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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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312 その頃の幻獣人族の里 〜狂魔人の襲来④〜

(フウゲツside)


 私達の里に攻めてきた魔人は、シノブちゃん達の話だとレイ君ですら苦戦した相手だという。

 だからって、このまま見逃すつもりはないわよ。


 コイツは以前、捕らえたガストという魔人を助けるために来たみたいね。その魔人はすでに姿がない。

 みすみす逃したのは悔しいけど、あの魔人は口が堅く大した情報を引き出せなかったし、そのことは後回しにしましょう。


 シノブちゃんとスミレちゃんは、負傷してるゲンライ達に(ポーション)を渡している。

 あっちは任せて大丈夫そうね。



「初めから本気でいくわよ」


 出し惜しみするつもりはない。

 私は本気で戦うために(幻獣化)した。

 九本の尻尾を生やした、この巨大狐の姿になると、私の力と魔力が大幅に増すのよ。


 レイ君が私のこの姿を見て、九尾の狐と呼んでいたわね。なんでもレイ君達の世界では伝説級の存在らしいわ。

 フフッ、とても威厳のある響きだし、これからはそう名乗らせてもらおうかしら。


「ほう、長の(じじい)もなかなかだったが、それをさらに上回ってるな。こいつは楽しめそうだ」


 魔人は私のこの姿を見ても怯む様子はない。

 むしろ楽しげに笑っているわね。

 その余裕、すぐに崩してあげるわ!



 私は九本の尻尾の先から、それぞれ異なる属性魔法を放った。

 私の尻尾は腕のように自由自在に動かすことができる。九つの魔法を同時に撃ち出すことも可能なのよ。


 魔人は私の魔法を回避したり、相殺したりで防いだ。そのスキを突いて、私は魔人に飛びかかった。


「クククッ、すげえ力だな。長の(じじい)を軽く上回ってるぜ」


 魔人は両手で私の身体を受け止めた。

 なんて力なの······。

 (幻獣化)した私でも簡単に抑え込まれる。


「調子に乗らないでほしいわね······!」


 私は一旦、後ろに下がった。

 今のだけでわかったわ······。

 コイツの力は私を遥かに上回っている。

 ()()()()()()勝ち目がない。


 私は(真·覚醒)スキルを使った。

 長期戦は不利、短期決戦に賭けるわ。


「へえ、そこまで力を引き出せるとはな。ずいぶん前に戦った〈()()()()に匹敵しそうじゃねえか」

「その余裕、いつまで続くかしらねっ!!」


 (真·覚醒)の効果で私の力が何倍にも増した。

 けど、これには時間制限があるから、悠長にしてはいられないわ。

 私は捨て身で魔人に飛びかかった。


「ハハハハハッ! いいねぇ、これこそまさに戦いってやつだぜ! 思う存分相手をしてもらうぜ」


 魔人も少しばかし本気になったみたい。

 私と魔人が激しくぶつかり合う。





――――――!!! ――――――!!!



――――――!!! ――――――!!!





「なかなか楽しかったぜ、だがこれで終わりだな」

「うぐっ······っ······」


 私の持てる力をすべて出し尽くしたわ······。

 それでも、この魔人には及ばなかった。

 魔人の重い一撃を受けて、私は地に伏した。


 一体何者なの、この魔人?

 もしかして、コイツが今の魔王なの······?



「······させない!」


 スミレちゃんが、トドメの一撃を放とうとしていた魔人に攻撃を仕掛けた。

 魔人はスミレちゃんの二刀流の剣を、それぞれの手で受け止めた。


「スミレ殿、一人では危険でござる!」


 シノブちゃんもスミレちゃんの横に立って、武器を構えた。ゲンライ達の治療は終わってるみたいね。


 ただ傷は回復してるけど、ゲンライも(真·覚醒)を使っていたみたいで、今は反動で動けそうにないわ。

 キリシェさんとユーリ君も魔力切れで戦えそうにない。もうこの状況で動けるのは、シノブちゃんとスミレちゃんしかいないわ。



 二人の力はよく知っている。

 特にシノブちゃんは、私よりも遥かに強い力を秘めている。それでも、この魔人に勝てるかどうか······。


 逃げてと言いたいけど、今の私にはその力すら残っていない。



「今度はお前らが相手してくれるのか? わかってると思うが、俺は女子供でも容赦しないぜ」


 ゲンライ達を相手にして、さらに私とも戦ったっていうのに、魔人はまるで疲れている様子はない。



「師匠には及ばないでござるが不肖シノブ、相手をしてもらうでござるよ!」

「······ボクも全力で戦う」


 シノブちゃんとスミレちゃんが魔人に向かっていった。









(バルフィーユside)


 幻獣人族の女(フウゲツ)との戦いは、かなり楽しめた。

 おそらく覚醒系スキルによる一時的なパワーアップだと思うが、相当な強さだったぜ。


 さて、次はガキ二人が相手をしてくれるらしい。

 シノブとスミレ、だったな。

 子供(ガキ)とはいえ、コイツらから感じる力はこの里の中でも一番強い。

 クククッ、最高だな······幻獣人族の里(ここ)は!!


「スミレ殿、正面から挑むのは危険でござる! 拙者に合わせてでござる!」

「············わかった」


 シノブとスミレが俺を翻弄しようと素早く動き回る。マジで速いな。

 そして左右から同時に斬りかかってきた。


「おっと、うおっ······なかなか重いな」


 スミレの二本の剣を足で弾き、シノブの剣を両手で受け止めた。

 小柄なくせに力が強いな。

 特にシノブのは、片手で受けるのは無理そうだったぜ。


 コイツらの武器······どっちも聖剣クラスの力を感じるな。もしかしてコイツらも勇者なのか?


「さすがに素手じゃキツそうだな。俺も武器を使わせてもらうぜ」


 俺は収納していた武器の一つを取り出した。

 魔剣ナイトロード。

 コイツらの相手には、これが丁度良いだろう。

 


 さあ、まだまだ楽しませてくれよ!



 

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