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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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368 鬱憤晴らしの魔物討伐

 水晶球(ステータスレンズ)が機能しないことで実力を認めてもらえず、不満たらたらのヴェルデをなんとか宥めた。

 あまり長居をするのはマズそうだし、さっさと退散するとしよう。


「もう少し、力をつけてから来てくださいね」


 受付嬢がヴェルデ達を慰めるように言う。

 結局、力を示すことができず、今回はヴェルデ達の冒険者登録は見送りということとなった。





「――――――なあなあ、せっかくやし何か依頼ちゅうの受けていこうや。主人(マスター)はんは冒険者登録しとるんやし、受けれるんやろ?」


 もう出ようかと思っていたら、パールスが依頼の貼ってある壁を指差してきた。

 受けるくらいならできるが。

 まあオレもどんな依頼があるのか興味あったし、適当なものを受けてみようかな。



 壁に貼られた紙を確認すると、ほとんどが魔物の討伐依頼だった。

 どうやら魔王軍(ギュラン)達が率いていた魔物が、各地に散って暴れているのが原因らしい。


 魔物の討伐とかなら、ヴェルデも思い切り戦えて機嫌が直るかもしれないし、受けてみるかな。

 依頼書の一つを手に取り、受付まで持っていった。


「こちらの討伐依頼を受けるのですか? しかしこれはランクB相当推奨の依頼となりますので······」


 受付嬢のお姉さんが困り顔で言う。

 オレが持ってきたのは首都を出て、すぐ近くにある鉱山地帯に現れた魔物の討伐依頼だ。


 ワイバーンやその亜種、他にも高レベルの魔物が集まって、一般人やランクの低い冒険者では、とても近付けない状態になっているらしい。

 このまま放っておけば、数を増やして新たな脅威になりかねないとのこと。


「一応、オレのランクBなんだけど」 


 オレはギルドカードを取り出して、受付嬢に見せた。オレのランクを確認して、驚きの表情をうかべていた。

 ランクBは冒険者の中でもトップクラスの称号だからな。その上のランクAやランクSは国の英雄や伝説の勇者クラスになる。


「ラ、ランクBの方だったんですか!? これは······た、確かに。し、失礼しました······!」


 ギルドカードを確認した受付嬢が頭を下げた。

 周りの冒険者達も信じられないといった反応だ。

 年配の冒険者から見たら、オレなんてまだ子供だろうし、こういう反応も仕方無いだろう。


 ランクBでこの反応じゃ、ランクAやSだったらどうなっていたか······。

 ランクB止まりにしておいてよかった。


 冒険者ランクを確認して、依頼を受けるのは問題ないということになった。

 場所もそう遠くないし、すぐにでも向かえる。


「あの、ですがその子達を連れて行くのはやめた方がいいかと······。高レベルの魔物が多数確認されていますので、遊び感覚では危険です」


 受付嬢がヴェルデ達を見て言う。

 ヴェルデ達は水晶球(ステータスレンズ)に反応しないくらい、力のない子供だと思われているからな。

 純粋に心配してくれているようだ。


 この子達はレベル900を超えているとか、本当のことを言うわけにはいかないので、心配させないように無難に返事しておいた。









「――――――むぅ、ヴェルデ本当は強いのに!」


 冒険者ギルドを出た後も、ヴェルデは不機嫌な様子だった。まあ、本当のレベルを知られたら、それはそれで問題が起きるだろうし、これでよかったと思う。


「――――――ああ言う反応は新鮮やったわ〜。ウチらを恐れるんやなくて、心配してくれはるなんてな〜」


 パールスは先ほどの冒険者達の反応を、寧ろ喜んでいるようだ。

 魔人の住む町での人形(ドール)娘達の扱いが気になるな。


「――――――有象無象の評価などどうでもいいことです。主人(マスター)創造主(グランドマスター)のお役に立てることが最優先事項なのですから」


 サフィルスはたいして気に留めていないみたいで、それぞれ三者三様の反応だな。





 さっそく町を出て、魔物が集まっているという鉱山地帯まで向かう。

 この国は鉱石の採掘が盛んなようだし、魔物のせいでそれが行えないと死活問題になりかねない。


 ギルドにいた冒険者のほとんどがランクCやDなので、力不足のため手出しできず、国の兵士達もまだ討伐隊を組めるほど、手が空かない状態だそうだ。




「グルルルッ」「クアアーーッ」

「ゴルル······」


 目的の場所までたどり着くと魔物がわんさか集まっていた。思ってた以上の大群だ。

 魔物の平均レベル60〜80くらいか。

 迷宮では普通のレベルだが、外で現れる魔物にしては、かなり強い方だ。


 魔物の種類も様々でまとまりがない。

 群れを統率するボスはいないのか?

 いや、なんか同士討ちみたいなことをしているし、ボスの座を巡っての争いでもしている感じだ。


 魔王軍に飼われていた奴らが魔人の手を離れ、好き勝手暴れているってところか。




「――――――魔物なんて、全部ヴェルデが殲滅してやるんだから!」


 ヴェルデは魔物相手に鬱憤を晴らす気満々だな。

 ちょっと魔物が気の毒に思えてきた。


「――――――ウチも頑張るで〜」

「――――――主人(マスター)、殲滅の許可を」


 パールスとサフィルスもやる気満々だ。

 このレベルの魔物を相手に過剰戦力(オーバーキル)すぎる気がしてきた。

 まあ、魔物相手に遠慮はいらないだろう。

 オレは頷き、三人に殲滅の許可を出した。





 結果として人形(ドール)娘達によって、魔物はあっという間に殲滅された。

 ハッキリ言ってオレは何もしていない。

 三人には寧ろ物足りないくらいの相手だったようだ。


 ヴェルデの魔法攻撃で、地形が変わりそうになった以外は問題なく魔物は排除された。

 魔物以外、人がいなくてよかったと言っておこう。

 ヴェルデも思い切り暴れられて、少しは機嫌が直ったようだ。

 たまにストレス発散のために、魔物討伐をさせた方がいいのかもしれないな。




 その後、倒した魔物は回収して討伐証明を持って冒険者ギルドに戻り、報告を済ませた。

 依頼を受け、討伐完了まであまりに早いと、また騒ぎとなってしまったから、次からは気をつけようと思う。

 




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