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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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307 殺戮人形

 魔王軍の奴らを追っている内に、大きめの建物が見えてきた。思ってたよりも大規模な頑強そうな砦だ。

 結構、本格的な造りに見える。


「ここが魔王軍の拠点か」


 リイネさんが一度立ち止まる。

 ここまで走って来て、息切れしている様子はない。グレンダさんも同様だ。

 遅れて馬に乗った騎士達も到着した。



「なんだ、何事だ!?」

「人族共が何故ここに······!?」

「おい、ギュラン様はどうしたんだ!?」


 逃げ帰ってきた魔人と、事情を知らない魔人が何やら言い合っている。

 逃げ帰ってきた魔人は未だパニック状態が収まっておらず、説明が要領を得ていない。



「なんだか知らねえが、ノコノコやってきた人族共をやっちまえ!」


 詳しく話を聞くことを諦め、砦から出てきた魔人は武器を抜き、オレ達に襲いかかってきた。

 逃げ帰ってきた魔人は、慌てて砦の中に入っていった。


「フフッ、いくらでも来るがいい!」


 望むところだと、リイネさんが迎え撃つ。


「三人一組で迎え撃て! 決して油断をするな!」


 グレンダさんが騎士達に指示を出して、魔人達を相手する。魔人達のレベルは60〜70くらいだ。

 一対一でもなんとかなりそうだが、三対一なら尚更、問題なく抑え込めている。


 リイネさんやグレンダさんは無双状態だ。

 オレも二人に続いて、魔人達を無力化していく。


「な、なんなんだコイツら!?」

「つ······強すぎる」


 リイネさんとグレンダさんのあまりの強さに、魔人達は完全に逃げ腰になっていた。


「おとなしく投降するならば、命までは取らんぞ」


 リイネさんに刃を突きつけられて、魔人達が押し黙る。やっぱり、あのギュランって奴が一番強かったみたいだな。

 たいして時間をかけずに、ほとんどを無力化できた。


 なんか切り札的存在がありそうなことを言ってたはずだけど、ただの口から出任せとかだったのかな?

 そんなことを考えたのがマズかったようだ。



――――――――――!!!!!



 砦の奥の方から、凄まじい破壊音が響いた。

 やはりフラグを立てるものじゃないな。

 音は何度も鳴り響き、だんだんこちらに近付いてきている。


「ひぃぃっ······た、助け――――――」


――――――――――!!!!!


 建物の壁が派手に吹き飛んだ。

 一緒に何人かの魔人も吹っ飛んできた。

 なんだ? 何があったんだ?


「何事だ? お前達、何を企んで······」

「ひぃっ······早く逃げないと皆、殺され······」


 吹っ飛んできた魔人は普通に生きているな。

 なかなかに頑丈なようだ。

 リイネさんが、その魔人達に何があったか問いかけるが、怯えきっていて話にならない。

 だが、すぐに元凶と思われる影が、崩れた壁の向こうから現れた。



「――――――殲滅対象、確認。これより任務を遂行します」


 現れたのは小柄な少女だった。

 蒼色の長い髪をなびかせた、美少女と言える可愛らしい容姿だ。

 だが、その顔に感情らしきものを感じない。

 ミールやスミレのような無表情とは違う、無機質と言った方がしっくりくる。

 まるで人形みたいだ。



「お、俺達じゃない······! 殲滅するのはそっちに······」


 魔人の奴らまで、この少女に怯えているぞ?

 この少女は魔人の仲間じゃないのか?


 少女の肘から鋭い刃が生えてきた。

 さらに指先の爪も長く伸び、鋭利な刃物のようになった。なかなか物騒な見た目だ。


「――――――対象の殲滅を開始します」


 少女が両腕を振るうと、刃の先から斬撃が飛んだ。斬撃の当たった石の壁や、床が簡単に切り裂かれた。


「ひぃぃっっ!? や、やっぱり制御出来てねえ!?」

「だからギュラン様以外が動かすとマズいって言っただろ!?」


 今の斬撃、当たりはしなかったけど明らかに魔人達もお構いなしだった。

 敵味方関係無しなのか、この少女?



[サフィルス] レベル900

〈体力〉1125000/1125000

〈力〉134000〈敏捷〉142900〈魔力〉82500


〈スキル〉

(神将の加護〈大〉)(状態異常耐性〈極〉)

(身体強化〈極〉)(物理攻撃強化)(斬撃強化)

(硬質化)(防御貫通)(限界突破)(――――――)(――――――)



 やばいぞ、この少女······。

 レベルもステータスも高い上に、戦闘特化のスキルだらけだ。

 魔王軍幹部のギュランよりも強い。

 それも圧倒的に············。一体何者なんだ?



[サフィルス]

神将トゥーレミシアが命を吹き込んだ戦闘用殺戮人形(キラードール)(あるじ)に仇なす目の前の敵をただ殲滅する存在。



 名前をクリックしたら、そう表示された。

 戦闘用殺戮人形(キラードール)って物騒だな。人形っぽいとは思ったけど、本当に人形だったのか?


 というか、神将トゥーレミシアって誰だよ。

 神将って魔王を上回る存在って話だったよな?

 神将といえば、ユウが倒したというナークなんとかって奴にバルフィーユ、そしてトゥーレミシア。

 神将って何人いるんだよ。

 魔王を上回る存在がこんなにも居るってことは、ひょっとして、この世界の魔王ってそんなにたいした奴じゃないのか?



 いや、そんなことを考えるより目の前の少女をなんとかしないと。

 リイネさんやグレンダさんのレベルを、遥かに上回っている。

 オレとも、それほど差がないレベルだ。




 ············まさかこんなヤバい奴がいるとはな。


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