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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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388 迫り来る迷宮の植物の本体

 オレの使用した「聖」魔法の効果が切れ、再び迷宮の植物が襲いかかってくる。

 「聖」なる領域(フィールド)を作り出せるこの魔法は、消費魔力が膨大な上に、連続で使用することができない。

 たとえ使用するのに必要な魔力が充分であっても、一度使うと再使用するには30分くらいの時間が必要だ。


 だが、ほんの10分くらいだが休憩できたおかげで、全員体力がそれなりに回復している。

 攻略続行は可能だろう。


 迷宮の植物の攻撃はどんどん激しくなっているが、エイミ、ミール、フウゲツさんのレベルも撃退する度に上がっているので、問題なく対応できている。

 寧ろ、敵の攻撃よりもこちらの成長の方が早いくらいだ。


 どうしてもヤバそうな攻撃が来た場合は、アイラ姉がなんとかしてくれている。

 もちろん、オレも皆を守りながら動いている。

 問題······というか気になることがあるとすれば、オレのレベルが未だに999から変動ないくらいだ。

 アイラ姉のように限界突破するには、どうすればいいのだろうか?






 そうこうしている内に299階層にたどり着いた。もう次で最上層だ。

 この階層もボスが現れそうな大部屋のフロアだ。

 けど、上に続く道が見当たらないんだが。



――――!! ――――!! ――――!!



 このフロアの植物も一斉に動き出した。

 先へ進む道は無く、来た道もすでに大量の蔦に覆い尽くされ、塞がれている。

 ここで迷宮の植物と決着を着けろってことか?


「どうやら、アレが迷宮の植物の本体のようです」


 ミールが指差す先に太い枝に蔦が複雑に絡み合ってできた、どう表現していいかわからない巨大な物体があった。

 確かにフロア中の植物は、すべてコイツと繋がっているようだな。



[ヒュージ·エレメンタル] レベル―――

〈体力〉2759000/4085000

〈力〉――――〈敏捷〉――――〈魔力〉――――


〈スキル〉

――――Unknownアンノウン―――――



 鑑定魔法使ってみたら表示が出た。

 とはいえ、ほとんどのステータスが塗り潰されたようになっていて不明だが。

 かろうじて見える〈体力〉が半分くらい削れているが、今までの魔物と比べて、あまりに膨大だ。



[ヒュージ·エレメンタル]

複数の精霊が一つとなった集合体。



 ミールの言う通り、コイツが元凶の可能性が高いな。〈体力〉が減っているのは、おそらくこの階層に来るまでに、コイツの一部である、枝や蔦を撃退し続けていたからだろう。

 無限湧きかと思ったが、限界はあるようだ。



風神天星華ふうじんてんせいか!!!」


 フウゲツさんが元凶に向けて先制攻撃を放った。

 鋭利な刃物のような烈風が、絡みついた蔦を切り刻んでいく。

 だが蔦はすぐに再生し、フウゲツさんを敵と認識したのか床、壁、天井のあらゆる場所から攻撃を繰り出してきた。


「フウゲツ殿!」


 アイラ姉が迫り来る攻撃を防ぎ、フウゲツさんを助けた。それでも迷宮の植物の攻撃は収まらず、次々と二人に襲いかかっている。


 オレもこのまま黙って見ているつもりはない。

 あれから充分に時間は経ったし、もう一度「聖」魔法を使用した。


「アブソリティ·センクチュアリ!!」


――――――――――!!!!!



 オレが魔法を使ったのとほぼ同時に、元凶からまばゆい光が放たれ、「聖」魔法が打ち消されてしまった。

 マジか······!? 元凶には効果がないのかよ。

 いや、ひょっとして一度使って見せてしまったことで学習したのか?

 周りに目を向けると、下の階層では有効だったエイミとミールの魔法も的確に防がれているのが見えた。

 同じ攻撃は通用しないと思った方がよさそうだな。



――――!! ――――!! ――――!!


 周囲を囲む蔦の先から、次々とレーザー光線を撃ってきた。かなりの威力で2、3発受けるだけで魔法障壁が(つらぬ)かれた。直撃したら身体に風穴が開きそうだ。


「レイ、フウゲツ殿達を頼む。私の奥義で、あの本体を両断する!」


 アイラ姉に言われ、オレは三人を守ることに専念する。アイラ姉の奥義なら元凶を倒すことも、おそらく可能だろう。


 問題は、まだここは299階層だから最奥ではないということだ。つまりあの元凶は迷宮の守護者ではなく、ただの中ボスだと思われる。

 迷宮の守護者も学習するタイプだとしたら、あまり手の内を曝け出すのは、悪手になりかねないが······。



「百花繚乱······桜花無双撃!!!」


 元凶に向かっていくアイラ姉に周囲の蔦が襲いかかるが、それらを流れるように躱し、元凶を斬りつけた。

 アイラ姉の奥義によって、元凶が大きく斬り裂かれた。


「ム、これでは仕留め切れんか。ならば弐の太刀······紅葉乱舞撃!!!」


 さらにアイラ姉が追い打ちをかける。

 元凶もやられっぱなしではなく蔦で攻撃したり、レーザー光線を放ったりして反撃しているが、アイラ姉には一切通用していない。


「これでトドメだ。終の太刀······幻想無限桜!!」


 三段構えの奥義がすべて炸裂し、アイラ姉の宣言通り元凶は両断された。

 元凶は光の粒となって消滅していく。

 部屋を覆う植物も動きが止まり、再び襲いかかってくる気配はなくなった。

 どうやら元凶を倒せたと判断していいようだな。



 これで残るは最上層の守護者だけだな。



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