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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第二章 始まりの町アルネージュでの出来事
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閑話② 2 珍妙鍛冶師ノギナ

「ほ、本当にここを使っていいっすか!?」


 鍛冶工房の一画を見てノギナが声をあげた。

 ここには鍛冶に必要な物がすべて揃っている。

 作ったのは、もちろんオレ達だ。


 アイラ姉とシノブと協力して第三地区の空いていた土地に鍛冶工房を作ったのだ。

 専門の知識の無いオレ達では鍛冶に必要な物などわからないのでノギナの注文をそのまま受け入れる形で建てた。



 自分で指示して作ったのに驚きすぎでは?

 まあノギナもまさか自分の注文がすべて受け入れられるなんて思ってなかったみたいだが。


 そもそも何故ここに工房を作ったのかというと、ノギナに武具を作ってもらうという話になったのだが、あのままドワーフ工房で見習い卒業したばかりのノギナがオリハルコンを扱ったりしたら確実に目立つからだ。



「独立して自分の工房持てるなんて感激っす!」

「まずは実力を見せてもらうよ」


 鑑定魔法で(鍛冶〈レベル4〉)のスキルを持っているのはわかったが、実際どれくらいの腕前だか見せてもらわないとな。

 さすがにいきなりオリハルコンの武器を作らせるつもりはない。


「任せてっす! 何でも作るっすよ!」


 なら最初は銀の素材で武器を作ってもらおうかな。

 オレは(素材召喚)で銀のインゴットを出してノギナに渡した。


「まずは銀の剣っすね? ウチの実力見せてやるっす!」


 気合い一番でノギナが準備を始める。

 慣れた手付きで道具を揃えて剣を打ち始める。

 本場の職人の仕事振りを見たことはないが、これはなかなか手際が良いのではないかな。




「出来たっす!」


 しばらくするとノギナが声をあげた。

 思ったより早いな。

 さっそく出来映えを見せてもらう。



(銀の剣)攻撃力+240

白銀に輝く美しい剣。一定の確率で魔法攻撃を弾く効果がある。



 おお、凄い出来じゃないか。

 それなりの攻撃力があり、しかも追加効果も付いている。

 店売りの銀の剣は攻撃力200もなかったはずだし、これはノギナの腕が良いということだな。


 続けて白金(プラチナ)、ミスリルなど素材のランクを上げて色々作ってもらった。



(プラチナソード)攻撃力+350

白金(プラチナ)で作られた非常に美しい剣。対象を斬ると特殊な効果音が出る。



(ミスリルのクズ剣)攻撃力+65

ミスリルを材料にした失敗作。耐久力はミスリルとは思えない程に脆く、数回斬れば使い物にならないだろう。




 白金(プラチナ)の方はうまく出来たみたいだけどミスリルの方は明らかに失敗だな。

 攻撃力が鉄の剣より僅かに高いくらいで、見た目はみすぼらしい。


 ドルフさんの見立て通りかな。

 これじゃあ確かにオリハルコンはまだ早そうだ。


「ちょっと失敗したっすけど、ミスリルだって五回に一回は成功出来るっすよ!?」


 言い訳っぽくノギナが言う。

 つまり五回に四回は失敗すると。

 まあちょっと失敗したけど腕は悪くなさそうだ。


 ······ん? プラチナソードの説明文に気になるのがあるな。

 対象を斬ると特殊な効果音が出る?

 どういうことだ?

 オレはプラチナソードを持ち、適当な物で試し斬りしてみた。



―――――ポコンッ、ピコッ、ポヨヨンッ


 切れ味は問題ない。

 だが斬る度に気の抜ける音が鳴った。


「ノギナ、何コレ?」

「武具を作る時魔力を込めるっすけど多分その影響っす! ウチにもどんな効果が付くかわからないっす!」


 武具に特殊な効果を付与するのはかなりの技術がいると聞いたことがある。

 それが出来るノギナは凄い技術の持ち主なのだが、ノギナ自身にも完成するまでどんな効果かわからないらしい。

 ············凄いのか凄くないのか。



 もしかして最初の銀の剣の魔法を弾く効果もランダムで付いたものだったのかな?

 ということは運が良ければ有用な効果も付与されるってことか。


「ちなみに何も効果を付けないで武具は作れるの?」

「出来ないっす!」


 ノギナが元気良く答えた。

 なんでだよ············。

 効果を付与する方がよっぽど難しいはずだろ?



 その後も色々な素材で剣だけでなく、槍やナイフ、盾や篭手など作ってもらった。

 ミスリル以下の素材ならばほぼ問題なく成功するようだ。


 ただ効果が············。

 敵の攻撃を防ぐと鼻を突くような臭いを撒き散らす盾。ヌルヌルの液体を出す篭手。

 その他にも訳のわからない効果の武具が並んだ。



「···············」


 どうコメントしていいかわからない。


「ど、どうっすか!? 駄目っすかね······」


 駄目というわけではないが············。

 致命的に駄目というわけでもないので、どう言うべきなのか困る。

 お、ノギナのスキルが(鍛冶〈レベル5〉)に上がってる。

 あれだけ作ったんだし当然か。

 しかしノギナの反応は違った。


「ああーっ!? 本当っす! ウチのスキルレベルが上がってるっす! あれだけでレベル上がるなんて凄いっすよ!」


 どうやらスキルレベルは簡単には上がらないものみたいだな。

 オレの(獲得経験値10倍)ってスキルの方にも影響あるのかな?

 それともたまたまかな?

 ······わからないな。


「オリハルコンはもう少しレベルが上がってからだね」

「わかったっす! ウチ頑張るっすよ!」


 ノギナもやる気のようだししばらくは様子見かな。



 その後は鍛冶に興味のある孤児院の子供達を何人か手伝いに連れてきて第三地区に工房〈ノギナ〉が開かれた。

 ノギナが作る物でも日用品にはそこまでおかしな効果は付かないので第三地区で大盛況となっている。


 ノギナの手伝いをしている子供達にも

(鍛冶〈レベル1〉)スキルが付いていたので、いずれは第六地区のドワーフ工房に匹敵する工房になるかもしれない。



 ドルフさんの許可ももらい、ノギナは第三地区専門の鍛冶師(ほぼ日用品ばかりだが)となった。



 オリハルコンの武器は気長に待つかな。




 




閑話は思いつくまま書いているので3~4話続くこともあれば、1話完結の時もあります。

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