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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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347 魔王の影

 魔物化した聖剣が襲いかかってきた。

 オレはエネフィーさんを守りながら、聖剣の魔物を弾いた。


 今の感覚で、この聖剣とオレの魔剣は同じくらいの強度だとわかった。

 いや、この魔剣はアイラ姉のスキルで合成してもらった物だから、こっちの方が上かもしれないな。


 本気でやれば砕くことも可能だと思うが、魔物とはいえ元は聖剣だ。

 壊しちゃっていいのかな?


「ギギギ······!!」


 聖剣が再び、こちらに向かってきた。

 何度弾いても、聖剣が止まる様子がない。

 〈体力〉が表示されているから0にすれば魔物化が解けて、元の聖剣に戻るのかな?


「ディプソード·プリズン!」


 オレは「氷」の最上級魔法を放ち、聖剣を氷漬けにした。動きを封じつつ、〈体力〉を削れればと思ったのだが······。



「ギィイーーッ!!」


 「氷」が一瞬で蒸発し、聖剣が飛び出てきた。(魔法効果除去)の効果か。

 「聖」魔法も無効化されたから予想はしていたが、魔法全般は通じないと考えた方が良さそうだな。


「元の聖剣に戻りなさい! 勇者様が愛用した伝説の剣が邪気に屈するなんて、あってはならないことですのよ······!」


 エネフィーさんが前に出て、聖剣に魔法を放つ。

 聖剣はその魔法も無効化するが、エネフィーさんを見て一歩下がった。

 ············どうしたんだ?


「ギ······ギギ······」


 聖剣がエネフィーさんを警戒している?

 よくわからないが、そんな感じに見える。


「エネフィーさん、無闇に前に出ない方がいいですよ!」

「ごめんなさい。ですが、勇者様が愛用された聖剣が邪気に支配されるなど、信じたくなかったのですわ······」


 エネフィーさんは勇者に憧れているようだったからな。その勇者が使っていた聖剣が魔物化しているなんて、信じたくないのだろう。


「邪気って、剣みたいな無機物を魔物にすることができるの?」


 ファンタジー世界だから、そういうこともあるかもって勝手に思ってたが、実際どうなんだろうか?

 やっぱり普通じゃない、異常事態なのかな?


「そういった例は確かにありますわ。長い時間邪気を浴びたことで魔物化した武具の存在は報告されています。しかし······だからといって、聖剣が魔物化するのは······」


 例があるのか。

 剣や槍、斧などの武器に加え、生ける鎧(リビングアーマー)悪魔の兜(デビルヘルム)なんて魔物も存在するらしい。

 とはいえ、そういうのは一般的な武具であり、聖剣みたいな伝説の武器が魔物化するのは前代未聞だそうだ。



「ギィイイーーッ!!!」


 さっきまでよりも凶暴な声をあげて、再び聖剣が襲いかかってきた。

 明らかにオレじゃなく、エネフィーさんを狙っているな。どうしてだ?


「はあっ!!」


 少し強めに聖剣を弾いた。

 聖剣は床に叩きつけられ、刀身にヒビが入った。

 しかしそのヒビも(自動修復)の効果で、すぐに直っていった。


 だが、今ので聖剣の〈体力〉を大幅に削ることができていた。

 このまま攻撃を加え続ければ倒せそうだ。



――――――――――!!!!!



 何度か攻撃を加えていたら、聖剣から吹き出るように邪気が溢れ出た。

 吹き出た邪気は一箇所に集まっていき、徐々に人の形になっていく。


「··················」


 人型となった邪気は、聖剣を手にして構えた。

 聖剣は魔物化という表示が消えて、ただの剣に戻っていた。邪気が本体で、それが出てきたから元の聖剣に戻ったのかな?


 人型になった邪気は真っ黒なシルエット状態で、パッと見、何の影かはよくわからない。

 頭に角みたいなのが生えているので、魔人族の影かな?



[魔王の影(サタン·シャドー)] レベル800

〈体力〉1025000/1025000

〈力〉93600〈敏捷〉98000〈魔力〉88200


〈スキル〉

(魔王の覇気〈弱〉)(身体強化〈極〉)

(状態異常耐性〈極〉)(邪気吸収)



 と思って鑑定してみたら [魔王の影] と表示されていた。レベルは800でステータスも全体的に高めだ。

 この迷宮に出現する他の魔物と比べて、明らかに強すぎじゃないか?



[魔王の影]

濃密な邪気によって形作られた、魔王フィーネマイルの幻影にして、知識の迷宮の守護者。



 名前をクリックしたら説明文が出た。

 魔王フィーネマイルって誰だ?


 当時の魔王のことか?

 それとも今現在の魔王か?

 まあそれは後で考えるとして、どうやらコイツが迷宮の守護者のようだ。


 幻影とはいえ、かなりの強さだ。

 弱体化していた冥王を軽く上回っている。

 ということは、魔王本体はもっと強いのか······。


魔王の影(サタン·シャドー)······!? 魔王の幻影が何故、聖剣を手にできるのですの!? いえ、そもそも魔王の幻影が何故、我が国の書庫の本に······」


 エネフィーさんが驚き言う。

 そういえば聖剣って、勇者にしか使いこなせないのだったか。

 けど勇者じゃないオレも使えていたし、そう言われているだけで、案外そういう制限はないのかもしれないな。



「··················!!」


 魔王の影が聖剣を持っていない、もう片方の手を掲げると、サフィルスが相手にしていた周囲の魔物がすべて消滅した。


 いや、霧のようになって魔王の影に吸い込まれていた。魔物だけでなく、床に散らばっていた本も同じように魔王の影が吸収してしまった。


 そのため、魔王の影のステータスが大幅に上昇していた。これは結構マズイのでは?


「――――――殲滅対象が消失。新たな敵対反応が出現。脅威度レベル5と判断します」


 サフィルスが魔王の影の前に立ち、構えた。

 格下だったとはいえ、大量の魔物を相手にしていたため、サフィルスのレベルは930まで上がっていた。


 レベルではサフィルスが上回っているが、魔王の影は周囲にいたすべての魔物や本を吸収し、大幅にパワーアップしている。

 しかも聖剣の効果まで上乗せされているし、サフィルスは逆にステータスを下げられている。



 いくら戦闘用殺戮人形(キラードール)と呼ばれるサフィルスでも、これは分が悪そうだ。




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