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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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314 レイ VS 殺戮人形サフィルス

場面戻ってレイと謎の少女の対決です。

 オレは蒼髪の少女サフィルスと、本気で斬り合っている。見た目は可愛らしい女の子だけど、この子のレベルは900もあり、冥王に匹敵する力を秘めている。


 少女サフィルスの攻撃は、全身の刃物から繰り出される斬撃がメインのようだ。

 両手の爪に肘から突き出た刃、両足からも刃物が飛び出し、そこから「風」魔法のエアーカッターのように斬撃を飛ばしてくる。

 もちろん近接戦闘も強いし、気の抜けない相手だ。


「聖魔退斬剣!!」


 オレは(聖剣術)で少女に攻撃を仕掛けた。

 少女は両手の爪で防ぐ。

 やはり並の攻撃では決定的なダメージが入らないな。(聖剣術)の上の(神聖剣術)を使いたいが、聖剣よりも性能が劣る魔剣では、おそらく反動に耐えられないだろう。


 この子は魔物じゃないためか、「聖」魔法の効き目も薄いんだよな。



「――――――脅威度レベル5に修正。かつてない難敵と判断します」


 少女が背中の蒼色の翼を広げて、飛び上がった。

 やはりというか、あの翼で飛ぶことが出来るのか。

 空に浮かぶその姿は、本当に天使みたいだ。

 ············身体中の刃物さえ気にしなければ。


「――――――セイバー·ドロップ」


 少女が上空から全身の刃物を落としてきた。

 切れ味鋭い刃が、雨のように降りそそぐ。

 少女の身体の刃物は次々と補充されているようで、際限なく落としてくる。

 無数の刃物が降ってくるなんて、恐怖でしかない。


「エアー·ブースト!」


 オレも少女に対抗して、空へと飛び上がった。

 「風」魔法を足からジェットのように噴射させ、うまくバランスを取りながら浮き上がる。


 空を飛ぶとか浪漫があるので、前から練習していたのだ。まだバランス調整が難しいけど。

 自由自在とはいかないけど、それなりに動ける。


「――――――対象を全力で排除します」


 少女がこちらに向かって爪を掻き立ててきた。

 それを魔剣で受け止め、反撃する。

 空中戦は慣れてない分、やはり不利だな。


 オレは魔剣を少女に向けて振り下ろした。

 少女は両手の爪で受け止めたが、オレは構わずさらに力を込めた。

 オレの力に押されて、少女が地面に落下した。

 オレも少女を追い、地上に降りる。


「――――――右足、破損。修復します」


 今のは無傷とはいかなかったようで、落ちた衝撃で右足を負傷していた。

 人形だから血は出ないのかな?


 負傷した右足はすぐに治っていった。

 自己修復機能でもあるのか、見えなかったスキルに(自己再生)があったのかな?


「――――――脅威度測定不能と判断。戦闘形態(バトルモーション)、第三段階に入ります」


 少女の身体に再び変化が起きる。

 身体中の刃物が鋭さを増し、背中の蒼色の翼の羽根の一本一本まで刃へと変わっていた。

 まさに全身凶器だな。


「――――――フェザーブレード」


 背中の羽根をいくつか引き抜くと一つに合わさり、一本の剣に変わった。

 少女は剣を構えて、斬りかかってきた。


 オレは魔剣で少女の剣を受け止める。

 すると少女は、すかさず背中の翼で攻撃を仕掛けてきた。腕みたいに自在に動かせるのか、それ?

 なんとかそれを回避したが、これはヤバいな。


 少女は(物理攻撃強化)と(斬撃強化)のスキルに加え、(防御貫通)なんてものまで持っている。

 まともに受けたらダメージは避けられないだろう。


「――――――ソード·フェスティバル」


 少女の翼の羽根がいくつも抜け落ち、一つ一つが意思を持ったかのように動き回る。

 そしてオレの周囲を取り囲んだと思うと、一斉にこっちに向かってきた。


「マジックシールド!」


 オレは魔法で盾を作り、刃の羽根を防ぐ。

 しかし刃の羽根はあまりに鋭く、何度か防ぐと盾が突き破られた。


「くっ······」


 いくつかの羽根が、オレの身体や頬をかすめた。

 なんとか直撃は避けたが、オレの頬から血が滴り落ちた。やはり直撃すると危険だな。

 というか、普通に怖すぎる。


「――――――対象の損傷を確認。効果的と判断します」


 少女が再び翼を広げた。

 もう一度、今のをやるつもりか。

 ヤバいな、そう何度もうまく避けられるとは限らない。



「――――――······?」



 オレは攻撃を止めようと動こうとしたが、その前に少女が動きを止めた。

 ············どうしたんだ?

 横を向き、オレではなく別方向を気にしている。



「――――――仮の指揮者の反応を確認。保護対象。どうするべきか思案中」


 なんだ? 少女が考え込むような仕草を見せる。

 仮の指揮者ってなんだ?

 少女の見ている方角は······。


 オレはMAPで確認すると、少女の目線は隣国の首都の方に向いていることがわかった。

 

 隣国の首都に何かあるのか?

 向こうは魔王軍もあらかた無力化して、エネフィーさんや聖女アルケミア達が、その後始末をしているはずだが。

 幹部のギュランだって死んではいないが、戦闘不能状態だったし。


 少女の目的は聖女か?

 いや、なんとなくだがそんな感じじゃない。

 仮の指揮者、保護対象······。


 そういや魔王軍の奴らが、ギュラン以外がこの少女を起動させるとどうなるかわからないとか言っていたような······。

 仮の指揮者ってギュランのことか?



「――――――仮の指揮者の保護を優先。戦線を離脱します」


 そう言うや否や、少女は翼を広げて首都の方向に飛び立っていってしまった。

 ギュランを助けに行くことを優先したってことか?


 はっきりはわからないが、このままだとマズい。

 首都にはアルケミア達がいるけど、少女の強さを考えたら、とても太刀打ち出来ないだろう。

 オレも急いで少女を追いかけないと。



 その時、無意識にオレの手には()()()()が握られていた。





〈予告〉次話かその次あたりでシリアスな展開にそぐわないキャラが登場します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 例のアレですね(⌒▽⌒)アハハ! まってました ヤっちゃえ~変態レイ
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