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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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閑話⑬ 1 魔道具専門店にて

(リーナside)


 あたしはリーナ!

 ここ、王都の魔道具専門店〝トゥラヴィス〟の看板娘だよー!

 あたしの自慢の妹、リーアと二人だけで経営している店だけど、売り上げは上々。

 あたしの作った魔道具は()()()()()()()()()()()()()()()安く売り出しているから、利益は少ないけどね。


 リーアは売り上げアップのための秘策を、色々考えているみたい。



――――――カランカランッ



 入口の扉が開いて、誰か入ってきた。

 お客さんかな?

 今は遅い時間帯で、お客さんは今日はもう来ないと思ってたんだけど。

 まあ、遅いといっても、まだ夕方前くらいだけどね。


「えーっと······もしかして、もう閉店の時間だったかな?」

「お邪魔しますでござる」


 やってきたのはレイさんと、リーアと同じか少し幼いくらいの女の子だった。

 レイさんは前に聖女様のエレナさんと来て以来、何度かウチに足を運んでくれてる。

 色々と魔道具を買ってくれるし、良いお得意様だよ。女の子は妹さんかな?


「あ、あなたは······!?」


 リーアが女の子を見て驚いてる。

 どうしたんだろ、知ってる子なのかな?


「お姉様はあの時、意識がありませんでしたわね。瀕死のお姉様に特級ポーションを使ってくれた方ですわよ」


 疑問に思っていたら、リーアが教えてくれた。

 あの時······あたしはドロドロに溶けた見た目の地竜に襲われて、瀕死の重傷を負ったことがあった。

 あの時は本当に死を覚悟したんだよね······。


 突然現れた小さな女の子が特級ポーションで治してくれたと聞いていたけど、本当だったんだ。

 いや、疑っていたわけじゃないんだけど。

 実際、あたしは助かったんだし。

 けど、特級ポーションなんて簡単に手に入る物じゃないし、それを見ず知らずのあたしに使うなんてことが理解出来なかったんだよ。


「えーと、なんか前にシノブがこの店の魔道具を壊したとか聞いて、連れてきたんだけど」

「弁償しに来たでござる。遅くなって申し訳ないでござる」


 レイさんがそう言った。

 女の子はシノブちゃんというみたい。

 語尾にござると付ける、独特な口調だね。

 それにしても魔道具の弁償? なんのことだろ?


「ああ······()()のことならお気になさらず。ええっと······シノブさんでいいんですわね? 以前はお姉様を救っていただきありがとうございます。しかし······特級ポーションの対価は、すぐに用意は······」


 リーアが頭を下げて、お礼を言った。

 あたしもお礼を言った方がいいのかな?


「当然のことをしたまででござる。気にしないで大丈夫でござるよ」

「ですが、何も報いないわけにはいきませんわ」


 シノブちゃんは気にしないでいいと言うけど、払わないわけにもいかないよね?

 けど特級ポーションって、いくらくらいするんだっけ? 確か金貨100枚、200枚じゃとても済まない金額だったような······。


「それじゃあ、新作の魔道具とか見せてくれないかな?」

「拙者も興味あるでござる!」


 レイさんが妥協案として、魔道具を見せてほしいと言ってきた。

 シノブちゃんも興味津々みたい。

 よ〜し、それじゃああたしの自信作でも······。



――――――――カランカランッ



 また店の入口が開いて、お客さんが入ってきたみたい。あたしと同じくらいの年の、兎人族の女の子だった。


「あれ、リーフィ?」

「およ? レイっちじゃないですか。奇遇なのですよ」


 兎人族の女の子を見てらレイさんが声をかけた。

 知り合いっぽいけど、学園のクラスメイトかな?


 話を聞くと、やっぱりクラスメイトだったみたい。今、学園は休校中で、二人は久しぶりに顔を合わせたとか。

 学園か〜。

 あたしも通ってたら同じクラスになれてたかな?



