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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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380 ヴェルデのトラウマ

 ヴェルデ達に対するアイラ姉からのお説教が終わり、今度はオレ達が迷宮に入る番となった。

 アイラ姉と一緒に入ったメンバー、特にミールがまだまだ疲れていないので、オレ達と一緒に攻略に連れて行ってほしいと言ってきたが、アイラ姉が却下していた。


 疲れた様子はないが、休憩も大切だからな。

 昨日のこともありミールは強くなりたがっているようだけど、焦るのは良くないと思う。




 アイラ姉の転移魔法で280階層まで送ってもらい、迷宮攻略を開始する。

 アイラ姉はオレ達を送ったら、迷宮の外に戻っていった。


「にししっ、どんな魔物でもアチシが倒しちゃうよ〜!」

「――――――ヴェルデもいっぱい暴れる!」


 さっそくメリッサとヴェルデが張り切り出した。

 アイラ姉からのお説教に堪えているかと思ったのだが······いや、堪えているから暴れて発散したいのかな?


「うふふ〜、お姉さんだって頑張るわよ〜」

「あたしだって、やる時はやりますよー!」


 キリシェさんとミウも気合(?)が入っているようだ。気の抜ける声だと思ったら失礼かな。


「あと少しで最上層でござるな」

「このまま一気に守護者を倒す······」


 シノブとスミレも問題なさそうだな。

 というかスミレ、迷宮の守護者がいる最上層までは、まだ行かないからな?


 それにしても、このメンバーだと迷宮攻略というよりも、小学生の遠足の引率でもしている気分になるのは気のせいだろうか?





 さて、いい加減気を引き締めないとな。

 ここは迷宮で最奥に近い階層だ。

 何が起きるかわからないから油断してはいけない。


 上に続く道を進み、281階層に入った。

 下の階層に比べてフロアが狭くなっているようなので、攻略に時間はかからないだろう。

 その分、魔物は強力になっているから油断は禁物だがな。




 迷宮の雰囲気は今までと変わらず、学園地下迷宮のように突然、禍々しい構造に変化しているとかもない。

 出現する魔物も相変わらずの蟲系の奴らばかりだ。レベルも平均150くらいで、たまに200を超える奴が現れるが、脅威と呼べるほどの魔物はいない。


 ミウが芋虫やら毛虫やらの魔物を相手にして、悲鳴をあげることが何回かあったけど。

 最初の頃に比べたら慣れてきたようだけど、やはりいきなり現れたりすると驚くようだ。

 無意識からか何度かオレに抱きついたりしてきた。まあ、オレとしても役得なので、怖がるミウを宥めながら先に進んだ。


 他のメンバーは虫相手でも平気そうだ。

 シノブやスミレは問題なく相手にしているし、キリシェさんも怖がることなく戦っている。

 メリッサも楽しそうに虫を相手に無双している。ヴェルデも一緒になって、思いっ切り暴れていた。


 頼もしいというか何と言うか······問題なさそうなので良しとしよう。

 そう思っていたら······。


「新手の魔物でござる!」


 ちょっと広めのフロアに入ったところで、複数の魔物が襲いかかってきた。

 見た目は巨大なムカデの魔物でレベルが350もあり、今までの奴らよりも強力だ。

 毒液やら吐いてきて厄介だが、慌てるほどの魔物でもない············はずだったんだけど。



「――――――いやぁぁーーっ!! ごめんなさいごめんなさい! 反省してるからもう許してアウルムーーッ!!!」


 突然、ヴェルデが叫んで無差別に魔法を放ち出した。完全に我を忘れている様子だ。

 ヴェルデの魔法に巻き込まれないように、シノブと魔法障壁を張って全員を守る。


 しばらく爆音が響いていたが、すぐに静かになり、警戒しながら周囲の様子を確かめる。

 ヴェルデの本気の魔法を受けたのだから、当然だがムカデの魔物は全滅していて跡形もない。

 周りは迷宮が崩れなくてよかった、と思うような有様だった。


「ヴェルデはああいう脚がいっぱいあるようなのが苦手なんだよ。アウルムの罰で何度かゲテモノプールの刑ってのを受けてたから」


 メリッサが言う。

 蟻やら蜂とかは平気そうだったけど、ムカデは駄目なのか。まあ、オレもカブトムシとかは平気だけど、似たような形のGは絶対無理だしな。

 今の魔物は、相当にヴェルデのトラウマを刺激したらしい。



「――――――ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい············」


 ヴェルデがオレにしがみつきながら、そう繰り返した。だんだんと落ち着いてきてるみたいだけど、まだ身体がブルブル震えている。



 これはちょっと休憩した方が良さそうだな。



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