閑話① 3 風の妖精、捕獲(※)
妖精視点の話です。
語尾がかなりウザイと思うので読み飛ばしても問題ないです。
変態男も現れ、お見苦しい表現もあります。
(エアリィside)
やっぱり人間の町は楽しいノヨ!
里の中にいても退屈なだけだったし抜け出して正解だったノヨ。
幻影を出して驚く人の姿なんて傑作なノヨ!
今度はあの人間の子供を脅かしてやるノヨ。
と思って幻影を見せたら逃げずに立ち向かってきたノヨ。
なかなか根性のある人間なノヨ······ん?
なんか果物を落としていったノヨ。
食べてみてビックリなノヨ!
超うんまいノヨ! なんなノヨこれ!?
妖精の里でも食べたことのない味なノヨ!
それから果物を持つ人間ばかり狙って驚かしてやったノヨ。どれもこれも美味しすぎなノヨ!
もっと食べたくて後をつけて果物のなっている場所を発見したノヨ。
まるで楽園なノヨ!
色々な果物がいっぱいなノヨ。
早速この果物を食べてみ············。
「あばばばばばばばばっ!!?」
果物を採ろうとした瞬間、身体中に衝撃が走ったノヨ!?
アタシの意識はそこで闇に落ちたノヨ············。
目を覚ましてからは色々な人間に尋問されたノヨ。ちょっとイタズラしただけなのにみんな怖すぎなノヨ。
特にアイラとかいう黒髪の人間!
静かな口調なのに怒りが伝わってきて本気で怖かったノヨ! しかもここに住むのも許さず、外の果物も食べちゃ駄目なんてあんまりなノヨ。
レイとシノブとかいう人間も頼りにならないし、こうなったらアタシの力を存分に見せつけてやるノヨ!
そう思って何人もの人間を脅かしてやったのにあんまり怖がってなかったノヨ!
この町の人間、特に子供が魔物の幻影に立ち向かってきたりして勇敢すぎるノヨ。
別の町で子供を驚かした時は泣きじゃくっちゃってあれはあれでやり過ぎたと思って反省したけど、この町の子供はどうなってるノヨ!
こうなったらもっと過激な幻影を·········。
「あたっ!?」
前を見てなかったノヨ。
イタタ······何かにぶつかったノヨ。
なんなノヨ一体············。
「さあ見つけましたよ。おとなしく観念しなさい」
「へ············ひゃああああっ!!? な、ななな、なんなノヨ!?」
見上げると目の前に変な人間がいたノヨ!?
黒いマスクで顔を隠してほとんど裸の格好した男なノヨ!? 初めて見たノヨ! 変態ってやつなノヨ!?
「私の名は正義の仮面。幻影を見せ、人を驚かしイタズラするとは少々オイタが過ぎますな。私のお仕置きで懲らしめてやろう」
正義の仮面!?
わけがわからないけどアタシを懲らしめる?
面白いノヨ!
捕まえられるものならやってみるノヨ!
「やれるものならやってみろなノヨ!
ディープミスト!!」
アタシは魔法でさらに霧を濃くしたノヨ。
もう目の前すらまともに見えないはずなノヨ!
ちなみにアタシはどんなに霧が濃くても周りがハッキリわかるノヨ。
アタシは素早く男から距離をとったノヨ。
もうアタシがどこにいるかもわからなくなったはずなノヨ。本気で逃げるアタシを捕まえるなんて同族でも女王様くらいしか出来ないことなノヨ!
「あたっ!?」
また何かにぶつかったノヨ············。
なんでなノヨ······前には何もなかったはず············。
「逃しませんよ」
「え·········? きゃあああっ!? な、なんでここにいるノヨ!?」
見上げると変態男が目の前にいたノヨ!?
なんで!?
かなり遠くに離れたはずなノヨ!?
そもそもこの霧でなんでアタシのいる場所がわかるノヨ!?
「どこに逃げようと私からは逃げられませんよ」
この人間、変な格好だけどとんでもない実力なノヨ。だったらアタシももっと本気で逃げてやるノヨ!
アタシは全速力で男から距離をとったノヨ。
それから何度も男が目の前に現れたノヨ············。
どうなってるノヨ!?
アタシがどんなに逃げても男は追いかけてくるノヨ。アタシの場所が完璧に把握されてるし、アタシよりも素早く動けるノヨこの人間。
その上、アタシの(幻覚)も(幻影)もまったく効かないノヨ······。
「さあ、そろそろ観念したらどうです?」
「ぬぬぬっ······だったら抵抗してやるノヨ! アタシの実力思い知るノヨ!」
小さいからって舐めてたら痛い目見るノヨ!
「エアーエッジ!!」
アタシは「風」魔法で男に放ったノヨ。
風の妖精の名は伊達じゃないノヨ!
「その程度では効きませんな」
「うっ······それならグランサイクロン!!」
平気な口調の男に今度は中級魔法を放ったノヨ。
けどそれも全然効いてなさそうなノヨ!?
アタシは何度も攻撃魔法を放ったノヨ。
「もう終わりですかな?」
「う、ウソなノヨ······」
全然、ダメージすら与えられないノヨ。
アタシの魔力は人間に比べたら高めのはずなのに············もう魔力が残ってないノヨ。
「さあ、ではお仕置きといきましょうか」
男がゆっくりと近づいて来るノヨ。
一体何するつもりなノヨ!?
「ちょ、ちょっと待つノヨ······!? アタシに何するつもりなノヨ!」
アタシの言葉に答えず男はどんどん近づいて来るノヨ。な、何を近づけるつもりなノヨ!?
男は自分の下半身を強調して近づいて来るノヨ!?
「や、やめるノヨ!? ま、まさかそれをアタシに近づけるつもりなノヨ!?」
何を言っても男の動きは止まらないノヨ!?
もう男のアレがアタシの目の前に············。
「ぎゃあああああっっっ!!!???」
(シノブside)
師匠と別れてあの妖精を探しているでござるが、まったく進展がないでござる。
この霧の中では気配をうまく掴むことが出来ず思っていたよりも手間取りそうでござる。
しばらく霧の中を探していると·········。
「ぎゃあああああっっっ!!!???」
物凄い悲鳴が聞こえてきたでござる。
この声はあの妖精のものでござるか?
何があったのでござるか?
拙者は悲鳴が聞こえた方に向かったでござる。
だんだん霧が薄まって視界がハッキリしてきたでござる。声が聞こえた付近まで行くと人の気配がするでござる。
あれは師匠·········。
「おお、ちょうど良い所に。この妖精のこと、後は頼みます」
師匠······ではなく、この姿の時は正義の仮面殿と呼ぶのでござったな。
どうやら師匠は変身して妖精を追っていたようでござるな。
その妖精はどうやら気を失っているようでござる。身体をピクピクと痙攣させて白目を剥いている状態でござる。
拙者が妖精を受け取ると師匠、ではなく正義の仮面殿は走って去っていったでござる。