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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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360 加速する狂乱

 サフィルス、メリッサ、そしてヴェルデ、パールスの面倒を一晩見ることになったのだが、なかなかに騒がしい。

 飽きずに他愛のないお喋りを続けている。



 四人の会話を聞いててわかったこともある。

 アウルムという人物が殺戮人形(キラードール)のリーダー格で、創造主(グランドマスター)トゥーレミシアの右腕と呼ばれているようだ。

 他にもシルヴァラ、アーテル、アルブス、フラウムなんて名前も出てきていた。

 おそらくこの子達以外の殺戮人形(キラードール)の名だろう。



 殺戮人形(キラードール)って何体いるんだ······。

 戦闘用だけでなく、他にも色々な種類の人形(ドール)がいるらしい。

 メリッサだけは殺戮人形(キラードール)や他の人形とは違う、何か特別枠っぽいことを言っているが······よくわからないな。

 人形(ドール)達は少数部隊かと思っていたけど、それは間違いで、かなりの大軍団みたいだな。


 トゥーレミシアって人は、今の魔王にあまり協力的じゃないらしいのが救いかな。

 この子達が魔王軍として人族の国々を侵略していたら、あっという間に世界は魔人達の手に落ちていたかもしれない。

 そう考えると恐ろしい存在だな、この子達。





「――――――はぁ〜、そないな男が現れてたんか。それでヴェルデは怯えとったんか。ウチもその男、見てみたかったわ〜」


 どうやら話題は、先ほどの温泉施設での出来事についてになったようだ。

 ()()()が現れて、ヴェルデを無力化したと話している。

 サフィルスには正体を言わないように指示しているため、核心に迫ることは口にせずに黙っている。


「――――――いや、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!」


 その話題になった途端、ヴェルデが怯えて蹲ってしまった。

 殺戮人形(キラードール)と呼ばれ、魔人達に恐れられる存在に、ここまで怖がられるのは複雑だ。


「あの男とレイおにーさんって、何か雰囲気が似てたんだよね。もしかして、おにーさん本人?」


 メリッサにそう言われて、ギクッとしてしまった。

 雰囲気が似ていたって、どの辺が!?

 確かに同一人物だが、全然違うと思うぞ!?

 サフィルスもそうだったが、何かそういうのを見破るスキルでも持っているのだろうか?


 これはどう反応するべきだ······。

 そう考えていたら、メリッサがオレの身体をペタペタ触りだした。


「ん〜? 似ているような、違うような······?」

「――――――あ〜、ウチも興味あるわ〜。レイお兄さん、ウチも触らせて〜な」


 メリッサに便乗して、パールスまで触れてきた。

 本当に興味本位らしく、悪意ある手付きではないのだが、普通にくすぐったい。

 無理矢理引き剥がすのもどうかと思い、されるがままにしている。


「――――――主人(マスター)、私も主人(マスター)の肉体情報に興味があります」


 二人を止めてくれるかと思ったら、サフィルスまで一緒になって触ってきた。

 最初は手さぐりで触れていただけだったが、だんだんこの子達の目付きが怪しくなってきている気がする。



「――――――ん〜、服の上からじゃわからんな〜。お兄さん、ちょい脱がせてもええか?」


 いいわけないだろ。

 オレの返事を待たずに、パールスは上着を脱がしにかかってきた。

 目付きが怪しい······というより怖い。

 興奮しているのか、息も荒くなっている。

 人形(ドール)って呼吸するの? とか、どうでもいいことを考えてしまった。

 いや、それよりもこの子、他の子達に比べてまともかと思ってたけど、もしかして一番危ないのでは?


「ヴェルデも一緒に触ってみる? ほら、おにーさんは怖くないよ」


 一人参加していなかったヴェルデを、メリッサが誘い出す。これ以上、混沌(カオス)な状況にしてほしくないんだが。


 怖がっていたが興味もあったのか、ヴェルデがおそるおそる参加してきた。



「――――――本当だ、怖くない。なんだかずっと触っていたい。安心する」


 怯えた様子が薄れてきたのはよかったが、四人がかりになり、行動がどんどんエスカレートしていっている。

 パールスとメリッサが率先して、オレの服を脱がしてきた。サフィルスとヴェルデは、便乗して身体を触ってくる。



 この子達、こう見えてかなりの高レベルだから、本気で抵抗しないと止められそうにない。

 さすがに()()()()はマズいと思い、少し本気で四人を引き剥がそうとしたら······。



――――――――――ガチャッ



 突然、入口の扉が開かれた。

 いや、ノックらしき音が聞こえていた気がしたが、それどころではなく聞き流していた。


 部屋に入ってきたのはミールとミウだった。

 なんで二人が、この時間にオレの部屋に?

 疑問に思ったが、今はそんなことはどうでもいい。


「きゃあああー♡♡!!?」


 ミウが悲鳴をあげながら、両手で自分の目を覆い隠した。指の隙間からチラチラ見てる気がするが、きっと気のせいだろう。

 今のオレの姿は、上半身はすでに脱がされ、露わにされた状態だ。

 パールスの手が下半身にかかっていたけど、なんとか()()死守していたが、衣服乱れて我ながらなんとも情けない姿だ。


「ずいぶんと楽しそうですね、状況説明をお願いしてもいいでしょうか? 事と次第によっては、ワタシ達も参加したいのですが」


 ミールが言う。

 淡々とした口調だが、何故か圧力を感じた。

 状況説明と言われても、どう話せばいいのだろうか?




 そういえば今日はアイラ姉がいないから、こういう事態を止めてくれそうな人物がいない。

 あれ?

 これってひょっとして結構ヤバい状況なのでは?




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