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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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321 その頃の幻獣人族の里 〜狂魔人の襲来⑧〜

(アイラside)


 (超越者)というスキルを手に入れたため、私のステータスの数値が、今までよりも桁違いに上昇した。

 あまり実感が沸かないが、これが神の領域というやつなのか?


「クククッ、嬉しいぜ。まさか人族に神の領域に足を踏み入れる奴が現れるとはな。レイ辺りなら、その内にもしかしたらとは思っていたんだが、お前さんの方が先だったか」


 そしてバルフィーユも同様のスキルを持っているようだ。今まで使わなかったのは、相手に合わせていたからか?


「ハーーッハハハハッ!!! やっぱ気兼ねなく力を解放出来るのはいいな! 最高だぜ、この感覚」


 バルフィーユが発する力は、先ほどまでよりも桁違いだ。攻撃をしたわけでもないというのに、力を解放しただけで里全体が大きく揺れた。


「シノブ、皆を連れてもっと離れていろ。悪いが巻き込まない自信はない」

「り、了解でござる、アイラ殿!」


 シノブも私のパワーアップ、そしてバルフィーユの異常な力を感じ取ったようだ。

 フウゲツ殿達を連れて、素直に場を離れた。



「さて、と······魔剣は品切れか。まあ、あったとしても今の俺の力には耐えられないだろうがな。ならこっちを使わせてもらうか。神剣ほどの力はねえが()()()()だろう」


 バルフィーユが再び、何もない空間から武器を取り出した。先ほどの魔剣よりも桁違いの力を感じる剣だ。



〈流星剣フィアフルメテオ〉 鑑定不可



 予想はしていたが、やはり鑑定出来ないか。

 鑑定不能ではなく鑑定不()と微妙に違うのが気になったが。

 そんなことよりもあの剣、間違いなく私の魔剣よりも性能は上だ。それも桁違いに。


 このままでは不利だな。

 ならば進化した(真・アイテム錬成)を使うとしよう。



 先ほど進化したばかりで詳しく使い方を見る時間などないが、どうやらこのスキル、アイテムとアイテムを組み合わせて別の物を作り出す、もしくは強化することが出来るらしい。

 要は合成というやつか?


 試しに私の魔剣と予備に持っていた、オリハルコンの剣を組み合わせてみた。



〈魔剣ヴィオルーテ☆2〉

攻撃力+6200〈身体強化、魔力増加付与〉



 一瞬にして魔剣の攻撃力が倍近く上がった。

 組み合わせたオリハルコンの剣は消失してしまったが、これはかなり有用だな。

 まだまだオリハルコンの剣は予備があるので、可能な限り組み合わせることにした。



〈魔剣ヴィオルーテ☆10〉

攻撃力+72000〈身体強化、魔力増加、斬撃強化付与〉



 星が10になったところで組み合わせられなくなった。これが限界ということか。

 おかげでかなり性能が上がったが、それでもバルフィーユ(やつ)の剣の方が強い力を感じる。

 まあ贅沢を言ってはいられない。

 私は強化した魔剣を手にして構えた。



「へえ、何をしたのか知らねえが、魔剣が強化されてるな。ますます面白えな、こりゃあ」

「全力でゆくぞ、バルフィーユ。死んでも恨むなよ」

「ハハハハハッ! いいぜ、さあ来いよ!」


 私とバルフィーユが同時に動いた。

 何度も剣を交え、自身の力と魔剣の強度を確かめる。これだけ強化しても、やはり剣の性能は向こうが上か。



――――――――!!!!!



 攻撃がぶつかり合う度に、大地が激しく揺れ動く。

 シノブやフウゲツ殿達が周囲に被害が出ないように、必死に結界を張っているのが見えたが、あまり意味を成していない。


 すまないが周りに気を配る余裕がない。

 少しでも気を抜けば、あっという間に殺されるだろう。


「終の太刀······幻想無限桜!!!」

「ハハハハハッ! 紅魔爆炎衝(こうまばくえんしょう)!!!」


 お互いの剣技がぶつかり合う。

 私の剣でバルフィーユの全身を斬り刻んだが、私も奴の剣で深く斬られた。

 私の身体から少なくない量の血が流れる。

 (強化再生)スキルでもすぐには治らない。


「いいぜえ、これだよ! 俺はこういう戦いを待ち望んでいたんだよ! まだまだいくぜっ!!」


 バルフィーユも決して少なくない出血をしているが、まったく気にしている様子はない。

 むしろ心底嬉しそうな表情だ。


 レイの言っていた通り生粋の戦闘狂だな。

 まあ、()()()()()()()()()()()()



 お互いに、身体の傷など気にせずに斬り合う。

 自然と私も笑っているようだ。

 これほどの格上を相手に出来ることなど、そうはない。全力でぶつかり合えるのが、こうも気分が良いとはな。


「ハハハハハッ! お前も女の割にはずいぶんな戦闘狂みたいだな? 俺と同類の感じがするぜ」

「女だからといった差別は嫌いだと言ったはずだが?」


 自分を戦闘狂だと思ったことはないが、この状況では否定は出来ないな。


「クククッ、そうだったな。なら、こういう戦いの楽しさをレイにも教えてやってくれ!」


 雑談するような軽口をたたきながら剣を交え合う。喋りながらも、お互いに攻撃のチャンスを伺っている。

 どれだけ打ち合っていただろうか。


 私達は勝負を決めるべく剣技を繰り出――――



―――――――――!!!!!



 ――――そうとしたところに私とバルフィーユの間に巨大な氷が出現した。

 これは魔法攻撃によるものだろう。

 これほどの「氷」魔法を使えるのは······。



「すみません、アイラさん。真剣勝負に横槍を入れる形になってしまって。しかし、このままお二人がぶつかれば幻獣人族の里(ここ)が消滅しかねないと思いましたので」


 やはりミールの「氷」魔法だったか。

 キリシェからの念話で、エイミとミウネーレと一緒にクラントールの町に行っていたと聞いていたが、戻ってきていたのか。向こうの方には二人の姿も見えた。

 縛り上げられた見慣れない男女二人の姿もあるが?


 ミールの言葉を受けて、冷静になって周囲を見回すと、私とバルフィーユの戦闘によって里はさらに酷い有り様となっていた。


「ごめんバル兄、負けちゃった。てへっ☆」


 エイミとミウネーレに縛り上げられて連れて来られた、小さな女の子が舌を出しながらそう言った。


「何やってやがんだよ、メリッサ。おい、レニー。お前らには近くの町で、適当におとなしく時間潰してろって言ったはずだが?」

「ご、ごめんなさい、バルフィーユさん······。メリッサさんが全然言うことを聞いてくれなくて······」


 縛られたもう一人の男の方(顔付きが女性っぽく見えるが、おそらく男だと思われる)が申し訳なさそうに言った。

 会話の内容から察するに、バルフィーユの仲間か?


 見た目は小さな女の子と気弱そうな男だが、二人ともかなりの強さを秘めている。

 クラントールでミール達と戦うことになり、結果捕らえられたということか。



「それよりも············お久しぶりですね、バルフィーユさん。ワタシのことを覚えてますか?」

「お前はデューラの娘の······確かミール、だったか? なんでお前まで幻獣人族の里(こんなところ)にいるんだよ?」


 ミールが前に出て、そう言った。

 バルフィーユは意外そうな表情で答えた。



 どういうことだ?

 ミールとバルフィーユは顔見知りだったのか?




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