閑話⑬ 6 サキュバスVS仮面の男(※)
※(注)引き続き変態男が登場しています。
(リーフィside)
私の身体がサキュバスに乗っ取られ、どうしようもなくなった状況で、例の仮面の人が現れたのですよ。
どうして仮面の人、ここにいるのですかね?
「正義の仮面殿」
「シノブ嬢は、そちらの二人を手当てしてあげなさい。魔力を失い、相当に消耗しているようです」
「了解でござる、正義の仮面殿!」
仮面の人の指示を受けて、シノっちはリナっちとリアちゃんを離れた場所まで運び、薬で手当てをしたのですよ。
ずいぶん素直に仮面の人の言葉に従うんですね、シノっち。
まあ、最善の行動だと思うのですけど。
「さあ、おとなしくリーフィ嬢の身体から出ていきなさい」
仮面の人がビシッと私を指差したのですよ。
「な、なんなのこの男······。というかアタシになんてモノを触らせるのよ! 男のなんて······気持ち悪い!」
さっき触れちゃった、仮面の人のアレのことですね。私も感覚は普通にありますから、まだ手に感触が残っているのがわかるのですよ。
このサキュバス、男性嫌いだからか男に慣れていないみたいなのですよ。(もちろん私も慣れていませんよ)
「リーフィ嬢を解放するつもりがないのなら、私のお仕置きで無理にでも追い出しましょうか」
仮面の人がそう言いました。
あの、身体は動かせないし声もうまく出せませんけど、私の意識はしっかりあるのですよ?
サキュバスにお仕置きするというのは、つまり私に······。
以前も心の準備が出来ていませんでしたけど、今も出来ていませんよ!?
「男なら容赦しないわよ。幸いリーフィ、ずいぶん高い魔力を秘めているみたいだし、返り討ちにしてあげるわ!」
サキュバスは私の身体を使って、魔法を放ったのですよ。放ったのは「炎」の上級魔法で、サキュバスの力が上乗せされているのか、私自身が撃つよりも威力が高そうなのですよ。
「その程度の魔法、私には効きませんよ」
仮面の人は簡単に「炎」を相殺したのですよ。
それも周囲には燃え移らないようにして。
やっぱりこの仮面の人、とんでもない実力なのですよ。
「な、なんて奴なの······だったら」
「させませんよ」
仮面の人が一瞬で距離を詰め、私の両手を掴み、魔法を撃つのを阻止したのですよ。
全然見えなかったのですよ。
なんという素早さ······。
「は、放しなさい! 男がアタシに触れないで、気持ち悪い!」
「ほう、もしや男嫌いですかな? ならば私のお仕置きで男の魅力を教えてあげましょう」
そう言うと仮面の人は私の顔を両手で掴み、強引に下半身の前に固定しました。
仮面の人のアレが目の前にあり、顔に当たるか当たらないかギリギリの位置なのですよ。
「な、な、何するつもりなのよ!!? や、やめなさい······おぞましい!」
サキュバスは必死に抵抗しますが、仮面の人の力が強すぎてまったく動けないのですよ。
サキュバスは私の身体に憑依しているので、当然サキュバスと私の目線は同じなのですよ?
それ以上近付かれると、私もサキュバスと同じ目に合わされるということで······。
そして仮面の人はゆっくりと下の部分を近付けて······。
「ひぃぃっ!!? やめなさいっ、いやあああっ!!!」
仮面の人のが顔に触れる寸前のところで、サキュバスが私の身体から抜け出したのですよ。
そのおかげで仮面の人も動きを止め、アレが私の顔に触れずに済んだのですよ。
ホッとしたような、ちょっと残念なような············いやいや、何を考えてるのですかね、私は!?
私の身体から抜け出したサキュバスが、今度はリナっちの身体に入り込むのが見えたのですよ。
(リーアside)
魔法陣から召喚されたサキュバスが、リーフィさんの身体に憑依してしまいました。
身体はリーフィさんの物のため、シノブさんも迂闊に手を出せなくなっています。
そんな時、わたし達が散々捜し回っていた仮面の人物が現れました。
リーフィさんの描いた絵を見て、どういう人物かは知っていたつもりでしたけど、実物はより刺激的な格好に思えますわね······。
どうしてこの方、このような格好をしているのでしょうか?
「大丈夫でござるか、リーナ殿、リーア殿?」
シノブさんが、わたしとお姉様に薬を差し出してきました。これは魔力回復用ポーション?
かなりの高級品のはずですけど、シノブさんは構わず飲むように言います。
それによって、わたしとお姉様の体調はすっかり回復しました。
「ここは正義の仮面殿に任せておけば、心配いらないと思うでござるよ」
「シノブちゃんは、あの仮面の人のこと知ってたの?」
「え〜と······以前に何度か顔を合わせたことがあるでござるから」
お姉様の疑問に、シノブさんはそう答えました。
シノブさんは、あの仮面の人物と顔見知りだったみたいですわね。
シノブさんの言う通り、リーフィさんの身体を操るサキュバスを仮面の人物は圧倒しています。
噂通り、いえ、噂以上の実力者ですわね。
あのサキュバスは男性が嫌いなようで、仮面の人物に迫られて、酷く怯えていますわ。
まあ男性嫌いでなくても、あんな裸同然の格好で迫られたら、恐怖を感じそうですけど。
「は、放しなさい! 男がアタシに触れないで、気持ち悪い!」
「ほう、もしや男嫌いですかな? ならば私のお仕置きで男の魅力を教えてあげましょう」
仮面の人物はリーフィさんを追い詰めたかと思うと、何を思ったのか、そのまま両手で顔を掴み、自身の下半身の目の前に固定しました。
な、何をするつもりなのでしょうか?
「リ、リーアは見ちゃダメだよっ!」
お姉様が私の両目を塞ぎました。
そのせいでリーフィさんの悲鳴が聞こえるだけで何も見えません。
何が起きているのか、ものすごく気になるのですけど。
「ああっ!? サキュバスがリーフィ殿の身体から抜け出たでござる!」
シノブさんのそんな声が聞こえました。
それと同時にお姉様の手が離れ、わたしの視界が開きました。
「今度はあなたの身体を借りるわよっ!」
「え······わわっ!? ちょっ······」
なりふり構っていられない様子のサキュバスが、お姉様の身体に入り込むのが見えました。
どうやらリーフィさんから抜け出たサキュバスが、今度はお姉様に憑依してしまったようです。