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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第二章 始まりの町アルネージュでの出来事
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42 迷宮探索~シノブとユーリ~ (後編)

(シノブside)


 師匠の部屋にあった本の知識を色々試したら、うまく加護スキルが付いたでござる。

 慣れないことをしたのでさすがに恥ずかしかったでござるが、これで拙者とユーリ殿のステータスが上がったでござるよ。


 これならばこの辺りの魔物にも負けないでござる。


「では先へ進もうでござるユーリ殿」

「はい、シノブさん!」


 なにやらユーリ殿がやけに素直になったような?

 まあとにかく先に進むでござる。

 出てくる魔物はレベル50前後のなかなかの強敵でござるが、今の拙者達の敵ではないでござる。


「グウアアッ!」


 またもやデッドグールが現れたでござる。


「シノブさん、ぼくに任せて下さいっ!! リュートシャイニング!!」


 ユーリ殿が「光」の上級魔法で一掃したでござる。

 加護スキルを手に入れたことで、ユーリ殿は相当に強くなったでござる。


「そういえばユーリ殿は武器は持ってないのでござるか?」

「ぼくは力が弱く魔法攻撃が基本だったので、武器はないですね」

「ならばこれを使うといいでござる。丸腰だといざという時、危険でござるから」


 拙者はアイテムボックスから武器を取り出し、ユーリ殿に渡したでござる。



〈オリハルコンの短剣〉攻撃力+1050



 拙者のオリハルコンの小太刀を失くした場合の予備の武器でござる。

 短くて扱いやすいでござるし丸腰よりはマシでござろう。


「こ、これってオリハルコンの······!? いいんですか、こんな貴重な物をぼくに渡して」

「構わぬでござるよ。それと念の為これも渡しておくでござる」


 ついでにユーリ殿に薬を渡しておくでござる。


〈特級ポーション×3〉〈特級万能薬×3〉


 ユーリ殿はアイテムボックスを使えないようでござるが、これならかさ張らずに持てるでござる。


「と、特級ポーション······それに万能薬!? こんな希少な薬を三本ずつ!? ぼくに渡してシノブさんの分はどうするんですか!?」

「まだまだいっぱいあるから心配いらないでござるよ」

「いっぱいって、特級ポーションや万能薬は希少で一本で金貨何百枚もの価値があるんですよ······?」


 そういえばセーラ殿やリン殿からそんな話を聞いたでござるな。

 材料さえあればいくらでも作れるでござるし、その材料も師匠が出してくれるので気にしたことがなかったでござる。


「············本当に何者なんですかシノブさんは?」

「それはここを脱出したらでござる。さあ、先を急ぐでござるよ」





 そうして先を進み29階層までたどり着いたでござる。あと少しでござるな。

 ユーリ殿のレベルもここまでで57になったでござる。


「ゴオオッ······」


 全身が鉄で出来た巨人アイアンゴーレム。

 レベルはおよそ58。

 全身がミスリルで出来た巨人ミスリルゴーレム。

 レベルはおよそ65。

 その他にもマッドゴーレムやロックゴーレムという名の魔物も現れたでござる。


 ゴーレムとつく魔物ばかりでござるな。

 オリハルコンゴーレムとやらも出てきそうでござるな。


「拙者はミスリルゴーレムを倒すでござる! ユーリ殿はアイアンゴーレムを頼むでござる!」

「はいっ!!」


 ミスリルゴーレムはどうやら魔法が効きづらい特性があるようでござるが、ならば斬ればいいだけでござる。

 ミスリルは鉄より硬いでござるが、オリハルコン程ではないので倒すのは簡単でござった。


「フレアグレイブ!!」


 拙者がミスリルゴーレムを倒すと、向こうでもユーリ殿がアイアンゴーレムを倒したでござる。

 今のは「炎」と「土」の合わさった魔法でござるか?


「やったでござるな、ユーリ殿!」

「はいっ、自分でも信じられません。こんな強力な魔物を一人で倒せたなんて······」


 これでユーリ殿のレベルは60になったでござる。

 その後も次々と魔物が現れたでござるが、問題なく倒していったでござる。


 魔導ゴーレムというレベル80のボスっぽい魔物を倒すと、この階層から魔物の気配が消えたでござる。

 しかし守護者とやらではなかったようなので拙者達は先へと向かったでござる。





 そしてついに最深部の30階層にたどり着いたでござる。

 ここは他の階層と違って道はなく、広大な部屋があるだけでござる。


 はて、守護者とやらは?


