表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
452/736

340 封印された書物

 サフィルスが暴走しかけたことで、気を失ったりパニックになったりしていた魔人達を、周りの兵士達が牢まで連れて行き、事態は収拾した。


「······本当にレイの命令には忠実のようだな」


 リイネさんがサフィルスをチラッと見て言う。

 サフィルスはすでに全身の刃物を仕舞い、帽子も被り直して、オレの後ろでおとなしくしている。


 一応、リイネさん達にサフィルスがオレに仕えることになった経緯を説明した。

 オレ自身もサフィルスが何故主人(マスター)と崇めているのかわからないため、その辺の説明には苦労したが。


「レイ以外の者には従わないのか?」

「オレが言えば、他の人の言うことも聞いてくれるけど······」


 試しにリイネさんの言うことに従って、と指示してみた。リイネさんがサフィルスに適当な命令をすると、それに忠実に応えた。

 なんだか飼い主以外の人の言うことを聞いているペットみたいだな。


「これほどに危険な人物を手懐けるなんて、さすがは勇者様ですわね」


 エネフィーさんは、すっかりオレとアイラ姉が勇者だとして受け入れているようだ。

 まあ面倒事さえ無ければ、もう勇者でもいいけど。


「もし、サフィルスが牙を剥いてきたら私達が責任持って対処する。だから、あまり刺激しないでやってほしい」


 アイラ姉がそう言うと、他の兵士達も多少は警戒しているものの、もうサフィルスに害はないと受け入れてくれた。

 こういう時は勇者と誤解されているのも便利かもしれないと思った。







 さて、どう説明しようか困っていたサフィルスについては、成り行きでだが上手く話すことが出来たので、もう一つの用事を済ませよう。

 オレ達が今日ここに来たのは、城の書庫の資料を見せてもらうためだ。


「それでは私が案内しますわ」


 エネフィーさんが書庫まで案内してくれることになった。本当は別で案内人もいるのだが、エネフィーさんの強引さで、そういう流れになった。

 リイネさんも興味があると一緒についてきた。

 他国の王女が閲覧しても問題ないらしい。






 そうして案内された場所は、書庫というより大図書館といった方がしっくりくる規模だった。

 規模が大きいと聞いてはいたが、想像以上だな。

 とてもじゃないが、一日二日ですべてを見るのは無理そうだ。

 とりあえずはアイラ姉と手分けして、見て回ることにした。


「レイはそちらのエリアを調べてくれ。私はこちらから調べてみる」


 アイラ姉の言葉に頷き、二手に分かれた。

 アイラ姉はリイネさんと、オレはエネフィーさんとサフィルスと書庫を調べることになった。


 アイラ姉側に案内人が付き、どこにどういった本があるのか聞きながら見て回るようだ。

 オレの方はエネフィーさんが案内人代わりとして、書庫を案内してくれるということだ。

 まあ、ゆっくり見て回ることにしよう。







 当時の勇者がこの国を救った英雄譚など、それなりに面白い内容の物もあったが、異世界に関しての情報は出てこないな。


 おや? 黒いカバーで覆われて、中が見れない分厚い本がある。何だコレ?


「それは封印された書物の一つですわね。国の優秀な魔術師でも封印が解けず、内容は私達にもわかりませんのよ」


 え、てっきり別室とかで厳重に保管してるのかと思ってたんだけど、こんな普通に他の本と一緒に並べているの?


「封印が強力で迂闊に動かすこともできないのです。並の術師では、触れることすら難しかったのですから」


 疑問に思ってたらエネフィーさんが答えてくれた。確かに魔力の扱いに慣れてきたから、オレの目にも封印がかなり強力なものだというのがわかる。

 書庫には、いくつかこういった物があるらしい。


「ちょっと触ってみてもいいかな?」

「ええ、構いませんわよ。ですが、お気を付けくださいね」


 エネフィーさんの許可をもらったので、黒いカバーの本を手に取ってみた。

 触った時に全身が妙な感覚に襲われた気がした。



―――――――――――!!!!!



 次の瞬間に本が光りに包まれ、黒いカバーが消滅してしまった。

 中からは表紙に何も描かれていない、無地の3冊の本が出てきた。

 分厚いカバーだと思ったら複数の本が入っていたのか。

 というかもしかしてコレ、封印が解けてない?


「レ、レイさん、何をされたのですか?」

「いや······ちょっと触っただけなんだけど······」


 エネフィーさんが驚きながら聞いてきた。

 オレにもよくわからない。

 何が起きてもいいように魔力を高めながら触れたんだけど、それがマズかったのかな?


「これは······信じられませんけど、封印が解けているみたいですわね」


 まさかとは思ったけど、やっぱりか。

 優秀な魔術師でも封印が解けなかったという話だったのでは?

 オレはただ、ちょっと触れただけなんだけど。

 強力な封印だと思ったのは気のせいだったのかな?



「――――――主人(マスター)、これは何を意味する書物なのでしょうか? 私には理解できません。何かの儀式ですか?」


 サフィルスが3冊の内の1冊を開いていた。

 その内容は裸の女性が色々なポーズを取っている、所謂()()()の本だった。

 なんでそんなものが封印された本の中に混ざっているんだ!?



 オレは慌ててサフィルスから本を取り上げた。

 まさか残りの2冊もこんなのじゃないよな?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