397 それぞれの学園生活
エルフの里のことは気になるけど、現状オレ達に出来ることは、今のところ特にない。
何が起きるかわからないのに、下手に首を突っ込んで事態が悪化するようなことになっても困るからな。
学園長がエルフの里に連絡を取ると言っていたし、オレ達が何かするにしても、状況確認ができてからだな。
そんなわけで、オレ達は再開した学園生活を満喫している。もう学園地下迷宮は攻略したので、厳密に言えば学園に通う理由はないんだけどね。
学園の授業は魔法関連のことだったり、異世界の国々の歴史を知れたりと興味深いことばかりなので、楽しんで受けれている。
リヴィア教の聖女と神殿騎士の役目のため、ルナシェアとリンが旅立ってしまい、もう学園にいないのが少し寂しく感じたけど。
エイミとミールもエルフの里に関して気にしている様子だったが、授業は普通に受けているので心配はなさそうだ。
ただ、オレ達の方ではなく別のところで問題が起きていた。
学園に破壊神が降臨したのだ。
授業を終えて、校舎を適当に散策していたところに突然、派手な破壊音がして驚いた。
「――――――申し訳ありません、力加減を誤りました」
音がした方へ行くと、校舎の一部が破壊されていた。
原因はメイドの仕事を教わっていたサフィルスが、何やら失敗してしまったらしい。
そういえばサフィルスは、以前にディリー達にメイドの指導を受けていた時も、家事全般は壊滅的だったな。
今回も先輩メイド達に指導されている最中での失敗みたいだ。
「――――――ほら、サフィ〜。失敗してもめげんで頑張ろうや〜」
「――――――ヴェルデが一緒に直すから、サフィも頑張る」
パールスとヴェルデは失敗せず、しっかり仕事を出来ているようだ。落ち込んでいる様子を見せるサフィルスを二人が慰めている。
パールスはともかく、ヴェルデがメイドさんの仕事をちゃんとこなせているのは、失礼かもしれないが意外だった。ヴェルデって、そういうの苦手そうなイメージだったし。
「ほらほら、レニー! アチシ達も頑張るよ!」
「ま、待ってくださいよ、メリッサさん······。やっぱり自分は······」
メリッサとレニーも一緒に指導を受けていた。
メリッサはメイド服が気に入ったのか、くるくる回りながら楽しそうにしている。
レニーは他の人形娘達が怖いようで、ビクビクしながらメリッサに引っ張られていた。
レニーも他の皆と同様にメイド服を着ているが、結局男なのか女の子なのかわかってないんだよな。
今の姿を見る限り、完璧に女の子だけど。
まあ、なんだかんだでちゃんとやっていけているようだ。
サフィルスはちょっと不安だが、レニーや人形娘達は学園に馴染んでいるな。
新しいメイドさんということで、学園関係者からも問題なく受け入れられているし。
一応、レニーは魔人族でサフィルス達も魔人族と関わりある人物ということは、学園長に伝えている。
彼女達が何か問題を起こしたら、オレやアイラ姉がすぐに対処すると約束したので、学園長も納得してくれた。
何も起きないことを祈ろう。
シノブ達の方も、久しぶりに会う友人達との再会を喜んでいた。
やはり年の近い友人といる方が、シノブも年相応に楽しそうだ。
スミレも表情からはわからないが、楽しそうな様子を見せていた。
中等部クラスの男子は、何故かスミレに頭が上がらないようで、色々とスミレに顎で使われている。
けどスミレに命令されて、いいようにこき使われている男子達の表情が嬉しそうに見えるのは気のせいかな?
それと見てて少し気になったのだが、なんだかシノブはユーリとの距離がさらに縮まったような雰囲気を出していたけど、何か進展があったのだろうか?
まあ、仲が良いのはいいことなので、あまり詮索せずに見守ろうと思う。
こうして少し問題は起きたものの、再開した学園生活も平穏に過ごせている。
このまま何事もなければいいんだけどな。
············このセリフがフラグになることはないよな?




