331 神樹の迷宮200階層の魔物
アイラ姉とシノブと一緒に、神樹の迷宮に入った。
シノブの転移魔法によって190階層からのスタートだ。転移魔法無しだと入口からここまで来るだけで、相当に時間を費やすことになるだろう。
本当に便利な魔法だ。
「では行くぞレイ、シノブ。気を引き締めるようにな」
アイラ姉の言葉に、オレとシノブが頷く。
191階層からの魔物も、相変わらず虫系や木に擬態したような奴らだが、レベルは150〜180くらいだ。
魔王軍幹部のギュランと同じくらいのステータスの魔物も現れた。
問題無く蹴散らせているが、魔王軍幹部クラスの魔物が普通にエンカウントするなんて、普通に考えて異常なことだよな?
「アイラ殿の(真・アイテム錬成)で強化したこの魔剣はすごいでござるな。今までとは桁違いの威力が出るでござるよ」
シノブが自身の持つ小太刀を掲げて言う。
アイラ姉の新たなスキル(真・アイテム錬成)はアイテムとアイテムを合成することも出来るようになり、それによってオレとシノブの魔剣を強化してもらった。
(魔剣ヴィオランテ☆5〈アイテムランク8〉)
攻撃力+21000〈身体強化、魔力増加付与〉
これが今のオレの魔剣の能力だ。
量産型のオリハルコンの剣を4つ合成したことで、ここまで攻撃力が上がった。
アイラ姉の話だと☆10までしか合成できないみたいなので、とりあえず☆5で止めておいた。
やり直しが出来ないっぽいからね。
合成する素材が強ければ、それだけ性能が跳ね上がりそうだし、ゆっくり実験していく予定だ。
ちなみに合成した物同士では、組み合わせ不可だったが。
アルネージュにいるドルフさんやガルナンさんに、このスキルのことを話したら神剣級の武器が作れるかもしれないと、ものすごく燃えていた。
二人の力作を合成したら、とんでもない武器が完成しそうだ。
(魔剣ヴィオグルテ☆5〈アイテムランク8〉)
攻撃力+19500〈身体強化、魔力増加付与〉
ちなみにシノブの魔剣の性能はこんな感じだ。
若干オレのより攻撃力は低いが扱いやすく、シノブなら目にも止まらないほどの速さでの連続攻撃が可能だ。
オレのはロングソード型の魔剣ヴィオランテ。
シノブのは小太刀タイプの魔剣ヴィオグルテ。
アイラ姉のは長刀タイプの魔剣ヴィオルーテ。
聖剣エルセヴィオを参考にして作ったので、名前や装飾は似たような感じになっている。
(名付けたのはドルフさん)
もはや攻撃力だけなら、聖剣を上回る性能になっているが。
聖剣をもとに合成したら、もっとすごいのができるかもしれないな。
迷宮攻略は順調に進み、ついに200階層にたどり着いた。
予想通り200階層はボスが現れそうな、大部屋のフロアだ。大部屋と言っても周りを木々に囲まれた、森の中のようなフロアだが。
オレ達が部屋に入ると同時に魔物の反応が現れた。
[レディバグ·セブンス] レベル620
〈体力〉742000/742000
〈力〉32500〈敏捷〉92900〈魔力〉31000
〈スキル〉
(養分吸収)(暴食)(猛毒)(腐蝕)
(敏捷増加〈極〉)(自然の恵み)
現れたのは、巨大なてんとう虫の魔物だ。
150階層に出てきた恐竜よりもでかい。
200階層でついに魔物のレベルも600を超えたか······。
となると最深部の300階層にいる迷宮の守護者は、レベル1000を超えている可能性があるな。
まあ、それはいいとして目の前の魔物に集中しないとな。この魔物、〈敏捷〉はかなり高いが、他のステータスはレベルの割には低めだ。
この程度ならどうにでもなる······と思っていたら。
―――――!! ―――――!! ―――――!!
―――――!! ―――――!! ―――――!!
巨大なてんとう虫の魔物が次々と現れた。
一匹じゃないのかよ!?
最初に現れたてんとう虫は、背中に七つの点のような模様がある奴だったが、他の奴は模様の数が違ったり、身体の色が黄色かったり黒かったりと、それぞれ種類が違う。
まあ、どれもステータスは似たような数値だが。
巨大なてんとう虫が大量に迫ってくる光景は、なかなかにシュールに思えた。
「フム、数で攻めてきたか。レイ、シノブ。手分けして仕留めるぞ。決して油断するなよ」
「ああ、わかってるよ、アイラ姉」
「承知でござる、アイラ殿!」
アイラ姉の言葉にオレとシノブが頷き、武器を構える。数は多いが三人で戦えば問題無いだろう。
レベル600を超える魔物をこれだけ倒せば、相当な経験値が期待できそうだ。
この虫達には、オレ達のレベルアップの糧となってもらおう。