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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第二章 始まりの町アルネージュでの出来事
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43 今後の話し合い

 まばゆい光に包まれて、しばらく経つと迷宮内ではなく元の平原に立っていた。

 周囲にはリン、セーラ、ミウの他に、アイラ姉にグレンダさん、そしてシノブとユーリの姿があった。

 どうやら全員迷宮から脱出できたようだ。



「これは、迷宮から出られたようですね」


 セーラが周囲を見渡し言う。

 全員特に大きな怪我はしていないようだ。

 シノブは手に何やら気になる宝石を持っているな。


「シノブ、その手に持ってるのは?」

「ああ師匠、迷宮の守護者とやらを倒したら手に入ったでござる」


 やはりシノブ達が守護者を倒したから全員、脱出できたのか。



[シノブ] レベル308

〈体力〉10950/10950

〈力〉9420〈敏捷〉13110〈魔力〉8550


〈スキル〉

(全状態異常無効)(薬物錬成)

(魔法・スキル付与)(獲得経験値10倍)

(スキルスティール〈NEW〉)(各種言語習得)

(異世界の絆〈1/5〉)



 一体何があった?

 ステータスは大幅に上がっているし、スキルも色々変わっているぞ。

 絶対、守護者を倒しただけじゃないだろ?



[ユーリ] レベル74

〈体力〉1650/2240

〈力〉1280〈敏捷〉1510〈魔力〉2440


〈スキル〉

(同時詠唱)(魔力回復速度上昇〈中〉)

(スキルスティール〈NEW〉)

(異世界人の加護〈小〉)



 ユーリも恐ろしく強くなっていた。

 スキルに(異世界人の加護〈小〉)とシノブと同じく(スキルスティール)が増えている。

 シノブにも(異世界の絆〈1/5〉)のスキルがあるし············間違いなく何かやったな。


「シノブ、ユーリと何をしたのだ?」


 アイラ姉もシノブ達のステータスの変化に気付いたようだ。



[アイラ] レベル455

〈体力〉28850/28850

〈力〉14500〈敏捷〉18700〈魔力〉9820


〈スキル〉

(全状態異常無効)(アイテム錬成)

(獲得経験値20倍)(各種言語習得)

(騎士の剣術〈レベル3〉)

(異世界の絆〈仮〉)



 おや? アイラ姉のスキルも増えてるぞ。

 (異世界の絆〈仮〉)ってどういうことだ?

 もしかして············。



[グレンダ] レベル101

〈体力〉6200/6200

〈力〉1750〈敏捷〉1660〈魔力〉1290


〈スキル〉

(騎士の剣術〈レベル8〉)(気配察知)(闘気)

(異世界人の加護〈仮〉)



 やっぱりグレンダさんのスキルも増えている。



(異世界人の加護〈仮〉)

異なる世界の住人と一定の絆を深めた仮の証。

全ステータスアップ。

魔法適性率アップ。

全状態異常耐性アップ。



「······アイラ姉とグレンダさんにもスキルが増えてるけど、何かしたの?」


 加護〈仮〉ってどういうことだ?


「こ、これはだな······妙なことはしていないぞレイ······! 本当だ!」


 珍しくアイラ姉が慌てている。

 すごく気になるんだが。

 今すぐ詳しい話を聞きたいが、まずは一度領主の屋敷まで行くことにした。


 ここで立ち話でする内容じゃないしグレンダさんとユーリに加護スキルが付いた以上、オレ達のことももう隠しきれないだろう。


 すでに迷宮に入ってから丸1日以上経っていたので、町では色々と騒ぎになっていた。

 オレ達はいいけど領主の子であるグレンダさん達や聖女が行方不明になってたんじゃ騒ぎにもなるか。



 セーラとリンは慌てて神殿に戻り、自分達の無事を報告しに行ってしまった。

 というわけでセーラとリン抜きで領主の屋敷に行き、今までの出来事を報告することにした。






 領主の部屋。

 オレとアイラ姉とシノブ、そしてグレンダさん、ミウ、ユーリ、さらに領主と冒険者ギルドマスターの八人が集まった。


「発生して間もない邪気が迷宮化するとはな······。ともかく無事でよかった」


 領主が安心した表情で言う。

 自分の子供が三人揃って行方不明だったんだからな。心配もするよな。


「しかし誕生したてとはいえ迷宮をその日の内に攻略しちまうとはな······。普通なら信じられない話だぜ」


 ギルドマスターが呆れたように言う。


「アイラ殿、約束通りこのスキルについて教えてほしいのだが············」

「そ、そうですシノブさん、迷宮から出たら教えてくれるんでしたよね!?」


 アイラ姉とシノブはそんな約束をしていたのか。

 オレとアイラ姉とシノブは目を合わせて頷いた。

 セーラとリンにも話したし、もう領主達にもオレ達の事情を話すしかないだろう。


 セーラ達に話した内容の範囲で領主達にも説明した。オレ達が別世界の人間であることを。


「信じられぬ話だ······。だが信じないわけにもいかぬな。むしろそうと考えれば疑問だったことが繋がる」


 領主はオレ達の話を信じてくれたようだ。


「確か何百年も前に魔王を討伐した勇者が別世界からやってきたとかいう話を聞いたことあるな······」


 ギルドマスターが言う。

 かつての勇者はオレ達と同じ世界出身なのかな?

