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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑦ 10 グライスの実力

――――――――(side off)――――――――


 グライスが全身に魔力を集中させて、戦闘態勢に入った。マティアの居所を話す気はなく、問答無用でユウ達を排除する姿勢だ。


「――――――グライスはすっごく強いからね。ユウ君、他の皆も頑張ってね〜」


 そう言って、プルルスは少し離れた場所に避難した。相変わらずユウ達の邪魔も手助けもしないつもりのようだ。


「······確かにコイツ、ヤバいわ。あいつ(プルルス)よりも明らかに魔力が上みたいよ」


 テリアが表情を引き締める。

 プルルスも相当な強さだったが、目の前のグライスはそれを遥かに上回る力を放っている。


「じゃあ、ぼくも手加減抜きでいかせてもらうよ」


 ユウが聖剣エルセヴィオを構える。

 聖剣の特殊効果によってユウ達全員の力が上昇し、さらに敵対するグライスのステータスを減少させた。

 さらに勇者のスキル効果も加わり、これでユウ達は大幅にステータスを上げ、逆にグライスは大幅に弱体化した。


 ユウは勇者のスキルと聖剣の効果によって、プルルスと戦った時も優位に立ち、勝利していたのだ。



「――――――力、魔力の低下を確認。しかし、侵入者を排除するのに問題はないと判断」


 弱体化しても大して気にした様子を見せず、グライスが魔力を解放した。

 ユウ達はグライスの魔力を解放した時の衝撃波で、吹き飛ばされそうになるのを耐える。


雷震撃(らいしんげき)っ!!」


 ユウは聖剣に「雷」の力を帯びさせて、グライスに斬りかかった。グライスは何かを手にした動作をして、ユウの攻撃を受けた。

 だが、見た目にはグライスは何も手にしていないように見える。


「見えない武器? 感覚からして、剣かな?」

「――――――インビジブルソード。創造主(グランドマスター)より授かった武器は聖剣にも負けない」


 グライスは目には見えない剣で、ユウの聖剣を受けたようだ。

 反撃のためグライスは灰色の翼を広げると、羽がいくつか抜け落ちた。

 抜け落ちると同時に羽は目には見えなくなり、見えない凶器となった羽がユウを襲う。


「――――――そして、これはインビジブルフェザー」

「見えない攻撃は、確かに結構厄介かな······」


 鋭利な刃物と化した見えない羽が、ユウの身体を切り刻む。いくつかの羽は防いでいるが、やはり目に見えないとなると、すべてを避けるのは難しい。


「ユウ!」

「ユウ様ぁ!」


 テリアとミリィがユウの左右に立ち、魔法障壁を張る。しかし、見えない羽は二人の張った障壁をも、容易く貫いた。


「テリア、ミリィ! 妾の魔力も使うが良い!」


 シャルルアもテリア達に加勢し障壁を強化するが、グライスはさらに羽を増やし、攻撃を激しくさせた。

 魔法障壁は完全に砕かれ、勢い衰えずに見えない羽はテリア達を襲う。


「ケイオス·バスター!」


 ジャネンが両手に込めた魔力をグライスに向けて、極太の光線状にして放った。

 かなり威力のある光線だったが、グライスは片手で弾き、反撃の魔法をジャネンに放つ。

 直撃こそ避けたが、ジャネンは軽くないダメージを負ってしまう。




 グライスの強さは圧倒的で、ほんの少しの攻防でユウ達は窮地に立たされてしまった。


「コイツ······強すぎるわ······」

「都での戦いは本気ではなかったのか······。この力、神将にも匹敵するやもしれぬ」


 テリアとシャルルアは致命傷こそないが、立ち上がるのも厳しいくらいの傷を負っている。


 ミリィは他の皆に比べたらダメージは少ないようで、グライスに反撃しようと飛びかかる姿勢を取る。

 しかしユウが手で制し、傷付いた身体でグライスの前に出る。



「――――――まだ戦う気? 殲滅するつもりでやったのに、しぶとい。けど、だったら生きてる内に帰った方が賢明。去る者は追わない」

「そうはいかないよ。ぼくは諦めが悪いからね」

「――――――そう、ならここで死ぬしかない」


 グライスが見えない剣を手にして、ユウに斬りかかった。ユウは聖剣で受け、反撃した。


「だんだん攻撃の軌道が見えてきたよ。目に見えなくても、もう対処は可能だね」

「――――――それならインビジブルフェザー。これはどう?」


 再びグライスの翼の羽がいくつか抜け落ち、目に見えなくなると同時にユウに向けて放った。


「ソード·レイン!」


 ユウは(物質具現化)スキルで無数の剣を作り出し、見えない羽を的確に撃退した。

 これにはグライスも意外そうな表情を見せている。


「――――――私の攻撃を見切っているだけじゃない? さっきまでよりも明らかに強くなっている······これが勇者の力?」


 ユウの力は先ほどまでよりも、目に見えて強くなっていた。勇者専用のスキルが、窮地に陥るユウに力を与えているようだ。


雷光刺鳴剣(らいこうしめいけん)っ!!!」

「――――――ぐっ······この力、想定を上回っている······」


 ユウが剣技を放ち、グライスを追い詰める。

 グライスの方も負けじと反撃に出る。

 一見、ユウが優勢になったように見えたが、今までのダメージが大きく、ユウの身体からは少なくない血が流れ落ちている。


「――――――けど、これで終わり。インビジブル()()()()!」


 グライスの持つ見えない剣が、今までよりも強い力を放ち、ユウの心臓目掛けて突いた。



――――――――――!!!!!



 グライスの攻撃は完全にユウを捉えていたが、見えない剣は()()()()()貫いていた。


「············ユウはころさせない」

「マティア······!?」


 さすがのユウも驚きの声をあげた。

 突如現れたマティアがユウを庇い、グライスの剣を受けていたからだ。




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