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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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閑話⑬ 3 騒動に次ぐ騒動

(リーナside)


 あれから何度もリーアの魔道具が示した場所に、例の仮面の人を捜しに行ったけど、結果は散々だった。


 行った場所には全然関係ない人がいたり、商店街の方では仮面を被った強盗集団が現れたりもしたよ。

 強盗集団はレイさん、シノブちゃん、リーフィさんが簡単に取り押さえて捕まえてたけど。


 三人とも学園でも優秀なクラスに在籍してるらしく、すごい実力だったよ。

 リーフィさんが足止めして、レイさんとシノブちゃんがあっという間に全員を縛り上げてた。

 レイさん、リーフィさんもすごいけど、シノブちゃんなんて、あたしよりも年下なのに実力は遥かに上だったよ。




「運悪く、似たような仮面姿の人が多くみられましたわね。わたしの魔道具も、細かな設定はまだできないですし」

「似たような、というか、似ても似つかないって感じだと思ったけど」


 あたしのツッコミを、リーアは聞こえないフリして聞き流していた。

 まだ試作段階の未完成品だから仕方無いかもしれないけど、正直アテにならなすぎだよ。


 ずいぶん歩き回ったから、もう日が暮れかけてきてる。もう、今日のところは諦めた方がいいんじゃないかな?


「後一回だけ、チャンスをお願いします。次こそはヒットするはずです」


 リーアはまだ諦めてないみたい。

 もう意地になってきてない?

 レイさん達は苦笑いしながらも、リーアに付き合ってくれるみたい。


「今度は私が魔力を込めてみていいですか? レイっちも、さすがに疲れてると思うのですよ」


 リーフィさんが、今度は自分が魔道具に魔力を送ると言い出した。

 確かにレイさん、魔道具を起動させるために何度も魔力を送ってるからね。

 レイさんはまだ大丈夫だと言ってるけど、今回はリーフィさんが魔道具に魔力を込めることにした。


「お、······おおっ!? す、すごい量の魔力が吸われていくのですよ!?」


 魔力を込めている途中で、リーフィさんがギブアップした。魔道具には必要な魔力が半分も溜まっていない。

 や、やっぱりそうだよね。

 レイさんが簡単に起動させるから誰でも出来そうに見えるけど、あれ相当な魔力が必要なはずだよ。


「じゃあ、残りは拙者が送るでござるよ」


 続けてシノブちゃんが魔力を送って起動した。

 シノブちゃんも、すごい魔力を秘めているみたい。


「レイっち、すごいのですよ。あんな膨大な魔力を何回も送ってたなんて」


 リーフィさんがまだちょっとフラフラしながら、驚きの言葉をかけている。

 うん、あたしもそう思うよ。

 ひょっとしてレイさんって結構名の通った冒険者、もしくは魔術師だったりするのかな?



 魔道具には再び点が表示された。

 本当にアテになるのかな?

 まあ、リーアもこれを最後にするって言っていたし、あたし達は魔道具が表示した場所まで向かった。



 反応は人気(ひとけ)のない、裏通りの建物の中にあるみたい。

 さっきまでと違って、人がいるのかも怪しい場所なんだけど。


「あ〜、ここは犯罪組織がアジトにしていた建物でござるな。拙者がスミレ殿とエンジェ殿と一緒に捕らえたでござる」


 シノブちゃんが建物を見上げて、そう言った。

 確かにそんな感じの建物っぽいね。

 というか、なんでもないように言ったけどシノブちゃん、犯罪組織を相手にしてたの?


「ずいぶん派手に壊された跡が残っていますわね。まるで魔物に襲われたみたいですわ」

「それはエンジェ殿が暴れた跡でござるな。この辺りは、まだ整備の手が回っていないようでござるな」


 そのエンジェってどんな人なんだろ?

 ものすごい怪物を想像しちゃうような破壊跡なんだけど。


「確かに中に誰かいるみたいだね」

「私の聴覚でも、複数の物音が聞こえるのですよ」


 レイさんとリーフィさんが言う。

 う〜ん、あたしには全然わかんないよ。

 というか犯罪組織のアジトだった建物の中に誰かいるの?

 一応、立入禁止になってるみたいだけど。



 レイさんを先頭に建物の中に入った。

 中は明かりの魔道具が使われていて、誰かいるのは間違いなさそう。



「何者だ!?」

「まさか衛兵どもが嗅ぎつけて来やがったのか!?」


 中に入ると、すぐに数人の男の人と鉢合わせた。

 みんな人相の悪い顔付きをしていて、少し怖い。

 というかこの人達、見たことあるかも。

 確か手配書の似顔絵で············ってことは、やっぱりこの人達って犯罪者なのかな?


「ちくしょう、ここは一度大規模な捜査が行われたって聞いてたから、しばらくは大丈夫だと思ってたのによ!」

「いや待て、よく見たらガキしかいねえぞ」


 どうやら犯罪者が一度捜査された場所を、再び根城にしていたみたい。

 前にシノブちゃん達が捕まえたって人達の仲間なのか、全然関係ない犯罪者なのかはわからないけど。


 あたし達を見て動揺していたけど、年配の人を連れていないとわかると、途端に強気な態度になった。


「学園の生徒か? それなりに整った顔立ちじゃねえか。攫って売っ払ちまおうぜ」


 男の人達が短刀やナイフを抜いて、あたし達を取り囲んだ。戦闘用の魔道具をいくつか持っているから、どうにかなると思ったけど、あたしが動く前にレイさんとシノブちゃんが一瞬で男の人達を取り押さえ、縛り上げた。


 は、早っ!?

 全員、無力化するのに10秒もかからなかったよ。男の人達も何が起きたのか理解出来てないみたい。


「建物の中に、コイツら以外の反応はないみたいだね。オレがコイツらを騎士団の所に連れて行っとくよ」


 レイさんは王国騎士団や神殿騎士団に顔が利くらしく、手慣れた様子で犯罪者達を連行していった。

 レイさんって何者?

 ただの学生とは思えないんだけど。




「拙者達も引き上げるでござるか? もうここには人の気配はないでござるよ」


 シノブちゃんが言う。

 色々と騒動に巻き込まれたけど、結局例の仮面の人物は見つからなかった。

 まあ、簡単に見つかるとも思ってなかったし、成果がなくても仕方無いよね。


「ちょっと待ってください、まだ魔道具に反応が残っていますわ」


 もう帰ろうとしたらリーアが手にした魔道具を見て、そう言った。

 確かにリーアの魔道具は、反応が消えずに残っている。


「おかしいでござるな。人の気配はないでござるが······」

「でも私にも何かある気配を感じるのですよ」


 シノブちゃんは首を傾げてるけど、リーフィさんは何か感じ取ったみたい。


「せっかくなので確かめてみましょう。反応は奥の部屋ですわね」


 リーアが魔道具の反応を頼りに先に進む。

 だ、大丈夫かな?

 まだ犯罪者が潜んでいるんじゃ······。





 そんな心配をよそに問題の部屋の前までたどり着く。リーフィさんとシノブちゃんが部屋の扉を慎重に開けた。

 魔道具が反応を示していた部屋の中には、何かの儀式を行う魔法陣が描かれていた。



 これって魔物とかを喚び出す召喚陣だ。

 何か嫌な予感がするんだけど······。




 

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