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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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359 人形達の狂乱?

 その日の夜。

 オレは目の前の騒がしい光景に頭を抱えていた。



「――――――創造主(グランドマスター)に用意してもろた部屋とは、また違う趣きやな〜」

「――――――変態出ない? もう出ない?」

「にししっ、みんなと一緒にお泊りなんて久しぶりだね!」

「――――――パールス、ヴェルデ、メリッサ。主人(マスター)の迷惑になるので静かにしてください」


 長の屋敷のオレの寝室に、人形娘達が勢ぞろいしていた。今晩だけはオレがこの子達を見張り、面倒を見ることにしたのだ。


 ヴェルデとパールスを、魔人を閉じ込めていたような隔離部屋に入れても、簡単に脱出できてしまうだろうからな。

 それにまだ尋問の途中だったし、彼女達の処遇について決まっていない。


 オレなら一晩くらい眠らずに見張れるし、万が一この子達が暴れたりしても、なんとか止めることも可能だろうからな。

 さすがに、そんなことにはならないと思いたいが。



 本当ならアイラ姉にも見張りを頼もうかと思ってたんだけど、残念ながらそれは叶わなかった。


 結局、今日はアイラ姉は帰って来ず、リイネさんやエネフィーさんとフレンリーズ王国の城に泊まることになったと、キリシェさんに念話で連絡が入ったそうだ。

 なにやら改まった話があったみたいだし、向こうは向こうで交流を深めているのだろう。




「また暴れたりしたら、あの仮面の男が来るかもしれないわよ?」


 フウゲツさんのそんな脅しに、ヴェルデは震え上がっていたので、また駄々をこねて暴れることはなさそうだ。

 フウゲツさんも仮面の男の正体を気にしていたが、今は考えることが他にもあるため、そのことは後回しにしたようだ。

 そのまま有耶無耶になってくれると助かる。



 ちなみに今、この部屋にいるのはオレと人形(ドール)娘達だけだ。

 一緒の部屋だったレニーは殺戮人形(キラードール)達に完全に怯え、勘弁してくださいと土下座する勢いで出ていってしまい、今日のところはエイミとミールの部屋に泊めてもらうことにしたそうだ。

 エイミとレニーは気が合ったのか、結構仲良くなっていたので、そちらは心配いらないだろう。




 それにしても騒がしいこと騒がしいこと。

 一応、防音魔法で外に声が漏れないようにしてあるから、他の部屋から文句がくることはないだろうけど。


 この子達、殺戮人形(キラードール)と呼ばれ、魔人達に恐れられているとは思えないくらい、ただの子供にしか見えないんだが。

 人形(ドール)達は基本、寝る必要がないみたいだから、一晩中こんな感じなのかな?


 オレは一晩付き合い切れるだろうか。









(ミールside)


 例の人形(ドール)と呼ばれている子達が、今日はレイさんの部屋に泊まることになりました。

 アイラさんは今日は帰ってこないらしく、あの人形(ドール)達が何かしでかしたら、レイさんしか止められる人がいませんからね。


 シノブさんも一対一なら止められると思いますけど、今回はレイさんに任せたみたいです。

 何か起きた場合、すぐにレイさんの手助けをするつもりのようですが。



 それよりもレイさんの部屋にサフィルス、メリッサ含む人形(ドール)達が一緒に······。

 別の意味で何かが起きそうです。


「レニーさん、何故ワタシ達の部屋(ここ)に逃げてきたんですか? あなたならメリッサくらいなら、何かしたとしても止められるでしょうに」

「む、むむむ無茶言わないでくださいよ! メリッサさんもそうですけど、自分にトゥーレミシア様の殺戮人形(キラードール)を止められるわけないですって!」


 レニーさんが何故か自信満々にそう言いました。

 レニーさんは最初に比べたら、大分ワタシ達と打ち解けられてきましたが、気弱な性格は相変わらずです。

 本当に姉さんとよく似ています。



「ミール、わたし達だってサフィルスさん達には勝てないんだから、レニー君に無茶言っちゃダメだよ? レイ君だったら、大丈夫なんじゃないかな?」


 姉さんは考えが甘いですね。

 確かにレイさんなら、実力で彼女達をねじ伏せることは可能でしょう。

 しかし、悪意のない押しには弱いんですよね。

 少々胸騒ぎがしてきました。






 ちょっと様子を見に行くことにしました。

 姉さんとレニーさんも誘ったのですが、レニーさんは恐ろしいからと断固拒否して、姉さんも遠慮したので、ワタシ一人でレイさんの寝室に向かいます。


「おや、ミウネーレさん、こんな時間にどうしたんですか?」


 向かう途中でミウネーレさんとバッタリ会いました。話を聞くと、どうやらワタシと同じようにレイさん達が気になって様子を見に行くところだったみたいです。


「やっぱり、()()さんも気になりますよねー? その、色々とー······」

「そうですね。何が起きてもいいように、ワタシ達もレイさんと一緒に彼女達を見張るべきでしょう」


 やはりミウネーレさんも()()()()をしているようです。ワタシ達はレイさんの部屋に急ぐことにしました。




 部屋の前まで着きましたが、特に物音はしません。

 少々、魔力を感じるので防音魔法でも使っているのでしょう。

 これでは聞き耳立てても、部屋の様子が何もわかりませんね。

 もう寝ているのでしょうか?

 しかし、人形(ドール)は睡眠を必要としないと聞いていますし······。

 扉をノックしてみましたが、反応がありません。



「ちょっと入ってみますか」

「そ、そうですねー。気になりますもんねー······」


 鍵をかけ忘れたのか、すんなり開いたのでワタシ達は部屋に入りました。

 扉を開けた瞬間、騒がしい声が聞こえてきました。




 部屋の中では、レイさんが四人の人形(ドール)達に群がれ、衣服をひん剥かれているところでした。

 ()()残念ながらまだ無事でしたが、上半身は脱がされ、露わにされています。


 一応、抵抗らしきことをしていたので、この状況はレイさんの本意ではないのでしょう。

 部屋に入ってきたワタシとミウネーレさんを見て、気まずそうな表情をうかべています。



 是非、状況説明をお願いしたいですね。




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