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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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325 エイミとミールの両親

 詳しい事情を聞くために、長の屋敷までやってきた。長の屋敷はそれほど被害を受けなかったみたいだな。

 屋敷の広間には長のゲンライさん、フウゲツさん、エイミとミールが集まっていた。


 そしてもう一人、初めてみる男か女か判断出来ない、中性的な顔立ちの人物が居心地悪そうに正座させられていた。

 この人がレニーっていう魔人なのかな?


 フレンリーズ王国を襲っていた魔王軍のギュランや、他の魔人達は大柄で人相が悪く、ツノや翼が生えてたりと人族にはない特徴があったのだが、レニーはそいつらと違って小柄で、肌の色が少し黒っぽいだけで普通の人族に見える。


 まあレニーのことは後にするとして、さっきアイラ姉から聞いていた通り、ミールが元気ないように見える。

 エイミも少し落ち込んでいる感じだ。

 二人にとってエルフの里での出来事はトラウマになってるだろうし、心配だな。




「もう皆さん察しているでしょうけど······ワタシの父様は魔人族という種族です。ワタシも詳しくは知りませんが、魔人族の中でもかなり位の高い立場だったみたいです」


 すでにフウゲツさん達にはある程度事情を話していたようだが、オレとアイラ姉が来たことで、もう一度状況整理のため話してくれた。


 落ち込んでいるところ悪いけど、ちゃんと説明してくれるのは助かる。



 ミールの言う通り、今までの情報から予想はしてたけど、やはり父親は魔人族だったのか。

 エイミとミールがハーフエルフだし、父親はエルフ以外の種族なのは予想していたが、正確には知らなかったからな。

 当然だが、母親は純粋なエルフだそうだ。


 神将という立場のバルフィーユと親しいくらいだし、父親も魔人族としては相当に偉い立場だったのかな?

 純粋なエルフの母親と、どういう出会いをしたのだろうか?


「すみません、父様と母様の出会いについてはワタシは何も知りません」

「ご、ごめん······わたしも」


 ミールとエイミが申し訳なさそうに言う。

 二人とも両親の出会いについては知らないようだ。まあ、今はそのことはいいだろう。



「父様と母様は、しばらくは魔人達の大陸で暮らしていましたが、やはり純粋なエルフが魔人領に居るというのは、かなり特異な目で見られていたみたいです。ですから姉さんとワタシが生まれてしばらくしたら魔人領を出て、母様の故郷のエルフの里に移り住みました」


 エルフの里では、今度は父親の方が特異な目で見られることになったみたいだが。

 父親は温和な性格で人当たりもよく、上手く暮らしていたそうだ。

 ············例の事件が起きるまでは。


 その後については、二人や学園長に聞いている通りだな。結局、父親が何故そんなことをしたのかわからずじまいだったが。


「フム、バルフィーユ(やつ)もエイミとミールの両親の死については意外そうな様子だったな」


 アイラ姉が言う。

 あの戦闘狂のバルフィーユが戦いを中断するほどに、あいつにとっても衝撃的な事実だったのか。


 二人の父親の暴走は魔人族の陰謀か何かという可能性を考えたけど、バルフィーユの様子を聞く限り、それも違うのかな?

 いや、そもそもバルフィーユ(あいつ)はそういう回りくどいことを企むような奴じゃないか。



「······黙っていてすみません。やはり魔人の親を持つ者を、里に住まわせるのはマズいですよね?」


 ミールが言いづらそうに問う。

 黙っていたといっても、わざわざ言うことでもなかっただろうけど。


「いや、嬢ちゃん達の人柄はわかっているつもりじゃ。今更そんなことで追い出したりはせぬ」

「そうね、驚いたのは事実だけど二人を悪く思ったりしないわ」


 ゲンライさんもフウゲツさんも、親が魔人族だからといってミール達を悪く思っていないみたいだ。

 よかった······。エルフの里ではそういった差別を受けていたみたいだからな。

 二人の傷口が広がるようなことを言われなくて、本当によかった。


「もちろん私もそんなことで偏見を持ったりしないぞ」


 アイラ姉もそう付け加えた。

 オレも皆と同じだと頷いた。

 エイミとミールは、そんなオレ達の反応にホッとした様子だった。


 その後の話によると両親はバルフィーユと親しいようだったが、二人も詳しいことは何も知らないらしい。

 まあ、魔人領とやらで暮らしていたのは短い期間だったようなので、それは仕方無いか。




「さて、次はあなたね? 詳しい話を聞かせてくれるかしら?」


 フウゲツさんが視線をレニーに向けた。

 かなり怖い目付きだ。

 レニーはビクッとした反応を見せる。

 この人、本当に魔王軍の関係者なのかな?

 むしろ魔人に捕まった被害者のような見た目だ。


「あ、あの······自分、ただの下っ端で詳しいことは何も知らないんですけど······」


 確かに下っ端か、使いっぱしりのような態度と外見だ。けど、鑑定魔法で見たらレニーのレベルは600を超えていた。

 とても下っ端の強さじゃない。

 というより魔王軍幹部のギュランよりも遥かに強いし、ゲンライさんやフウゲツさん、エイミとミールよりも素のステータスは上だぞ。


「バ、バルフィーユさんにしごかれてレベルアップしただけで本当に自分、大した存在じゃないんですよ!? し、信じてください······!」


 つまりはバルフィーユ直々に鍛えられたのか?

 それはそれで充分すごいことの気がするが。


「レニーさんは姉さんとミウネーレさんが捕らえたんですけど、ほとんど無抵抗でしたね。暴れたがるメリッサの方が厄介でした」

「う、うん······。レニー君は特に悪いことはしてなかったかな」


 ミールとエイミがクラントールでの出来事を簡単に話してくれた。

 冒険者ギルドで、メリッサが暴れていた所に出くわしたと。



 どうやらレニーの臆病そうな態度は、演技とかではなく素の反応のようだ。

 どういうわけかバルフィーユの目に止まって鍛えられただけで、本当に何も知らないただの下っ端らしい。



 残念ながら魔王軍の目的や、今後の動きもわからないそうだ。




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