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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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376 話し合いを終え、そして神託下る

 その後、休憩を終えてゲンライさん達とトゥーレミシアの話し合いが再開された。

 色々と情報交換をして、最後にトゥーレミシアは幻獣人族の里には手を出さないこと、他の魔人族、特に魔王軍などには幻獣人族の里(ここ)の情報は話さないことを約束してくれた。


 トゥーレミシアが人形軍団を率いて侵略してきていたら、とんでもないことになっていただろうからな。穏便に済んでよかった。




 しかし、話し合いを終えてトゥーレミシアが人形娘達を連れて帰ろうとしたら、また問題が起こった。


「――――――やだぁ~!! メリッサだけズルいズルい! ヴェルデも残るーーっ!!」


 メリッサだけは幻獣人族の里(ここ)に残らせ、トゥーレミシアは他の人形娘達は連れて帰るつもりだったようなのだが、見ての通りヴェルデが駄々をこねだした。

 オレの身体にしがみついて、絶対に離れない姿勢を取っている。


「――――――ヴェルデ、それ以上創造主(グランドマスター)に逆らうのなら、またバラバラにした後、ゲテモノプールの刑に処すわよ?」


 人形娘達のリーダー格のアウルムが、ヴェルデを脅すように言う。

 ゲテモノプールって······なんだその罰は?


 ヴェルデもその罰が怖いようで震え上がるが、それでもオレから離れずに、ウーッとアウルムを威嚇していた。


「――――――そんならウチも残りたいわ〜」

「――――――もちろん私も主人(マスター)の側で仕えます」


 そしてパールスとサフィルスも、ここに残りたいと言い出した。アウルムともう一人、銀髪の女性シルヴァラがそんな二人に苦言を呈している。

 ちなみに人形娘達はアウルムがリーダーで、シルヴァラがサブリーダーという位置付けらしい。

 その様子を見て創造主(トゥーレミシア)は頭を抱えていた。


「············今は特に殺戮人形(あなた達)を動かす案件はないから、自由にするのは構わないんだけど」


 そう言いながらトゥーレミシアがオレを睨みつける。一応、和解(?)したのだが、オレに対して言いたいことがまだまだあるという感じだ。

 自由にするのは構わないけど、オレの側にいるのが問題なのだろう。


「貴方······これ以上、私の大事な子達に変なことを吹き込まないで頂戴ね······!!」


 トゥーレミシアが引き攣った笑みをうかべて、オレの頭を掴んだ。所謂、アイアンクロー状態だ。

 細い指でオレの頭をギシギシと締め付けてくる。

 この人、〈力〉はオレよりも上かもしれない。





 結論から言うとサフィルス、ヴェルデ、パールスの三人は今まで通り幻獣人族の里(ここ)に残ることになった。

 ゲンライさんとフウゲツさんの許可も出たので、その点は問題ない。

 寧ろ、トゥーレミシアの方が最後まで渋っていたが、三人の自主性を尊重することにしたようだ。


「この子達の我儘を聞き入れてくれて感謝するわ。ただ、あの男とふしだらな行為をさせるのはやめさせてほしいわ」

「ウム、レイには私から厳しく言っておこう」


 トゥーレミシアの言葉にアイラ姉が頷き答える。

 ()()()じゃなくて、人形娘達に厳しく言ってほしいのだが。

 まあ、一応オレは主人(マスター)とされているから言う事を聞いてくれるので、トゥーレミシアの逆鱗に触れないように、よく言い聞かせておこう。




「――――――サフィルス、貴女が主人(マスター)と呼ぶ男が欲情のまま襲いかかってくるようなことがあれば、迷わずコレを使いなさい」


 向こうではアウルムがサフィルスに何かを渡していた。何やら禍々しい雰囲気を感じる短剣だ。



即死の短剣(デス·ダガー)〈アイテムランク9〉)

攻撃力+???〈状態異常攻撃、呪詛付与〉

一度切り付ければ対象にあらゆる状態異常を与え、三度切り付ければ耐性のない者は即死させる効果を持つ短剣。



 おい。なんつー恐ろしい物を渡してるんだ。

 〈アイテムランク9〉って、聖剣よりもランクが上じゃないか。サフィルスにオレを殺させるつもりか?

 オレは(全状態異常無効)のスキルを持っているけど、即死効果って防げるのだろうか?

 試してみるわけにもいかないが······。


「――――――サフィルス、創造主(グランドマスター)が危惧するように男という生物は大変危険なもの。迷いは一切不要。それと話は変わるけど、毎朝の身だしなみについて、肌の手入れに髪質チェック、さらには······」

「――――――アウルム、もうわかりましたから、助言は不用です」


 なんだかアウルムって、妹を溺愛しているお姉さんって感じだな。

 そしてサフィルスは、そんなアウルムをぞんざいに扱っているように見える。



「――――――アウルムはサフィのこと、えらい可愛がっとるからな〜。サフィに感情が芽生えて嬉しいんやろな〜」


 パールスが言う。やっぱりそうか。

 ああして見てるだけなら、仲の良い姉妹だからな。

 そんなアウルムとサフィルスの様子を、シルヴァラが輪に入りたそうに見ている。

 シルヴァラは無口なのでわかりづらいが、アウルム同様にサフィルスを気にかけているようだ。




 あっちの方では、ヴェルデと他の人形娘達が何か言い合っている。

 特に黄色い髪の少女(フラウム)桃色髪の少女(ロセウス)がヴェルデ達だけズルいとか、自分も遊びたいとか言っているのが聞こえた。

 まんま子供同士のケンカみたいだな。

 人形娘達はみんな仲が良いようだ。





 人形娘同士で色々と揉めていたが、最終的には全員納得して話がまとまったようだ。

 トゥーレミシアと連れて来た6人の人形娘達は、突き破った結界を修復して帰って行った。

 なんだかんだで話の分かる人だったからよかった。


 エルフの里の事件について調べているようだし、今後も関わることになるかもしれないな。

 正直、トゥーレミシア(あの人)は敵に回したくないと思った。




 ようやく一件落着と思って一息ついたところで、メニュー画面が勝手に開き、〈神託〉の項目が点滅していた。



〈至急、神樹グランフォネストの迷宮を攻略せよ〉



 これが表示された神託の内容だった。

 え? なんで今頃、そんな神託が? 



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