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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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閑話⑭ 2 変態男の乱入(※)

※(注)変態男が登場します。

(リイネside)


 わたしはエネフィーとの手合わせに、心震わせていた。エネフィーはレイと迷宮を攻略し、勇者のスキルを得て大幅に力を上げていた。


 一時はわたしの方が圧倒的に強くなっていたのに、あっという間に追い抜かれてしまった。

 もちろんわたしもアイラに特別に鍛えてもらい、なんとか互角に渡り合えるくらいには追い付いたが。


 ふふっ、だがこれでいい。

 エネフィーとは、常に対等な力関係でありたいと思っているからな。

 以前からお互いに追い抜き、追い付かれを繰り返し、自身の力を高めてきた。


「ふふっ、やるなエネフィー!」

「降参するなら今の内ですわよ、リイネさん!」


 エネフィーも良い表情をしている。

 わたしと同じことを考えているのだろう。

 ならばこの試合、絶対に負けたくないというのも同じだろう!

 わたし達はお互いにスキを突きながら、手加減無用で剣技を放ち合った。


 つい、手合わせだということを忘れて、魔法攻撃も加えてしまったのがまずかったようだ。



――――――――――!!!!!



 おっと、危ないな。

 天井が崩れて、大きな破片が落ちてきた。

 エネフィーとの闘いに熱中するあまり、周りへの配慮を忘れていた。


 レイとパールスが結界を張ってくれているから、建物全体が崩れることはないだろうが、これは少しばかしやりすぎたか。

 そういえば、さっきからレイがわたし達を止めようとする声が聞こえていた気がするな。



――――――――――



 突然、室内が暗くなった。

 魔導照明が壊れて、明かりが消えてしまったようだ。訓練場は外の光が入らない造りとなっているため、照明が消えると真っ暗だ。


 目の前にいたエネフィーや、立会人として見学していたレイとパールスの姿が確認できなくなるほどに暗く、周りの様子がまったく見えない。

 「光」魔法を使ってもいいのだが、「光」属性は加減が難しく、わたしは少し苦手なのだが。

 レイかパールス辺りが室内を照らしてくれないだろうか?



――――――――――ムニュッ



 ん、なんだ?

 手探りで周囲を確認していたら、何かやわらかいものに触れた。

 こんな手触りの物が訓練場内にあったか?

 しばらく触れていても正体がわからない。


「リイネ王女殿、手を離してもらえますかな? そこは私の大切なところです」

「······ん? 誰だ」


 男の声が聞こえてきた。

 誰の声だ?

 レイ······に似ているような、少し違うような?

 いや、しかし他に訓練場内に男などいないだろうが······。


 声の主が「光」魔法を使ったようで、わたしの周囲の一部が照らされた。

 部屋全体が明るくなったわけではないが、目の前は見えるようになり、わたしが触れていたモノの正体も判明した。



「少々暴れすぎですな、リイネ王女殿。あくまで手合わせだというのに、この惨状はやりすぎです」

「············っ!!? お、お前は!?」


 わたしの目の前には黒いマスクで顔を隠した人物······例の正義の仮面を名乗る男がいた。

 相変わらずの下着一枚のほとんど裸の姿だ。

 そしてわたしが触れていたのは、この男の············。


 人は驚きがすぎると声が出なくなるものらしい。

 さ、触ってしまった············。



「あ、あなたは以前現れた仮面の男······!?」


 エネフィーも「光」魔法を使い周囲を照らし、こちらの様子に気付き、男の姿を見て驚いた表情を見せている。

 それは驚くだろう。わたしだって驚いている。

 というか、何故この男がここにいる!?


 この場はレイ達に結界を張ってもらっているため、外から侵入することはできないはずだ。

 いや、この男の実力を考えれば、結界を破ることは可能かもしれんが。


「見たところ、あなた方は力が有り余っているご様子。ならばここからは私が存分にお相手しましょう。お二人で全力でかかって来るといいでしょう」


 男がそんなことを言い出した。

 つまりはわたしとエネフィー、二人を同時に相手にする気ということか?


「い、意味がわかりませんわよ? 何故、私達があなたと手合わせすることになるんですの」


 エネフィーが戸惑いながら男に問う。

 まあ確かにエネフィーの言う通り、突然現れて訳の分からない提案な気はするが。


 だが、この男の正体や真の実力を知りたいとも思っていたからな。

 この男の言葉に乗るのもいいかもしれない。

 何よりエネフィーとの手合わせの余韻が残っていて、まだまだ()り足りないからな。


 この男は、アイラですら勝敗のついていない相手だ。今のわたしの力でどこまで通用するのか、確かめたい気持ちがある。

 さすがに、今のわたしでも一対一では勝ち目がないかもしれないが、エネフィーと二人がかりならば勝機はあるのではないだろうか。



「エネフィー、こう言っているんだ。この男に、わたし達の力を見せてやろうじゃないか。それに手合わせをすることで、この男の正体を見極められるかもしれんしな」

「ま、まあ······私もこの方の正体は気になっていましたけど」


 エネフィーとの手合わせを続けたい気もするが、あのままでは決着が着く前に止められていただろう。

 それならば相手を変えて闘いを続けたいと、わたしは思ってしまった。

 エネフィーも同じことを思ったようだ。



「あの、ですが······()()()()はなんとかならないのですか? せめて何か身に纏った方が······」

「私に鎧などの身を守る物は不要です。お気になさらずとも大丈夫ですよ」


 エネフィーが男から視線を逸らしながら言う。

 男は防具が無くとも問題ないと言っているが、そういうことではない。

 ()()姿()はこちらが直視しづらいのだ。

 ············おそらく言っても無駄なのだろうな。



――――――――――!!!


 不具合が直ったのか、魔導照明がついて明るさを取り戻した。

 おや? パールスの姿はあるがレイの姿が見えない。どこへ行ったんだ?


「――――――主人(マスター)はんなら、あんさんら止められんから、助っ人呼んでくる言うて出ていったで〜」


 わたしの疑問にパールスがそう答えた。

 なるほど、レイは自分でわたし達を止めるのを諦めて、おそらくはアイラを呼びに行ったか。



 パールスはわたし達を止める気はなさそうだし、そういうことならレイが戻ってくる前に、この男との勝負を決めてしまおう。



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