「ようこそいらっしゃいませ。どういった効果の魔道具をお探しでしょうか?」


 リーアが営業スマイルで迎えた。

 あたしもリーアと同じく笑顔で迎える。


「フェニアさんのお薦めの店だと聞いて来たのですよ。私が欲しいのは、人捜し用の魔道具なのですよ。何か良い物はありますか?」


 リーフィさんがリーアの問いかけにそう答えた。

 フェニアさんは、たまにウチに顔を出してくれるエルフの女の子のことだね。

 よくリーアと魔道具作りを競い合ったりしてるよ。


 それにしても、人捜し用の魔道具?

 誰を捜すのに使うのかな?


「人捜し用······ですか? 確かにいくつかそういったタイプの物はありますが、どういった人物をお捜しになるのですか?」


 当然、リーアが疑問を投げかける。

 迷子の子供や脱走したペットを捜すための魔道具はあるけど、効果の割にはちょっとお値段が高めなんだよね。


「この男なのですよ! 王城からお達しも出ているから、みなさんも知ってるんじゃないのですか?」


 そう言ってリーフィさんは、ある人物が描かれた紙を広げた。

 あ、その人あたし知ってる。

 黒いマスクですっぽり顔を隠してる正体不明の人だ。王都で何度も現れてる有名人なんだよね。


「ああ、正義の味方を名乗っている、謎の人物ですわね。わたしは実物を見たことありませんけど、()()()()()()()()をされているそうですわね」


 リーアが言う。

 リーフィさんが出した絵は顔の部分しか描かれてないから、リーアはその目立つ格好がどんなのかわからないんだよね。


 あたしは一度だけ遠目からだけど、見たことあるよ。何故か下着しか身につけていない、ほとんど裸の格好なんだよね······。


 普通に考えたら、ただの変質者なんだけど、王都で色々と活躍してるから結構好意的に見られてるんだよね。

 確か王城からも仮面の人の正体に関する情報提供を求めている、お達しが出ていたね。


「その男の正体に関する有力情報提供者には、最大で金貨2000枚支払われるということでしたわね。リーフィさんはそれを狙っているのですか?」


 そうそう、そんな内容のお達しだったね。

 賞金首というわけでもないのに金貨2000枚なんて、すごいことだよ。

 でも、有力情報はまだ集まってないって話だよ。


「それも魅力的なのですが、私は個人的にあの仮面の男を見つけ出したいのですよ。そう、学園報道部のプライドに賭けても!」


 リーフィさんは報道部に所属してるみたい。

 ああ、国王様も捜している人物を一番最初に見つけたら、特ダネになるもんね。

 それでウチに人捜しの魔道具を買いに来たんだね。


 今の話を聞いてリーアが何か考えてる。



「なるほど······。そういう話でしたら、わたしもその仮面の男を捜すのを手伝いますわ。人捜しの魔道具はいくつかありますが、お買い上げとなりますとお値段が少々張りますし、わたしが協力することで、タダで貸し出せますよ?」

「おおっ、それは願ってもないことなのですよ! 是非お願いするのですよ」


 リーアがリーフィさんに協力することにしたみたい。リーア、何を考えてるのかな?


「その代わり、王城からの報酬は山分けという形になりますが、よろしいですか?」


 ああ、報酬目当てなんだね······。

 確かに金貨2000枚は魅力的かも。

 リーフィさんは二つ返事で了承した。

 どうやら、リーフィさんは報酬には興味ないみたい。


「お姉様も協力してくださいますよね? 図々しいかもしれませんが出来ればレイさん、シノブさんにも協力をお願いしたいのですが······」

「えっ······!?」

「せ、拙者もでござるか······?」


 突然の話にレイさんとシノブちゃんが困ってるよ。あたしは協力するくらいなら構わないけど。

 正体不明の相手だけど犯罪者というわけじゃないし、危険はないだろうから。


「レイっち、シノっちも協力してほしいのですよ。私達であの仮面の男の正体を暴こうなのですよ!」


 リーフィさんも二人に協力をお願いしていた。




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