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閑話⑯ 3 黒魔術師専用衣装(※)

※(注)引き続き変態男が登場しています。

(リーフィside)


 フレネイアさんと校舎裏に向かったら案の定、ライカが魔法実験を行っていたのですよ。

 何やら失敗していたみたいなのですが。

 ライカは魔力の込め方を間違えたと言っていましたが、その魔道具、どうやらリナっちの作った物みたいなのですよ。

 多分、魔道具そのものに欠陥が······。


 まあ、それよりもフレネイアさんが、ライカにこれ以上の実験はやめるよう言います。

 ライカは諦め悪く、実験を続けるため強引に他の魔道具に魔力を送ってしまったのですよ。


 そして、またしても魔道具が暴走してしまい、噴き出した煙が周囲の視界を遮ってしまいます。

 そのせいでライカも魔道具を止めるのに手間取っているのですよ。


「エアウインド! なのですよ!」


 私は「風」魔法で煙を吹き飛ばしたのですよ。

 この煙は害のあるものではなさそうなので、散らしても問題ないと判断したのですよ。


 視界が開けるとライカとフレネイアさん以外に、もう一人の人物が見えたのですよ。



「お嬢さん、手を放してもらえますか? ()()は魔道具ではありません。暴走していた魔道具は私が止めましたからご安心ください」

「······え? ひっ、きゃあああっ!!!???」


 目の前の人物を見て、ライカが悲鳴をあげたのですよ。そこにいたのは、あの正義の仮面と名乗る人物でした。

 相変わらずの下着一枚しか身につけていない、直視しづらい姿なのですよ。


 暴走していた魔道具は、仮面の人の手によって止められていたみたいです。

 そして、ライカが手にしていたのは魔道具ではなく仮面の人の······。

 思わず悲鳴をあげてしまう気持ちもよくわかるのですよ。


「正義の仮面さん、どうしてこちらに?」

「奇妙な魔力の流れを感じたので駆けつけたまでです。大事には至らなくて幸いです。何故このような事態が起きているのか、事情をお聞きしたいのですが?」


 フレネイアさんの問いに、仮面の人がそう答えました。フレネイアさん、よくそんなに冷静に話せるのですよ。

 私はまだ、仮面の人の姿を直視するのに慣れていないのですよ。

 どうしても()()()()()()()思い出してしまい······。


 フレネイアさんが事情を説明して、仮面の人が 「なるほど······」 と頷き、ライカに向き直りました。



「お嬢さん、熱心に部活動に励む気持ちはわかりますが、学園のルールを破るというのは感心しませんよ?」


 仮面の人がそう言い、ライカがビクッと反応したのですよ。

 しかし、ライカはすぐにゴホンと咳払いをして、平静を装ったのですよ。


「貴方は学園を、いえ······王都中を賑わしていることで有名な正義の味方さんですよね? わたし、学園でのアイラさんとの決闘も見ていましたよ」

「ほう、私のことをご存知でしたか」

「そりゃあ、そんな目立つ格好をしていますし、色々と有名ですからね。正義の味方を名乗るのであれば、是非是非、我が黒魔術研究部の復活に協力してください!」


 何やらライカが調子の良いことを言ってるのですよ。

 アイラさんとの決闘は、ほぼ全生徒が観戦していたので、当然ライカも見ていたのですよ。

 有名な仮面の人の名を利用して、部員獲得を狙うつもりなのですかね?


「ほう、黒魔術研究部とはなかなかに洒落(しゃれ)た部活動ですな。丁度、その活動にピッタシなアイテムを持ち合わせていますよ」


 仮面の人は何故か乗り気でライカの言葉に反応し、アイテムを取り出したのですよ。

 ············おそらく収納魔法を使っていると思うのですが、その下着の中から取り出したような仕草はやめてほしいのですよ。



魔術師の杖(ウィザード·ロッド)

攻撃力+1200 魔力+3800

〈全属性強化、安全装置(セーフティ)、魔力自然回復力上昇、

アンチマジック無効付与〉



魔術師の服(ウィザード·ドレス)

防御力+2200 魔力+2500

〈全属性強化、魔力自然回復力上昇、自動魔法障壁付与〉



 仮面の人が取り出したのは強力な力を秘めた杖と、ライカが着ている物とよく似た魔術師用の衣装でした。

 と、とんでもなく強力な伝説級のアイテムなのですよ。なんで仮面の人はこんな凄い装備品を持っているのですか!?

 肝心の本人は何も身につけていないのに······。


「お、おお〜······!? す、すごい、すごいです〜! まさにわたしの憧れの理想的なアイテム······!」


 ライカはそれを見て、キラキラした目付きをしているのですよ。

 もしかして仮面の人、こんな凄いアイテムをライカにあげるつもりなのですか?


「貴女がこのアイテムに相応しい人物だったならば、お譲りしてもよいのですが」

「ほ、本当ですか······!? やる、なんでもやりますよ〜!! どうやって証明すればいいんですか!?」


 譲ってもいいという言葉に、ライカの目がさらにキラキラ輝き出したのですよ。

 仮面の人、本気なのですか?

 これほどのアイテム、正直私も欲しいのですよ。



「正義の仮面さん、お言葉かもしれませんけど、そんな貴重で強力な物を与えるのはちょっと······。調子に乗って、また暴走しかねませんわ。第三者に盗まれたりして悪用される怖れもありますし······」


 フレネイアさんが、さすがに待ったをかけたのですよ。さっきも魔道具を暴走させかけましたからね。


「ご心配なく。このアイテムは使用者の魔力を感じ取り、主人登録した者以外には使えないようにすることができます。また、魔法が暴走しないように安全装置機能も付与されています」


 それが本当なら、まさに至れり尽くせりのアイテムなのですよ。

 たとえ奪われて悪人の手に渡っても、本人以外には何の効果もないアイテムにできるなんて。



「さあ、このアイテムが欲しいのであれば、私に力を示してください。貴女の黒魔術がどれほどのものか、是非お見せしていただきたい」


 どうやら仮面の人は学園のルールに則り、ライカと〝決闘〟をするつもりのようなのですよ。


 それはいいのですけど、この仮面の人はとてつもない実力者······。

 とてもライカに勝ち目はないと思うのですよ?

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