 そう思っていると、中央の土が盛り上がり何かが現れたでござる。

 体長数メートルはありそうな巨体でござる。

 見たところ、此奴もゴーレムっぽいでござる。

 しかし身体が土なのか金属なのかよくわからない見た目でござるな。



[グラトニーゴーレム] レベル105

〈体力〉15500/15500

〈力〉1880〈敏捷〉820〈魔力〉650


〈スキル〉

(暴食)(自己再生)(限界突破)



 なかなかに高いステータスでござる。

 それに妙なスキルを持ってるでござるな。



(暴食)

生物を喰らう程にステータスが上昇する。

自身よりも格上の生物程、上昇する力は大きくなる。



(自己再生)

自身の失われた身体の部位を復元する。



(限界突破)

体力および生命力を犠牲にして自身のステータスを一時的に大幅に高める。



 厄介そうなスキルでござるな。

 おや、メニュー画面の魔物の名前を指で押したら説明文が出たでござる。



[グラトニーゴーレム]

暴食を司る迷宮の守護者。敵と認識したものはすべてを喰らい尽くす。



 やはり此奴が守護者でござるか。

 つまり此奴を倒せば迷宮から脱出できるのでござるな。


「ユーリ殿、かなりの強敵でござる! 慎重に攻めるでござるよ!」

「はいっ、シノブさん!」


 とりあえずは遠くから魔法攻撃を仕掛けるでござる。


「ヘルフレア!! でござる」


 拙者は「炎」魔法を守護者に向けて放ったでござる。魔法は直撃し、守護者が燃え上がったでござる。


「クオオオ······」


 なんとコヤツ、炎を食べてるでござる。

 燃えた身体ごと喰らって自己再生で修復しているでござる。その上、周囲の岩や土まで食べ出したでござる。

 生物以外も食べられるのでござるか?

 スキルの説明文にはそんなことは書かれていなかったでござるし、種族特性というやつでござるか?


「クオオオ······!」


 体力は完全回復し、ステータスも少し上がってるでござる。早く倒さないとどんどん強くなりそうでござるな。


「アクアスコール!!」


 ユーリ殿が「水」の中級魔法を放ったでござる。

 しかし守護者にはほとんどダメージは与えられていないでござる。


「クオオオ!!」

「え!?」

「ユーリ殿、あぶないでござる!」


 なんと守護者は口から炎を吐いたでござる。

 もしかしてさっき食べた「炎」でござるか?

 ユーリ殿に向けて吐いたので拙者が前に出て防いだでござる。


「クオオオ······!!!」


 守護者が追い打ちをかけるように、その大きな腕を拙者に向けて振り下ろしてきたでござる。

 避けたら後ろのユーリ殿があぶないでござるな。

 拙者はオリハルコンの小太刀で守護者の腕を受け止めたでござる。


「シノブさん!?」

「心配ないでござるよユーリ殿!」


 拙者は守護者の腕を斬り落とし、さらに頭を蹴り砕いたでござる。

 ステータスは拙者が上回っているでござるから力勝負は負けないでござる。


「クオオオ············」


 守護者は(自己再生)スキルですぐに元通りに回復したでござる。

 頭を砕いても駄目でござるか?

 その上再生のスピードが早いでござる。

 これは一撃で倒さないと駄目でござるな。


 ならばやはり魔法でござるかな。

 先程のユーリ殿の「水」魔法はまったく効いていなかったようでござるし、ここは「炎」で焼き尽くすでござるか。


 ん? そういえば「水」······それと「炎」で············。

 ちょっと試してみるでござるか。


「ユーリ殿、拙者が魔法を撃ったら先程の「水」魔法を放つでござる!」

「えっ? でもアイツには全然効いてませんでしたよ」

「拙者に考えがあるでござる。頼むでござるよ」

「わ、わかりました!」


 さて、思い付きはしたものの上手くいくでござるか。まあ、やってみるでござる。


「クオオオ!!!」


 守護者がこちらに向かってくるでござる。

 あの巨体からは考えられない程素早い動きでござる。しかしこれで終わりでござるよ!


