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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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382 試練再び?

 ちょっとトラブルもあったが、迷宮攻略は順調に進んでいる。

 そうして目的の290階層までたどり着いた。

 ボスモンスターが現れそうな大部屋のフロアだ。

 部屋の中央には大きな沼のような水溜まりがある。部屋全体がまるで湿原みたいだ。


「複数の魔物の気配でござる!」


 シノブが言い、周囲を警戒する。

 確かに探知魔法で複数の魔物の気配が確認できた。



―――――!! ―――――!! ―――――!!



 中央にある沼が盛り上がり、次々と魔物が出てきた。巨大なカエルの魔物だ。

 7、8、9······少なくとも10匹以上はいるな。

 ジャイアントラーナ、デビルフロッグ、エレメンタルトード······種類は様々だが、全部カエルだ。


 レベルは大体500〜600、一番高い奴で650だ。

 ここまで来ると魔物もかなりの強さだな。

 オレやシノブ、ヴェルデなら問題ない強さだが、レベル500前後のミウ達には少々厳しい相手かもしれない。


「キリシェさん、ミウ、スミレ、メリッサは後方からの援護を! こいつらステータスが高く、厄介なスキルも持っているから、迂闊に近寄ると危険だ!」


 オレはそう指示を出して、カエルの魔物を迎え撃つ。オレはキリシェさんとミウを守りながら戦い、シノブはスミレを、ヴェルデはメリッサと共に戦う。


 数が多くて厄介だが、それぞれ確実に撃破していく。数が減れば戦いやすくなる。

 数匹倒せば大分余裕がでてきた。



 それにしてもカエルの魔物か······。

 なんだかルナシェアの聖女の試練を思い出すな。

 何故か聖女の試練の内容が魔物の討伐で、それがカエルの魔物だったんだよな。


 迷宮(ここ)のカエルに比べたら弱い魔物だったが、あの時のルナシェアにはかなりの強敵で、それなりに苦労した記憶がある。

 そういえばルナシェアがカエルの吐き出した粘液をモロに浴びて、大変なことになっていたな。


 ············ん? そんなことを考えていたら、なんか嫌な予感がしてきたぞ。



――――――――――!!!!!


「「きゃあああー!!?」」


 後ろからミウとキリシェさんの悲鳴が響いた。

 主にミウの悲鳴で、キリシェさんは小さく叫んだだけだったが。

 振り返ると二人が魔物の吐き出した粘液を浴びて、ヌルヌル状態になっていた。


「「「ゲゴォオッ!!」」」


 カエル達が一斉に粘液を吐いてくる。

 ミウ達だけでなく、全員が粘液を浴びてしまっていた。もちろんオレも······。


「うっひゃあ〜、うまく立てないし、武器も持てないよ!?」


 メリッサが派手に転んで、持っていた巨大なハンマーを落とした。

 拾おうとしても全身ヌルヌルで立ち上がれず、武器を持つことも出来ずにいる。

 スミレも似たような状態だ。


 毒などの状態異常を引き起こすような特殊な粘液ではないようだが、みんな大変なことになっている。

 ルナシェアの時の粘液よりもヌルヌル感が強力で、下手な状態異常よりも効果的だ。



「――――――ツルツル楽しい〜! みんなも楽しそう!」


 ヴェルデにはあまり効果はないようで、この状況を楽しんでいた。

 ヴェルデは魔法主体なので武器を持っておらず、粘液を浴びても大して影響はないようだ。


 ただこの粘液、発火性とかはどうなのだろうか?

 燃えやすい液体だったら、みんながヌルヌル状態のこの状況で「炎」系の魔法は非常に危険だ。

 ヴェルデの爆裂魔法で引火して、全員吹き飛ぶとかもありえる。


「シノブは大丈夫か?」

「この程度の粘液、問題ないでござる!」


 シノブも粘液を浴びていたが、まったく問題なさそうだ。普通に立ち上がり、武器もしっかり持っている。

 オレも特に問題はない。

 (全状態異常無効)スキルって、こういう粘液の影響も無効化してくれるんだろうか?


 まあ、問題ないならそれでいい。

 この状況では悠長にしてられないので、一気に魔物を殲滅してしまおう。



 オレとシノブは本気を出して、残りの魔物(カエル)をすべて倒した。

 探知魔法にこれ以上の反応もなく、新手はなさそうだ。



 魔物が全滅すると、沼の中心からニョキニョキと木が生えて上へと続く道ができた。

 これでこの階層はクリアのようだな。



「えーと、みんな大丈夫?」


 とりあえずオレは全員の様子を確かめる。

 シノブとヴェルデは大丈夫そうだが。


「ヌルヌルして気持ち悪いですー」

「早く温泉で洗い流したいわね〜」


 ミウがちょっと泣きそうな顔で言う。

 キリシェさんはマイペースながらも、少し困り顔だ。


 メリッサはヌルヌルに慣れたのか、今はヴェルデと楽しそうに遊んでいる。

 スミレはまだヌルヌル状態に悪戦苦闘していた。



 この状況じゃあ、これ以上の迷宮探索は無理そうだな。まあ、もともと290階層までの予定だったし、丁度いいかな。

 魔物の粘液は洗浄魔法や「水」魔法では、完全に取り除くのは難しそうなので、このまま転移魔法で迷宮を脱出した。




 平気とはいえ、粘液まみれなのはオレも同じなので、キリシェさんが言っていたように早く温泉で洗い流したいな。

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