 異世界召喚とかよく聞く話だし、あり得なくはないか。


「じゃあシノブさん達は勇者なんですか!?」

「いや、オレ達はそんな大それたものじゃないよ」


 勇者とかそういうのは勘弁してほしい。


「お兄様もユーリもズルイですー! あたしも加護というスキル欲しいですー!」


 ミウが口を尖らせて言う。

 確かにミウだけ手に入れてないのは不公平に感じるかもな。


「アイラ姉とグレンダさんは何をしてスキルが手に入ったの?」


 これは気になってたんだよな。

 アイラ姉は言いづらそうにするが、黙っているのは無理だと判断したようだ。


「グレンダ殿と迷宮を探索していた時に魔物の群れに囲まれてな······。それらはすべて倒したんだが、その時気を抜いたためかお互いにバランスを崩して······ぶつかり合ってせ、接吻を······」


 接吻············つまりキスか。

 キスをしたから加護〈仮〉が手に入ったのか。

 裸の付き合い一歩手前ってことなのかな?

 ん? でもキスって············。


「アイラ姉、グレンダさんと最初に会った時にキスしたよね? その時は何もなかったはずだけど······」


 そう、初めて会った時。

 グレンダさんを生き返らせるためにアイラ姉は口づけをしたはずだが。


「あれは救命措置だ。人工呼吸と同じだ。けして(よこしま)なものではない!」


 人工呼吸だとスキルは付かないのかな?

 それとも他に理由があるのか······。

 う~ん、その辺はよくわからないな。


「シノブとユーリはどうなのだ!? 何をしたのだ、お前達は」


 アイラ姉が矛先をシノブ達に向けた。

 確かにそっちも気になってたんだよな。


「ああ、拙者の方はユーリ殿のも―――――」

「ぼく達は魔物の返り血というか体液を浴びて服も身体もグチョグチョになったんです! それでお互いに服を脱いで洗浄魔法をかけ合ったんです!」


 シノブの口を塞ぎ、ユーリが早口で言う。

 つまり裸で魔法をかけ合ったのか。

 それで加護が付いたと。

 なんかユーリの慌て方が気になるが、そんなに恥ずかしかったのかな?


「ユーリのステータスは凄まじいな······。油断したら私でもあぶなそうだ」

「······あたしよりも全然強くなっちゃってますよユーリ」


 グレンダさんとミウがユーリを見て言う。


「その加護というスキルは誰にでも与えられるものなのか?」


 領主が問いかけてきた。

 まあ当然の質問だよな。


「それが、オレ達にもよくわかってないんだけど」


 わかってる範囲で答えた。

 絆を深める。つまり親しくなる。恋仲になる。

 それくらいしかわからない。


 今現在、加護を持っているのはグレンダさんにユーリ、そしてリンの三人だけだということも話した。


「えええーっ!? じ、じゃあレイさんとリンさんってそ、そういう関係なんですかー!?」

「いや、そういうわけじゃない······と思う」


 否定しづらい。

 オレとリンは別に恋人というわけではないが······あんなことをしたんだしな。

 けどオレと恋仲なんて聞いたら、リンの方が嫌がるだろう。


「だったらあたしともキスしてみましょう、レイさんー!」


 ミウはそんなことを言い出したが、父親である領主の前でそんなことをする勇気はないので断った。


 そんなこんなであらかたの事情の説明は終わった。



「それで君たちはこの町を拠点に元の世界に帰る方法を探しているというわけか······」

「まあ、他に色々ありすぎて全然探せていないんですけど」


 本当に帰れるのか怪しくなってきたかも。

 過去の勇者はどうなったのかな?


「かつての勇者については私にはわからない。だが国王陛下なら何か知っているかもしれない」


 国王か······。

 確かに何か知っている可能性はあるか。

 あまり会いたい気はしないが············。


「国王陛下には君たちのことを報告してある。おそらく近い内に王都に呼び出しがかかるだろう」


 国王からの呼び出しか············。

 断るわけにもいかないだろうし、国の王から直接話を聞けると思えば帰れる可能性も出てくるかな。

 まあそのことは呼び出しがかかってから考えるか。


「私達が別世界から来たということは出来る限り秘密にしてもらいたい。色々と面倒事が起きそうなのでな」


 アイラ姉が言う。


「確かにな······。今でも充分目立っているが、加護やその他のスキルについても秘密にしてた方がいいだろうな」


 ギルドマスターが頷く。

 しかし完全に秘密にするのはもはや難しいので、一部は公表することにした。


 オレ達には成長を促進させるスキルがあり、パーティーを組むとレベルが上がりやすくなる、といった内容だ。

 魔物が活発化していて今回のような予測不能な事態が起きる今、孤児院の子供達のように冒険者のレベルも上げてほしいとのことだ。

 さすがに獲得経験値10倍、20倍とは公表しないが。


「それは構わないが、あまり粗暴な者のレベルは上げたくはないのだが」

「その辺りは俺が厳選しとくぜ」


 話が進んでいく。

 ということはこれからは他の冒険者と組んで依頼をこなしていくことが増えるのかな。


「それなら私の騎士団員達もお願いしたいのだが······」


 グレンダさんは王国騎士団の隊長だったな。

 状況にもよるが話し合いの結果、オレとシノブが冒険者、アイラ姉が騎士団を鍛えることになった。




 その見返りに領主とギルドマスターからそれなりの報酬、そして元の世界に帰る手がかりを探す協力を約束してもらった。









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