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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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344 迷宮の罠

「エネフィーさん、身体に何か違和感とかはない?」


 魔物を次々と召喚してきた本を、エネフィーさんが剣で突き刺すと、そのままエネフィーさんの身体に吸い込まれるように消えてしまった。

 魔物の攻撃かと心配したのだが······。


「ええ、大丈夫ですわ。寧ろ、身体に力が溢れてきている感覚があるくらいですのよ」


 どうやら異常はないらしい。

 鑑定魔法でステータス画面を見ても、特に状態異常にかかっている表示もない。

 若干、エネフィーさんのステータスが全体的に上がっていた。


 あの本ってパワーアップアイテムか何かだったのか? まあ、異常がないのならいいんだけど。



「それよりもサフィルスさん、魔物からの攻撃から庇っていただき感謝しますわ」


 エネフィーさんがサフィルスに、先ほどの魔物の攻撃から守ってもらったお礼を言った。


「――――――主人(マスター)の指示に従ったまでです。礼は不要です」

「それでもお礼を言わせていただきますわ。あなたが庇ってくれていなかったら、あの魔物の攻撃を避けられたか、わかりませんもの」


 確かにサフィルスが守らなかったら、あれはマズかったかもしれないな。

 オレもエネフィーさんを助けようと動くつもりだったけど、あのタイミングだと間に合っていたかわからない。


「私よりも華奢な見た目ですのに、あの魔物の巨体を簡単に受け止めていましたわよね。私よりも高レベルなのはわかりますけど、信じられませんわ」


 エネフィーさんが、サフィルスの腕や身体をペタペタ触りだした。

 サフィルスの身体は人間の、それも年相応の少女とまったく変わらないんだよな。

 とても人形とは思えないし、こうしてエネフィーさんにされるがままになっているのを見ていると、圧倒的強さを秘めているようにも見えない。


「――――――過度な接触はやめてほしいと告げます」

「あ、あら、ごめんなさい。スベスベで気持ち良かったのでつい······」


 サフィルスがそう言い、ようやくエネフィーさんが触るのをやめた。

 幻獣人族の里で、キリシェさんにも同じことをされていたな。

 サフィルスは見た目は幼いから、なんだか仲の良い姉妹に見えるな。

 ここだけ見ていたら、とても魔王軍の魔人達に恐れられている存在とは思えない。







 さっきの魔物を召喚してきた本がなんだったのか、疑問が残るが、何事もないのなら迷宮攻略を再開することにしよう。

 下に続く扉が開いて、先に進めるようになっているし。


 休憩が必要かなと思ったけど、エネフィーさんは疲れていないから大丈夫だと言っている。

 サフィルスも全然問題なさそうだ。

 オレも休憩は必要ないし、今まで通りにオレが先頭になって先に進んだ。

 迷宮は全10階層だから、あと半分だ。




 6階層以降も図書館のような迷宮が続いている。

 襲ってくる魔物のレベルが若干上がっているが、オレやサフィルスから見れば誤差のようなものだ。

 エネフィーさんもすでにレベル100を超えていて、ノリノリで魔物を倒していた。

 やっぱりこの人、リイネさんと同じタイプだな。



 出てくる魔物はそんな感じだが、道を阻むギミックに厄介なものが増えてきた。

 特定の属性魔法を順番に放って、魔力を貯めないと開かない扉や、謎解きのような問いに答えないと正しい道が現れないフロアだとか、一筋縄ではいかないものばかりだ。

 本の迷宮だから力だけでなく、知識とかも試されているのだろうか?


 魔法で魔力を貯めるのは結構簡単だったので問題なかったが、謎解きの方はこちらの世界の専門用語などが混ざった問いかけだったので、オレにはさっぱりわからなかった。


 けど、エネフィーさんが完璧に答えてくれたため、難なく突破することができた。

 さすがは王族だけあって、そういった知識量がすごい。間違いなくエネフィーさんはオレより頭が良い。

 まあ、オレの元の世界での成績なんて、平均より少し上くらいなんだけどね。





 というわけで、少しペースが落ちたものの、どんどん先へと進めている。

 途中、謎解きに手間取る場面もあり、サフィルスが強引に扉や迷宮の壁を破壊して進もうとしたが、出来なかった。

 やはり迷宮は普通の材質ではないらしく、破壊は不可能のようだ。


 もしかしたらアイラ姉ぐらいのステータスがあれば破壊出来るのかもしれないけど、少なくともオレ達には無理だった。

 地道に一歩一歩攻略していくしかない。



――――――――――カチッ



 順調に進めていたため、油断していた。

 エネフィーさんの足下にスイッチのようなものがあり、気付かずに踏んでしまっていた。


「うわっ······!?」

「え······きゃあああっ!!?」

「――――――············!!」


 その瞬間、床が広範囲で消えてなくなり、オレ達はそのまま落ちていく。

 落とし穴か!? 結構深いぞ。

 サフィルスは翼があるから自由に飛べるので問題なさそうだが、エネフィーさんは受け身なしだと怪我をするかもしれない。


 オレは「風」魔法でエネフィーさんの方まで飛び、抱きかかえた。

 エネフィーさんは驚いた表情を見せたが、今は気にしている余裕がない。

 エネフィーさんを抱きかかえたまま、下の階層の床が見えたので、ゆっくり着地する。


「あ、ありがとうございますわ、レイさん。もう降ろして下さっても大丈夫ですわよ」


 咄嗟の行動だったから、オレも急に恥ずかしくなってきたので、言われるがままにエネフィーさんを降ろした。

 サフィルスもゆっくりと降りてきた。



 さっきまでいたのが9階層だったから、ここは10階層、つまりは最下層になるのかな?

 10階層は5階層と同じ、いや、やや広い大部屋のフロアだった。


 周りを見渡すと、あちこちに本が散乱していた。

 まるで大地震が起きて、本棚から全部落ちた後みたいだ。



 そんなことを考えていたら、散らばった本が一斉に開き、大量の魔物が召喚された。



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