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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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309 その頃の幻獣人族の里 〜狂魔人の襲来〜

(バルフィーユside)


 さて、メリッサ(ばか)の面倒はレニーに押しつけてきたし、俺はトゥーレの依頼をさっさと終わらせるとしよう。

 ガストの奴が調べ上げた情報によると、この森の中に幻獣人族共の住処があるらしい。


 森の奥まで入ると、かなり強力な結界を確認できた。確かに何かあるのは間違いないな。

 侵入者を惑わし、知らず知らずの内に追い返すタイプの結界か。

 正しい道順で歩かなければ、目的地までたどり着けないようだな。



 ············面倒くせえな。無理矢理通っちまうか。

 俺は結界を突き破り、中へと入った。

 思ってたよりも、ずっと強力な結界だったな。

 ガストの奴はどうやって通ったんだ?

 まあ、そんなことどうでもいいか。



「何者だ!?」

「また魔人族の手の者か!」


 さすがに派手にやりすぎたか。

 俺の侵入はすぐにバレちまった。

 複数の男共が俺を取り囲む。


 コイツらが幻獣人族か。

 なるほど、前に戦った龍人族の一般兵よりは強そうだ。


「悪いな、てめえらに用はねえよ」


 だが、俺と戦うには力が足りなさ過ぎる。

 俺は幻獣人族共を蹴散らして、奥へと進んだ。

 殺してはいないが、しばらくは動けねえだろう。





 さて、ガストの奴は······あっちの奥の建物か。

 気配を感じるということは生きているみたいだな。


 建物には鍵のかかった頑丈な扉があったが、面倒くせえから、ぶち壊した。

 中は殺風景な部屋がいくつかあるだけで、ガスト以外の人の気配はない。

 隔離部屋ってやつか?

 その内の一部屋にガストがいた。


「よお、生きてやがったか」


 無気力に俯いた状態だったが、俺が声をかけるとようやく顔を上げた。

 おうおう、ざまぁねえくらいやつれてやがる。


「············バルフィーユ殿、か? 何をしに来た、俺を笑いに来たのか?」

「てめぇを笑うだけのために、わざわざこんなところまで来るかよ」


 そんな口が聞けるなら、思ってたよりも元気がありそうだな。

 俺はここまで来た経緯を簡単に話した。



「ってなわけで、トゥーレはまだてめえを必要としてるんだよ。わかったら、とっととここから出るぞ」

「トゥーレミシア様が······。だが、俺にはもう······」


 ふん、落ち込み具合が半端ねえな。

 コイツの様子を見る限り、幻獣人族の里(ここ)には前魔王は封印されてなかったみたいだな。



「そういや、たった今思い出したが、てめえが以前作り出した最高傑作とか言っていた魔法生命体(ホムンクルス)、確かマティアだったな? あれ、起動してたぜ」


 以前に龍人族の国で見たあの女、どっかで見覚えがあると思ってたんだよな。

 ガスト(こいつ)の顔を見て、ようやく思い出したぜ。

 俺のその言葉を聞いて、ガストが目を見開く。


「······どういうことだ?」

「どうも何も、とある町で普通に過ごしているのを見たんだよ。その時は思い出せなかったが、ありゃ間違いないぜ」

「バカな······()()は施設ごと、当時の勇者に封印されたはず。何故、今になって起動を······」

「俺が知るかよ。()()()()()()()と一緒にいたから、そいつが封印を解いたんじゃねえのか?」


 この時代の勇者······()()ならそんな封印を解くのも簡単だろう。

 仮にアレが暴走しても、アイツなら抑え込めるだろうしな。


「あの魔法生命体(ホムンクルス)を使えば、前魔王の封印された場所を特定して、その封印を解くことも可能なんじゃねえか?」


 俺はコイツらの研究にあまり関わってねえから詳しくは知らないが、確か()()は、前魔王となんらかの繋がりがあると聞いた覚えがある。


 今の魔王はくそったれで、俺自身の手で八つ裂きにしてやろうかとも思っているが、前の魔王は好感が持てる。

 からかい甲斐のある奴だったしな。



 今の話を聞いて、ガストの目に生気が戻ったみたいだな。さっきまでと雰囲気が違うぜ。


「······どこだ、どこの町にいたんだ?」

「それは後で教えてやる。今はさっさとトゥーレの所まで戻れ」


 今、教えたらコイツはまた突っ走って行きそうだからな。






「攻めてきた魔人はここか!?」


 おっと、ゆっくり話してる時間はなさそうだな。

 幻獣人族の奴らが続々とやってきやがった。


「儂はこの里の長だ! 魔人族よ、何度も貴様らの好きにはさせぬぞ!」


 幻獣人族の一人が前に出て、そう言ってきた。

 コイツが幻獣人族共の長か。

 見た目は(じじい)だが、確かに他の奴らよりも強い力を感じるな。

 周りの奴らも、さっき蹴散らしたのよりも強そうだ。こいつは面白くなってきたな。


「ガスト、コイツらの相手は俺が引き受けてやる。てめえはさっさとここから出て、トゥーレの所に戻れ」

「············わかった。この借りは必ず返す」


 そんなもんいらねえよ。

 別にてめえを庇うために言ったんじゃねえしな。

 俺自身が楽しむためだ。


 ガストは素直に、この場から離脱していった。


「むっ、このまま逃してなるも――――」

「おっと、アイツを追いたければ俺を倒してからにしてもらおうか」


 俺は道を塞ぐ形で前に出た。

 幻獣人族共が一斉に武器を構える。


 さ〜て、メリッサ(ばか)のお()りでストレス溜まってたんだ。

 思う存分楽しませてもらうぜ。



 簡単に死んでくれるなよ?


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