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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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377 神樹の迷宮攻略に向けて

〈至急、神樹グランフォネストの迷宮を攻略せよ〉


 メニュー画面に神託が表示されていた。

 神樹の迷宮を攻略せよって、今更な内容だな。

 けど、至急ってどういうことだろうか?


「師匠、アイラ殿。拙者に神託とやらが下ったでござる」


 考え込んでいたら、シノブがオレ達にそう報告してきた。どうやらシノブにも、オレと同じ内容の神託が表示されたらしい。


 アイラ姉は特別ボーナススキルが解放されていないので、メニュー画面に神託の項目はないが、あったらアイラ姉にも神託が表示されていたかもしれないな。

 オレにも神託が下ったことを二人に話した。



「フム、二人揃って神託が下ったのか。神樹の迷宮を至急攻略しろとは、何か切羽詰まった事情でもあるのだろうか?」


 アイラ姉が言う。

 神樹に迷宮が現れてから、もう1ヶ月以上経っている。迷宮から魔物が出てくるとか、そういう事態は起きていないので攻略はゆっくり進めていたけど、のんびりしすぎて女神がしびれを切らしたとか?


 いや、そもそもなんで神樹に迷宮が現れたのかもわかっていないしな。

 もしかしたら学園地下迷宮のように突然、魔物が湧いて出てくることもありえる。

 神託が下ったってことは、そういう事態が起きる前触れなのかもしれない。




「あなた達にも神託が下ったのね。私も獣神様から同じ内容の神託を授かったところよ」


 そのことをゲンライさん達に相談したら、フウゲツさんにも神託が下っていたらしい。

 女神からではなく、獣神からの神託のようだが。


 フウゲツさんは獣神の神子という立場であり、獣人族や幻獣人族が崇める神からの祝福を受けている。

 滅多にないらしいが、神託を授かることもあるようだ。その滅多にないことが起きたのか。


「獣神様と女神様からの神託が下りるとは······。これは無視するわけにはいかぬのう」


 ゲンライさんも神託が下ったことで、神樹の迷宮化は思ってたよりも深刻な問題ではと考えているようだ。


 まあでも神樹の迷宮は、すでに270階層まで攻略済みだ。そろそろ王都の学園も再開するし、一気に攻略を進めようと思っていたところだ。

 神託がなかったとしても、やることは変わらない。



「フム、ならば明日からの探索で一気に攻略を進めるとするか。他のメンバーもやる気満々だし、サフィルス達も充分過ぎる戦力になる。油断は禁物だが、よほどのイレギュラーが起きない限りは攻略は可能だろう」


 アイラ姉の言葉にゲンライさんとフウゲツさんが頷く。オレやシノブも異論はない。

 270階層までで現れた迷宮の魔物は精々レベル100〜200くらいの奴らだ。

 一番強かったのは200階層に現れたレベル600超えの、てんとう虫の魔物で、それよりも高レベルの魔物は今のところ確認されていない。


 他のメンバー達も、今までの攻略でかなりのレベルアップを果たしているので充分対抗できる。サフィルス達に至ってはレベル900を超えているので、本気になれば明日一日で完全攻略できるかもしれない。





 明日からの迷宮探索についての話し合いはアイラ姉達に任せて、オレとシノブはそれぞれ自室に戻って休むことにした。

 今日はトゥーレミシアの件など色々あって、オレも精神的に疲れたからな。


 それとエイミとミールがちょっと心配だ。

 トゥーレミシアからエルフの里の情報を教えてもらって、かなり気にしている様子だったからな。

 自室に戻る前に、二人の部屋に寄ることにした。


「エイミ、ミール。入るよ?」


 扉をノックして返事をもらってから中へ入った。

 部屋にはエイミとミール、そしてレニーがいた。

 すでに遅い時間帯だったので、寝る準備をしていたようだ。


「どうしましたか、レイさん?」

「いや、二人の様子が気になってね······。余計な心配だったかな?」

「いえ······そうして心配してくれるなら、素直に嬉しいです」


 普段より少しだけ元気がなさそうだが、ミールがそう答えてくれた。

 エイミもそこまで落ち込んではいないようだ。


「わ、わたしも大丈夫だよ。お父さんとお母さんのこと、少し思い出しちゃってたけど······」

「トゥーレミシアさんがエルフの里について調べてくれているのは朗報でした。ワタシ達だけではエルフの里に戻るのも難しく、真相を知りたくても、情報を得る手段がありませんでしたから」


 一応、二人はエルフの里では犯罪奴隷という立場だったな。二人が何かしたわけでもないのに、理不尽な話だと思うが。


「だ、大丈夫ですよエイミさん、ミールさん。トゥーレミシア様とバルフィーユさんが動いているなら、きっとすぐにでも有力な情報が掴めると思いますよ」


 レニーが二人に気を使いながら言う。

 レニーは二人に、特にエイミにかなり気を許している感じだな。

 いつの間にかずいぶん打ち解けたものだ。


 それにしても、トゥーレミシアやバルフィーユはどうやってエルフの里について調べているんだろうか?

 魔人族である二人が探るような行動をすれば、目立つ気がするが。

 まあ、二人とも魔人族の中でもかなり偉い立場みたいだし、情報収集に長けた部下とかがいるのかもな。



「そういえば、レイさんはさっきまでフウゲツさん達と何か話していたみたいですけど、何かあったのですか?」


 ミールにそう聞かれたので、オレとシノブ、そしてフウゲツさんに神託が下ったことを話した。

 それを聞いてミールが真剣な目付きでオレを見た。


「レイさん、明日の迷宮探索は必ずワタシもついて行きますよ」


 まあ、ミールならそう言うと思った。

 エルフの里の事件は、魔人族の神将が黒幕として関わっている可能性がある。

 神将ということは、バルフィーユとトゥーレミシアと同格だ。相当な実力者だと思われる。

 今のミール達でも対抗できるかわからない。

 だから迷宮攻略で、今よりももっと強くなりたいのだろう。


「わ、わたしも連れて行ってほしいかな······」


 いつもはミールより消極的なエイミも、今回は少しばかし積極的となっている。

 それだけ真剣なのだろう。


「自分は······遠慮したいんですけど」


 一人遠慮がちな人物もいるけど。

 ちなみにレニーもメリッサに無理矢理連れられて、迷宮探索に何度か参加している。

 気弱な見た目とは裏腹に、レニーもかなりの実力者なんだよな。




 まあ、明日の迷宮攻略に参加したいというなら、オレに異論はない。

 神託も下ったし、明日で神樹の迷宮を完全攻略してしまおうか。



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