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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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371 とりあえずの収束

 トゥーレミシアの両手に、とんでもない魔力が込められた「炎」の球が現れる。

 全力で魔法障壁を張っても防げるかわからない。


 逃げようにもオレは今、アウルムという女性の伸びた金色の髪に縛り上げられて身動きが取れない。

 いやいや、ちょっと待って。

 アウルムの髪ごとオレを燃やす気か?


「変態は跡形もなく燃やして浄化やるわ! 覚悟なさい、プルガトリウム·フレイム!!!」


 トゥーレミシアの両手から「炎」が放たれた。

 離れていても熱さを感じるくらいのヤバい攻撃だ。直撃したらヤケドじゃ済まなさそうだ。


「転移!」


 オレは咄嗟に転移魔法を使って「炎」を避けた。

 短距離転移というやつで、トゥーレミシアの後ろに移動しただけだが、うまく攻撃を避けることができた。

 もっともアウルムも一緒に転移したので、縛られたままで身動き取れない状態から変わっていないが。


「空間転移!? 詠唱儀式もなしにそんなことができるの!?」


 トゥーレミシアが振り返り、驚きの声をあげた。

 オレがさっきまでいた場所には、凄まじい熱量の火柱が上がっていて、ちょっとゾッとした。

 一応、周りに燃え移らないように威力を調整していたようだが。

 やはりこの人、幻獣人族の里(ここ)を滅ぼそうとか、そういう考えはないみたいだな。

 ただオレに対して恐ろしいほどの殺気を放っているけど······。



――――――――――!!!


 オレを縛り付けていた金色の髪が切れ、拘束から解放された。


「何事だ、これは!?」


 魔剣を手にしたアイラ姉がオレの前に立つ。

 結界を突き破っての侵入だったし、さすがにあれだけ騒いでいたのだから、気付いて駆けつけてきたようだ。

 アイラ姉だけでなく、シノブやフウゲツさん達などの他の面々も続々と集まってきた。


「あ、やっぱりトゥーレだ! それにアウルム達まで来てる」


 メリッサがトゥーレミシアや他の人形(ドール)達を見て言う。その横からヴェルデとパールスが飛び出してきた。


「――――――創造主(グランドマスター)、ひょっとしてヴェルデのこと怒ってる? 怒ってる?」

「――――――何事なん、創造主(グランドマスター)? そないに怒り狂うて」


「勝手なことしてる、あなた達を連れ戻しに来たに決まってるでしょ!? サフィルスといいあなた達といい、一体どうしちゃったのよ!!」


 ヴェルデ達を見て、多少は冷静になってきたみたいだ。まだかなりお怒りのようだけど、ヴェルデ達の説得で怒りを鎮めてくれないかな。





「お前達は何者だ? 何が目的でこんなことをしている?」


「――――――最大レベルの脅威。シルヴァラ、油断しては駄目」

「――――――御意」


 向こうではアイラ姉とアウルム、シルヴァラが対峙していた。アイラ姉に斬られたアウルムの髪はすでに元通りになっている。

 二人はアイラ姉を脅威と感じたようで、迷わず戦闘態勢に入っていた。

 アイラ姉も二人を強敵だと判断したようだ。



 次の瞬間、戦闘が始まった。

 アウルム、シルヴァラの二人がかりの息の合った連携で攻めて、アイラ姉が迎え撃つ。

 凄まじい戦いで迂闊に割って入ることができない。


 今のアイラ姉は全ステータス100万を超えているはず。アウルムとシルヴァラ(あの二人)はそんなアイラ姉とまともに渡り合えている。


 アイラ姉の戦いを見て、トゥーレミシアも驚きの表情をうかべていた。


「アウルムとシルヴァラと互角に渡り合えるなんて······いえ、寧ろ二人が押されてる······?」


 トゥーレミシアが言うように、戦いはアイラ姉が優位に見える。さすがアイラ姉だな。

 アイラ姉の猛攻を受けて、二人が膝をついた。



「――――――かつてない強敵と判断した。シルヴァラ、()()を使う」

「――――――承知、リミッター解除」


 なんだ? 追い詰められた二人が何かしようとしている。

 何をするつもりかわからないが、ヤバい感じがする。アイラ姉も二人の動きに警戒していた。


「ちょっと待ちなさいアウルム、シルヴァラ! それを使うのは許可しないわ。私達は戦争をしに来たんじゃないのよ」


 意外にも彼女達の主であるトゥーレミシアが止めてくれた。

 創造主の命令に素直に従い、二人は動きを止めた。アイラ姉も二人から異様な雰囲気が消えたのを確認して、警戒を少し緩めた。


「そちらに戦闘の意思がないのなら、こちらもこれ以上戦うつもりはない。察するに、あなたはサフィルス達の創造主(グランドマスター)殿だろうか?」


 アイラ姉がトゥーレミシアに問いかける。

 トゥーレミシアも先ほどまでの怒りが薄れて、冷静になったようだ。



「そうね······。お互い、聞きたいことがあるでしょうし、話し合いの場を設けてくれないかしら?」


 トゥーレミシアが穏やかな口調でそう言った。

 雰囲気的に、戦意はなくなったように見える。



 この様子なら、穏便に済ませることが出来るかな?




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