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閑話⑯〈おまけ〉魔道具専門店〝トゥラヴィス〟での出来事 〜中編〜(※)

※(注)引き続き変態男が登場しています。

(リーアside)


 新作魔道具の実験のため、店の裏にある実験用スペースに移動しました。

 ここならば壁や床は頑丈に出来ていますし、防音魔法を施してあるので多少、派手なことをしても近所迷惑になることはありません。

 それでも、お姉様なら壁を突き破ったりすることは、たまにあるのですけど······。



 まず、わたしは仮面の人物を以前作った魔道具〝スケルトンスコープ〟で見てみました。

 これは眼鏡の形をした魔道具で、骨までは見えませんが衣服などが透けて見えるようになります。(販売禁止に指定されたので売り出していませんが)


 これで仮面の人物の顔を隠すマスクが透けて見えるかと期待したのですが、残念ながら見えませんでした。

 どうやら、あのマスクには強力な妨害魔法が施されているようですわね。

 ············ちょっと興味があったので()()確認しましたが、こちらも透けませんでした。

 全裸に近い、際どい姿ですけど肝心な部分はしっかり隠されているのですわね。





「それでは正義の仮面さん。さっそく始めますけど、準備はいいでしょうか? 初めに言っておきますけど、正義の仮面さんも攻撃してきてください。実験に使うのは実戦に使うための物なので」


 気を取り直して魔道具実験を始めましょう。

 仮面の人物は下着一枚と顔を隠す黒いマスク以外、何も身につけていません。

 本来なら、丈夫な防具などを身につけた方がいいのですけど。


「こちらはいつ始めてもらっても構いません。さあ、私は貴女を害する暴漢だと思って、どうぞ遠慮なさらずに来てください」


 仮面の人物は奇妙なポーズをとりながら、そう言いました。その動きには、ちょっと本気で身の危険を感じるのですが。

 まあ、それならばこちらも遠慮なく実験させていただきましょう。



「では、まずはこれから······炎の絨毯(フレア·カーペット)です」


 わたしは仮面の人物の足下に設置していた魔道具を発動させました。

 これは魔物に対しての罠として使用するもので、発動させれば一瞬で上級魔法クラスの炎が噴き出す代物です。


「ほう、これはなかなかの威力ですな」


 仮面の人物は炎をものともせずに脱出しました。

 防具も身につけていないというのに、なんという魔法耐性でしょうか。

 しかし、これならば確かに遠慮はいらなさそうですわね。


「まだまだいきますわよ、正義の仮面さん!」


 わたしは次々と新作の攻撃用魔道具を、仮面の人物に使いました。

 ですが、そのどれもが通用していません。

 この方が圧倒的に強いというのはわかりますが、結構自信作だっただけに、傷一つつけられないのはショックですわ。



「では最初に言われた通り、受け身ばかりではなく、こちらからも攻撃させていただきましょう。私は暴漢役ですので、黙って立っているだけでは実験としては不十分でしょう」


 わたしの魔道具を掻い潜り、仮面の人物が攻撃を仕掛けてきました。

 といっても本気の攻撃ではなく、軽いものですけど。なんだかんだ、わたしを怪我させないように配慮してくれる紳士ですわね。

 ············格好はアレですけど。



 わたしも仮面の人物を本気で撃退するつもりで、魔道具を使います。

 以前、ユウさん達が龍人族の国を救うために渡した〝発火符〟や〝爆裂符〟を更に改良した物も使用してみました。

 それすらも仮面の人物は難なく防いでいます。


「さあ、私も少しばかし本気で攻めましょうか」


 仮面の人物がそう言って動きを早めてきます。

 わかってはいましたが、まだまだ本気じゃなかったのですわね。


 わたしの魔道具をいなしながら、さらに攻撃を加えて来ました。

 仮面の人物の動きが速すぎて目が追い付きません。一瞬、仮面の人物を見失ってしまいます。


「きゃっ······!!?」


 いつの間にか仮面の人物が、わたしの目の前に立っていました。

 つい声をあげて尻餅をついてしまいました。

 

「大丈夫ですか、リーア嬢?」

「ひっ······!?」


 仮面の人物の声を聞いて顔を上げると、目の前の()()()()に驚き、声をあげてしまいました。

 仮面の人物の身につけている()()ですね。

 こんな至近距離に、いきなり現れたらビックリしてしまいますわ。

 気を取り直して、わたしは仮面の人物から距離を取りました。



「正義の仮面さん、もっと本気で攻めてきてくれませんか? 気遣ってくれるのは有り難いのですが、それだとこちらも攻撃用魔道具を使いづらいのですけど」


 お遊戯のように相手にされてはこちらもやりづらく、緊張感がありません。

 格上相手に、絶望的な状況を打開するための魔道具なのですから。


「そうですな。では緊迫感を出すために、私は貴女に対して特別なお仕置きを披露するつもりで行きましょう。見事、逃れることができますかな」


 そう言って仮面の人物は再び奇妙なポーズを取りました。お仕置きとは以前、お姉様の身体を乗っ取ったサキュバスを懲らしめたもののことでしょうか?

 あの時はリーフィさんに目を塞がれていたため、何をしていたかわからなかったのですよね。


 ただ、なんとなく予想というか想像はついているのですが······。

 もし想像通りだったとしたら······。



 ··················緊迫感どころか危機感が出てきたんですけど。

 もしかしてわたし、乙女の危機なのでは?


思っていたより話が長くなってしまったのでもう一話続きます。

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