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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑦ 8 マティアについて

――――――――(side off)――――――――


「クワアアーーッ!!!」


 ジャネンの使役する霊獣カオスレイヴンが、ユウ達を背に乗せて飛び上がった。

 霊獣にはユウ、テリア、ミリィ、シャルルア、ジャネン、そしてプルルスが乗っている。


(それがし)もマティア救出に手を貸そう。ユウ達には特異点集めを手伝ってもらった借りがあるからな」

「ありがとう、ジャネン。助かるよ」

「気にするな」


 霊獣に乗せてくれるだけでなく、マティア救出にジャネンも協力を申し出てくれていた。

 ユウのお礼の言葉に照れたように顔を背けた。


「魔人族め、この地でこれ以上の好き勝手は絶対に許さぬぞ······!」

「ミリィだって必ず()()()()を助けますよぉ! もう不覚を取ったりしませんからぁ!!」


 シャルルアも魔人族の企みを放ってはおけないと付いて来ていた。

 龍人族の戦士達に止められていたが、ユウと一緒だから心配ないと、半ば強引に都を飛び出していた。

 ミリィもやる気満々で気合を入れていた。


「負傷していた人達も、エレナやセーラさんが癒していたから大丈夫だと思うわ。わたし達はマティアの救出に集中しましょう」


 テリアが言うように、エレナは聖女セーラと共にグライスの攻撃によって負傷していた人々を治療しているので、龍人族の都に残っている。

 負傷者の数が思っていた以上に多いため、マティアを拐った魔人族を追いかける人材が足りないのが現状だ。


 エレナはユウ達を心配して追いかけて来そうな様子だったが、リンや神殿騎士達が危険な真似はさせないだろう。




「ねえ、プルルス。龍人族の国に来た魔人族は、そのガストって奴以外はいないの?」

「――――――いないよ〜。ガストって友達いないみたいだし。ボクとグライスは創造主(グランドマスター)の指示でガストについて来ただけだよ、だよ」


 ユウの問いに素直に答えるプルルス。

 ちなみにプルルスの拘束はすでに解かれていた。

 解いたというより、拘束していたロープを窮屈だと言ってプルルスが無理矢理に引きちぎっただけだが。


 もう暴れないと約束したので、自由にすることをユウが勝手に了承していた。

 他の皆、特にテリアは猛反対していたが、もしプルルスが約束を破ったらユウが責任を取ると言ったので、渋々納得したのだ。


 プルルスは自分の翼で飛ぶことができるが、霊獣の背から見る景色は新鮮なようで、存分に楽しんでいる様子だ。

 ユウも一緒に楽しそうにしていて、敵同士とは思えないくらいに、ほのぼのとした状況だ。



「そのガストって魔人、マティアのことを実験体とか言っていたのよね? もしかしてソイツ、()()()()の関係者なのかしら」


 気持ちを切り替え、テリアが一冊の書物を取り出した。

 以前にレーデの森にあった謎の施設で見つけた物だ。マティアはそこで人口的に作り出された魔法生命体(ホムンクルス)とのことだった。


 とはいえユウ達もそれ以上詳しくは知らず、マティア自身も過去の記憶がないため、何もわかっていないのと同じだが。

 マティアは何故、放棄された施設にいたのか、何の為に作られたのか、そもそもどうやって作ったのか。



「――――――ボクはそんなこと知らないよ。ガストが何考えているかなんてさっぱりだし〜。けど、その実験体の子を大切に思ってる感じだったから、拐って行っても手荒なことはしてないと思うよ?」

「実験体なんて呼んでる時点で大切になんて思ってないわよ、きっと」


 プルルスも魔人族の男、ガストの目的を詳しくは知らないようだ。

 ただプルルスの真の主である神将(トゥーレミシア)の命令でガストに付き従っているだけらしい。

 そのガストも実験体(マティア)を回収しに来ただけで、龍人族の国を侵略するような考えはないとのことだ。


「トゥーレミシアは神将の中では温厚な性格で、他種族への侵略行為にはほとんど手を出していないはずだ。今回の件はその魔人族(ガスト)の独断で、神将は関わっていないと見ていいだろう」

「へえ〜、神将って言っても色んな人がいるんだね。ぼくはナークヴァイティニア(あいつ)しか知らなかったから良い印象なかったんだけど、プルルスの主ならちょっと会ってみたいかな」


 ジャネンの話を聞いて、ユウは興味深そうに言う。




 そんなふうに話している内に、マティアが連れて行かれたという建物が見えてきた。

 遠目から見る限りでは、規模は小さく、簡易な造りの建物だ。撤去するのも時間はかからないものだろう。


「我が都の目と鼻の先に、こんな施設を勝手に建ておって······」

「落ち着きなさいよ、シャルルア。敵はその男とグライスって奴だけなら、すぐに解決できるわよ」


 憤るシャルルアをテリアが宥める。

 敵が二人だけならどうにでもなる。

 最悪、ここは町の中というわけではないので周囲の被害を気にすることなく全力で戦えるともテリアは考えていた。




「――――――ああ〜、気をつけた方がいいよ、いいよ? ガストは力は弱っちいけど、頭は良いし色んな魔道具持ってるから結構手強いと思うし。それとグライスはボクより強いから、ユウ君達でも勝つのは難しいんじゃないかな、かな?」


 何やらプルルスが不穏な発言をしていたが、ユウ達は引くことなく、問題の建物へ侵入を試みた。



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