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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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閑話⑭ 1 王女同士の手合わせ

 今日もフレンリーズ王国の書庫で、また色々と調べていた。残念ながら、これといった収穫はなかったが。

 ちなみに今日はアイラ姉は来ておらず、幻獣人族の里にいる。



 区切りのいいところで、調べるのを終わりにした。

 この調子だと、これ以上の情報を得るのは期待出来ないかもしれないな。



「――――――主人(マスター)はん、まだ何か用事あるんか〜?」


 今日はパールスがオレの付き添いとして来ていた。毎回三人ついて来ても困るので、一人ずつ順番にということにしてもらった。


 なので、サフィルスとヴェルデは幻獣人族の里でお留守番だ。今頃、アイラ姉の教育を受けているだろう。


「ああ、リイネさん達が付き合ってほしいことがあるらしいからね」


 本当はこのまま帰ろうかと思っていたんだけど、リイネさんとエネフィーさんがそう言ってきたんだよな。

 何かあるのだろうか?





「これからエネフィーと模擬戦をしたいと思っていてな。レイに立会人を頼みたい」

「お願いできませんか、レイさん?」


 リイネさんのところに行くと、そうお願いされた。

 そういえばリイネさんが国に帰る前に、エネフィーさんと手合わせしたいと言っていたな。

 二人は今では相当な高レベルの実力者になってしまったので、国の兵士達では巻き添えの危険があり、立ち会いは無理だそうだ。


「アイラ姉に頼まなかったの?」

「ふふっ、アイラに立会人を頼んだら、存分に闘う前に止められてしまうだろうからな」


 アイラ姉が止めるであろうくらい、本気の手合わせをするつもりか······。

 それは()()()()で済むのだろうか?

 ············オレも止めたいんだけど。


 今のリイネさんとエネフィーさんを止められるのは、アイラ姉くらいだろう。

 そのアイラ姉がいない時を狙っていたのかな?


「立会人は引き受けるけど······危険だと思ったら止めるからね?」

「ふふっ、心配するな、レイ。加減くらい心得ているさ」


 リイネさんの不敵な笑みで、さらに不安になってきたんだが。まあ、本当にヤバそうだったら本気で止めよう。

 パールスも一緒に立ち会う許可をもらったし、大惨事は避けられるだろう。





 二人の模擬戦のために場所を移動する。

 手合わせする場所は、兵士の訓練を行うための建物の中だ。王都の学園の修練場より大きい。

 今は人払いをしていて、誰もいないそうだ。

 確かに、ここなら存分に闘えそうだな。


「レイ、それとパールス······だったな? 建物の周囲に結界を頼む」

「――――――結界のことなら、ウチにお任せあれ〜。ほな、張るで〜」


 訓練場は頑丈な素材で建てられているので、そう簡単には壊れないだろうが、今のリイネさんとエネフィーさんの激突に耐えられるかは不安すぎるからな。


 パールスにも協力してもらい、訓練場を覆うように結界魔法を張った。

 これなら万が一にも、周囲に被害は出ないだろう。

 問題なのはリイネさんとエネフィーさんの二人だが。



 当然だが、手合わせに使用する武器は、模擬戦用の刃のない剣だ。

 二人の力にも耐えられる特別製のものだが。

 ただの手合わせでオリハルコン製の武器や、聖剣を使わせるわけにはいかない。



「ふふっ、準備は万端だな。それでは始めるとしようか、エネフィー」

「負けませんわよ、リイネさん」


 始める前から、二人の間で火花が散っている。

 この二人、仲は良いんだけど、どっちも負けず嫌いだからな。


 エネフィーさんは本の迷宮で大幅にレベルアップした上に、勇者のスキルを得ている。

 リイネさんもアイラ姉に鍛えてもらっていたのか、いつの間にかレベル500を超えていた。

 ステータス的にはほとんど差がない、勇者のスキルの分だけ、エネフィーさんがやや上なくらいだな。

 この程度の差なら、勝敗がどちらに転ぶかわからない。


「それじゃあ······始め!」


 オレの合図で二人の手合わせが始まった。







 リイネさんとエネフィーさん、二人の闘いは軽い手合わせとは言えない凄まじいものだった。


「幻影刃!!!」

「光来魔弾剣!!!」


 二人の剣技がぶつかり合う。

 模擬剣同士とはいえ、本気で殺しにいってるのではと疑いたくなるほどの激しさだ。

 この時点でアイラ姉なら止めていると思う。


「――――――おお〜、二人とも強いんやな〜。魔人領にも、こないに強いのそうはおらんで〜」


 パールスは呑気にパチパチ拍手しながら、二人の闘いを見ている。

 レベル900を超えるパールスから見たら、二人の闘いは笑って見学できるくらいのレベルなのだろう。



 けど、オレはハラハラしながら見ている。

 二人のぶつかり合いで起きた剣撃が、訓練場の至る所に飛び散り、壁や天井が崩れ落ちて危険なことになっている。結界を張っていなかったら、とっくにここは倒壊しているだろう。


 二人が闘う前に止めるか、やはりアイラ姉を呼んでおくべきだったと、今更ながら後悔した。




「ふふっ、やるな、エネフィー!」

「降参するなら今の内ですわよ、リイネさん!」


 二人の繰り出す剣技が、どんどん強力なものになっていっている。

 とても模擬戦で使うような技ではない。

 さすがにこれはヤバいと思い、止めようと声をかけたが、二人の耳に届いていない。


 二人とも激しい闘いに興奮しているのか、完全に周りが見えていないようだ。

 ついには剣技だけでなく、魔法まで使い出した。

 これ、本気でマズくないか?


 「聖」属性の治癒魔法や特級ポーションがあるから、どんな怪我でも治すことはできるけど、打ちどころが悪く、即死してしまえば治せない。

 さすがにそんな事態にならないと思うが、二人の様子を見ていると、そんな保証はないように思う。




 二人を止めようと動こうとした時、オレの手には()()()()が握られていた。



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