「エンドレスフレイム!!! でござる!」


 「炎」属性の最上級魔法でござる。

 終わりなき灼熱の業火(エンドレスフレイム)

 師匠の魔力でこれを使うと、町一つ焼き尽くしかねない大変なことになるでござるが、拙者の魔力ではそこまでの威力は出ないでござる。



――――――ゴオオオオッ!!!!!



 炎が直撃し守護者が燃え上がったでござる。

 おお、思ったよりも威力があったでござるな。


「クオオオ······」


 それでも守護者はまだ動いているでござるな。

 なかなかにタフでござる。

 身体がジュウジュウ音を立ててかなり熱そうでござる。


「アクアスコール!!」


 ユーリ殿が「水」魔法を放ったでござる。

 しかし守護者の身体が熱すぎて「水」はあっという間に蒸発してしまったでござる。

 思った通りにいかないでござるな。


「ユーリ殿、拙者も手伝うのでもう一度でござる」

「はいっ!!」


 拙者とユーリ殿が両手に魔力を集中させるでござる。


「「アクアスコール!!!(でござる)」」


 そして一緒に守護者に向けて放ったでござる。

 凄まじい熱量をもつ守護者に大量の水を一気に浴びせれば······。



――――――ズドォオオオオンッ!!!!!


「うわああっ!?」

「ユーリ殿!」


 拙者は咄嗟に防御結界を張り自分とユーリ殿を守ったでござる。

 危なかったでござる。

 ここまで威力が出るとは思わなかったでござる。


 今起きたのは水蒸気爆発でござる。

 高熱の物体に大量の水をかけると急激に気化して発生する圧力で大爆発を生じさせる············だったでござるか?


 うろ覚えの知識でござったが成功したでござるな。

 守護者は今の爆発で跡形もなく吹き飛んだようでござる。どうやら倒せたようでござるな。



 しかしよく考えるとかなり危険だったでござる。

 あと一歩結界を張るのが遅れていたら、拙者達も吹き飛んでいたでござる。

 それに今の爆発で迷宮が崩れていたら············。

 今度からはもっとよく考えてから行動に移した方がいいでござるな。



〈レベルが上がりました。各種ステータスが上がります〉



 おお、レベルアップでござる。



〈解放条件を満たしました。新たなスキルを手に入れました〉


〈スキルレベルが一定値以上になりました。スキル(魔法付与)は(魔法・スキル付与)に進化します〉


 なにか色々とスキルが変化しているでござる。

 まずは新たなスキルから見てみるでござるか。



(スキルスティール)

次の条件を満たすことで対象のスキルを奪い、自分のものにすることが出来る。

①対象がスキルを使用する所を目視する。

②対象のレベルを上回る。

③対象に継続して1分以上触れ続ける。(対象が生命活動を停止していた場合は無効)



 ほう、相手のスキルを奪うスキルでござるか。

 それはなかなか凄いスキルでござる。



(魔法・スキル付与)

生物およびアイテム類に魔法とスキルの力を付与できる。



 こちらは元々持っていたスキルがパワーアップしたみたいでござるな。

 魔法の力だけでなく、スキルも付与できるようになったでござるか。


「ぼ、ぼくに新しいスキルが······」


 どうやらユーリ殿も(スキルスティール)というスキルが手に入ったようでござるな。

 解放条件とやらは守護者を倒すことだったんでござるか?

 まあ、手に入って損はないでござるし、気にしなくていいでござるか。


 おや? 守護者がいた所が何やら光っているでござる。まさか倒し切れていなかったでござるか?

 警戒しながら近づくと光の中から黒い宝石が出てきたでござる。

 なんでござるかコレは?



〈ダンジョンコア〉

五人以下の少数パーティーで迷宮の守護者を倒した証。

魔力を込めることで迷宮の守護者、およびその眷属を召喚し、使役することが出来る。



 何やら凄そうなアイテムでござるな。

 とりあえず持っていくでござるか。

 拙者が黒い宝石を手にした瞬間、周囲が光に包まれたでござる。











洞窟内で炎の魔法や水蒸気爆発を使用するのはレイやアイラがその場にいたら確実に止めているであろう蛮行です。


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