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395 学園再開

 神樹の迷宮を攻略してから2週間が経った。

 あれから神樹に異変はなく、幻獣人族の里の結界も安定したようなので、ようやくやるべきことを終えたことになる。



 幻獣人族の長であるゲンライさん、フウゲツさん達に別れを告げて、オレ達はアルフィーネ王国の王都へと帰還した。なんだかんだで長く滞在していたので、別れは少し寂しく感じたが。

 まあ転移魔法で行き来は可能だし、いつでも歓迎すると言われたので、会おうと思えば会えるんだけどね。


 それに幻獣人族であるスミレとユヅキは、一緒に王都に来ている。

 やはりスミレは、今まで通りオレ達と一緒に行動したいということで付いてきた。


 ユヅキはスミレのお目付け役として来ている。

 スミレを心配したゲンライさんが自分も里を出るとか言い出したので、それを鎮めるための妥協案だ。


「なんでおれまで一緒なんだよ······」


 ユヅキは幻獣人族の里に残るつもりだったようで、スミレと一緒にこっちに来ると決まった時はガックリ項垂れていた。

 まだ、しばらくはスミレの保護者として苦労しそうだ。



 人形娘達サフィルス、ヴェルデ、パールスはディリーとアトリ達と共に学園で働くメイドさんとして滞在している。

 メリッサとレニー(ついでにユヅキ)も同様にメイドさん達のお手伝いをしている。


 メリッサはシノブ達と一緒に学園に通いたがっていたが、さすがにすぐには途中入学の手続きは出来ないという話だからな。

 オレ達が途中入学したのも国王からの推薦だったりで、かなりの特別扱いだったから仕方ないよな。



 ちなみにエンジェは、あれからずっと龍人族の国に滞在している。

 なんでも勇者育成に力を入れるのだとか。

 まあ、それはエンジェの好きにさせておこうと思う。





 そういった感じに、王都に戻ってきてからも色々とやることが多くて忙しい日々だった。

 そして今日から学園も無事に再開することとなった。


「ふふっ、やはり学園に通っている方が自由に動けて良いものだな」

「俺もようやく城での激務から解放されたぞ」


 久しぶりの学園の教室で、リイネさんとロディンと挨拶を交わした。

 リイネさんとは隣国のフレンリーズ王国での騒動で何度も顔を合わせていたが、ロディンは王子としての仕事が忙しかったらしく、ずっと城に引き込もっていたので、かなり久しぶりに会った気がする。


「ウム、リイネにロディン殿、二人とも元気そうで何よりだ」

「スミレちゃんの故郷は楽しかったわよ〜。リイネも来ればよかったのに〜」


 アイラ姉とキリシェさんがリイネさん達とお互いの近況を話し合い、盛り上がっていた。


 向こうではミウも、久しぶりに会うクラスメイトと楽しそうにおしゃべりしている。

 エイミとミールもその輪に入っていた。



 シノブとスミレ、そしてユーリは中等部なので教室が違うが、おそらく同じようにクラスメイトと久しぶりの再会に盛り上がっているのだろう。




「はいはーい。皆、席について。久しぶりだからって、あまり浮かれないようにね」


 オレ達のクラス担任のカトリア先生が教室に入ってきて、それぞれが席につく。

 改めて席を見ると、まだ全員集合というわけではなく、何人か来ていない生徒もいるようだ。

 休校中に里帰りしたとかで、遠方の人は登校日に間に合わなかったのだろう。



 エルフのクラスメイトであるフェルケンの姿もないな。神樹の精霊がエルフの里で何か起きるようなことを言っていたけど、それと関係あるのだろうか?

 それとも、たまたま欠席しているだけかな。


 まあ、フェルケンの妹のフェニアの姿はあるし、後で挨拶ついでに確認してみよう。

 学園長のリプシースさんも色々忙しかったようで、今日まで顔を合わせることが出来なかったから、帰りに学園長室に寄るつもりだ。

 二人から何か情報が聞けるかもしれない。





 カトリア先生の話が終わり、自由時間となった。

 まあ、学園が再開したといっても今日は挨拶と今後の予定を聞くだけで、本格的な授業などの活動は明日以降になるみたいだからな。



 自由時間になるとアイラ姉の周りに人が集まっていた。学園地下迷宮を攻略し、冥王を倒してからずっと休校中だったから、他の生徒達は詳しい事情を知らない。

 だからアイラ姉は迷宮についてとか、国王の推薦と関係あるのかなど、色々質問攻めを受けていた。


 あれだけの騒ぎになったんだし、そりゃあ詳しいことが知りたいだろうしな。

 一応、国からもある程度説明はされたんだろうけどね。リイネさんとロディンもアイラ姉と一緒に質問に来る生徒の相手をしている。



 もちろんオレのところにも、そういった興味本位の質問をしに来る生徒がいたので、話せる範囲で無難に答えておいた。





「フェニア、ちょっといいかな? フェルケンは今日いないみたいだけど、どうしたの?」

「あら、レイさん。フェルお兄様はアタクシ達の故郷に帰っていますわ」


 質問攻めがようやく一段落して抜け出せたので、オレはフェニアに気になっていたことを聞いた。

 故郷というと、エルフの里のことで間違いないようだ。


 詳しい場所は聞いたことがなかったけど、幻獣人族の里ほど遠方ではないみたいだ。

 まあ、それでもアルフィーネ王国を出た国外のようだけど。


「ですが、学園再開までには戻ってくるという話だったので、何かあったのか心配なのですわ······」

「フェニアは一緒に帰らなかったの?」

「アタクシと母様はアルフィーネ王国(こちら)に残り、父様とフェルお兄様の二人が帰郷しましたのよ。里で何かあったとか詳しくは教えてもらえませんでしたが、今思えばただならぬ雰囲気でしたわね」


 フェニアが少し不安そうに言った。

 やっぱり何かマズイ事態が起きているのだろうか?



 早いところ学園長にも確認しておいた方が良さそうだな。




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