔法で見たら、そう表示された。

 メリッサ達のように、鑑定を弾くようなアイテムかスキルを持っているようだ。


 (神眼)スキルで表示を開くと、レベルは35でステータスも全体的に低いな。

 いや、オレ達や人形娘達などが異常なだけで普通なら結構高い方か。スキルは(隠密)や(千里眼)など、情報収集に長けたものが多い。

 非戦闘員タイプかな? 情報屋とか言ってたし。

 そして、やはりこの男は魔人族のようだ。


 

「確かに、オレがレイだけど何の用なのかな? バルフィーユの使いって聞いたけど」


 魔人族とはいえ敵意はなさそうだし、オレは普通に問いかけた。


「おお〜、ホンマに人族と繋がってたんやな、あの人。バルフィーユ様から聞いとると思いますけど、ワイは魔人族です。その辺、大丈夫ですか?」


 いや、バルフィーユからアンタのことは何も聞いていないけど?

 大丈夫かどうかはオレが判断していいかわからないが、何か企んでいるとか、そういうことじゃないのなら大丈夫だろう。

 オレは一応、頷いておいた。 

 レッテルの方も、本当にバルフィーユが人族と情報交換しているのか、半信半疑だったらしい。


「人族は魔人族に良い印象ないやろうから、問答無用で拘束されることも覚悟してましたわ。あんさんが話が通じる人でよかったわ〜」


 心底ホッとしているような表情でレッテルは言った。

 オレはこの世界の住人じゃないから魔人族に対してそこまで悪く思ってないけど、確かに良い印象がないというのも理解できる。

 隣国のフレンリーズ王国では、魔王軍が侵攻していたしな。


「························」


 ちなみにもう一人の無機質な表情の女性は一言も発さず、黙ってオレ達を見ているだけだった。

 オレ達と同じくらいの年っぽい見た目で、女性というより女の子といった方がいいかな。

 この子がメリッサの言ってた一式かな?



[ドールガード] レベル320

〈体力〉227900/227900

〈力〉32000〈敏捷〉35000〈魔力〉13000


〈スキル〉

(神将の加護〈小〉)(身体強化〈大〉)

(自動防御)(自己修復)




 この子も鑑定したら妨害魔法の表示が出たので、(神眼)で開いてみたら結構強いステータスだった。

 レベルも320もあり、レッテルよりも遥かに高い。


 一式って人形っぽい名前だと思ったが、本当に人形みたいだ。

 無機質な表情も、初めて会った時のサフィルスと同じ感じだし、多分この子もトゥーレミシアの人形(ドール)なのだろう。




 さて、この二人がどんな情報を持ってきてくれたのかな?

 信用できるかまだわからないが、そういうことは話を聞いてから判断することにしよう。



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