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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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354 紫の少女の魅了

 今日の出来事を報告して、オレは温泉施設に向かった。今日は書物の迷宮攻略など、色々あって疲れた。

 サフィルスのことはシノブ達に任せて、オレは脱衣場で服を脱ぎ、男湯に入った。



「よう、レイも入りに来たのか」


 中に入るとユヅキが声をかけてきた。

 ゆっくり浸かりたいから、あまり他の人が利用しない時間を狙って入浴しているのだが、よくユヅキと会う気がするな。


「おれも、なるべく一人で入るようにしてるんだよ。よくわからないが、おれが一緒だと他の連中の様子がおかしくなるからな。視線を逸らしたり、何か言いづらそうにしてたり」


 ユヅキは首を傾げているが、なんとなくわかるかも。

 多分だけど、里の人達もユヅキの見た目を気にしているんじゃないかな?

 ユヅキは身体付きも細身だし、見た感じは女の子みたいだからな。

 オレも顔と後ろ姿を見ただけじゃドキッとするし。





「そっか、しばらくしたら皆、帰っちまうのか」


 軽い雑談で、フレンリーズ王国での出来事を簡単に話した。今は幻獣人の里にいる皆も、学園再開のため王都に帰るだろうということも。


「外の人間と交流できて、里の連中も楽しそうだったからな。少し寂しくなっちまうな」


 なんだかんだで幻獣人族の里(ここ)の住人は、オレ達を快く受け入れてくれていたからな。

 もう会えなくなるわけじゃないが、確かに寂しく感じるな。



――――――――――


 そんなふうにユヅキとのんびり話していたら、急に妙な感覚に襲われた。


「里の結界を誰かが通ったみたいだな」


 ユヅキも気付いたらしい。

 前にも感じたことある気がしたが、そういうことか。けど誰が結界を通って来たんだ?

 探知魔法で確認すると2つの反応がある。

 まさか、また魔王軍の魔人じゃないだろうな?



 2つの反応は真っ直ぐこっちの方に向かってきた。

 オレとユヅキは緊張しながら身構えていたのだが、2つの反応は、オレ達の所ではなく女湯に降りた。


 どうするべきだろうか? 敵の襲来なのか?

 温泉施設の男湯と女湯の仕切りには、(アイラ姉による)強力な防音魔法をかけているので、何が起きているのかわからない。

 戦闘などが起これば、さすがにわかると思うが。


 すぐにでも向かうべきか?

 女湯ということもあり、どうしても躊躇してしまうが、そんなことを言っている場合じゃない事態になっている可能性もある。

 マジでどうしよう?



 女湯にはシノブ達が入っているから、たとえ魔王軍の襲来でもなんとかなるか?




 と考えていたら、女湯の方から鈍い振動が響いてきた。防音魔法越しでも、わずかに音が聞こえてくる。

 これ、マジで戦闘が起きてるんじゃないか?

 放っておくのはマズイと思い、オレは意を決して女湯側に行こうとしたら······。



「――――――あちゃ〜、やっぱヴェルデ暴走してもうたわ。ああなるとウチじゃ手に負えんし、避難させてもろたわ」


 仕切りを飛び越えて、翼を生やした紫髪の少女が男湯に入ってきた。

 サフィルスに顔付きがそっくりの女の子だ。

 もしかしなくても、この子が侵入者の一人なのだろう。



[パールス] レベル940

〈体力〉1221000/1221000

〈力〉102000〈敏捷〉150200〈魔力〉138000


〈スキル〉

(神将の加護〈大〉)(状態異常耐性〈極〉)

(身体強化〈極〉)(魔法攻撃強化)(属性強化)

(魔法分解)(魔法融合)(魅了の瞳)

(限界突破)(――――――)(――――――)



 鑑定魔法でステータスを見たが、とんでもない強さだな。

 サフィルスに似ているから、この子も殺戮人形(キラードール)と呼ばれる存在なのではと予想したが、間違いなさそうだ。

 けどサフィルスと違って、普通に笑ったりして、表情が豊かだ。


「なんだお前は!? 何しに、この里に来た!?」


 ユヅキが突如現れた少女を警戒する。

 しかし、温泉に入っていたため、当然丸腰だ。

 万が一に備えて、風呂桶の中に短剣を忍ばせていたようだが、そんな武器ではこの子に太刀打ちできないだろう。

 ユヅキも目の前の少女との実力差がわかっているようで、表情に余裕がない。



 オレは武器はアイテムボックスに入れてあるので、いざとなったら取り出せるが、ここは相手の出方を見よう。

 まだこの子が何を目的として幻獣人族の里(ここ)に来たのかわからないからな。

 サフィルスやメリッサに会いに来ただけ、とかならいいんだけど。




「――――――うわ〜、あんさん女の子やなく男の子やったの? 可愛らしい顔やし華奢な身体付きで、ウチの好みやわ〜」


 短剣を構えるユヅキだが、紫髪の少女はゆったりした口調でそう言った。

 ここは温泉で当然ユヅキは裸なのだが、紫髪の少女は恥ずかしがる素振りは見せず、興味津々といった様子で近付いてきた。


「な、なんだ······あ、あんまり近付くなよっ······」

「――――――もっとよく見せて〜や。ほら、ウチに身を任せて〜な」

「え、あ············」


 紫髪の少女に見つめられて、力が抜けたようにユヅキが短剣を落とした。

 ユヅキから表情がなくなり、抜け殻のようになる。ユヅキのステータス画面を鑑定魔法で確認すると(状態:魅了)と表示されていた。



(魅了の瞳)

目を合わせた対象を魅了状態にする。



 このスキルの効果か。

 (魅了)というのは所謂相手を洗脳状態にして、意のままに操ることができるんだったか。

 ユヅキは完全に魅了状態となっていた。



 これはオレも黙っているわけにはいかないな。



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