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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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閑話⑫ 2 突撃取材?

(ミールside)


「揃って何かご用でしょうか? フェニアさん、フレネイアさん、リーフィさん」


 寮の自室にクラスメイトの三人が訪ねて来ました。珍しい組み合わせですね。

 フェニアさんはいつもの三人娘を連れていないようです。



「レイっちは居るですか? 突撃取材に来たのですよ!」


 リーフィさんがそんなことを言いました。

 突撃取材? どういうことでしょうか?


「レイさんは外に出ていて今はいませんけど······そろそろ帰ってくる頃だと思いますが」


 レイさんは外出中で部屋にはいません。

 姉さんはいますけど。


 レイさんが何か仕出かしたのでしょうか?

 ······可能性としてはありえますね。

 レイさん自身は問題ある人物ではありませんけど、成り行きで厄介事に巻き込まれたりする人ですからね。


「ミルっちも学園に現れる謎の仮面の男のことを知ってますよね? その正体は実はレイっちではないかと私は睨んでいるのですよ」


 リーフィさんの言葉にワタシがドキッとしてしまいました。

 ······そうでした、先ほどの考えは訂正しましょう。

 ()()()()()問題ある人物ではないのですが例の仮面姿になれば話は別でしたね。


 しかし何故リーフィさんは正体がレイさんだと疑っているのでしょうか?

 バッチリ大正解なのですけど。



 事情を聞くとフェニアさんとフレネイアさんが例の仮面男の正体に興味を持ち、リーフィさんに相談したそうです。

 そういえば先日、フレネイアさんが正義の仮面さんに対して決闘を申し込んだという話がありましたね。


 風紀委員の方々は何があったのかは口を閉ざしているので詳細はわかりませんけど正義の仮面さんに決闘を申し込んだということはおそらく······。


「もうあの方が悪意のある人物とは思っていませんが、正体を知りたいという想いは別ですわ」


 なんだかフレネイアさんの表情が恋する乙女のようです。横でフェニアさんも似たような表情をしています。

 ······やはり正義の仮面さんの()()()()は魅了の効果がありそうです。

 ですが、それだとワタシも魅了されてしまっているということでしょうか?

 ············確かに()()()衝撃的でしたが。



「というわけでレイっちが帰ってくるまで持ち物検査をするのですよ!」


 何がというわけ······ですか。

 どうやら例の仮面の男の正体を確信して来たわけではないようです。

 おそらく何人か正体の候補が居て、レイさんはその内の一人ということですか。


 しかし、いきなり訪ねてきて持ち物検査をさせろって、なんの権限があって······。


「風紀委員の権限で部屋をチェックさせていただきますわ。すみません、ミールさん。エイミさんもいらっしゃるのですね?」


 フレネイアさんがそう言いました。

 ······ありましたね、権限。

 風紀委員はこうやって抜き打ちで持ち物検査をすることがあります。

 滅多にないそうですけど、以前に危険物を持ち込んだ生徒が居たらしいです。


 まあ、別に見られて困るような物は置いていないので構いませんが。

 レイさんも部屋に持ち込んでいるのは着替えや最低限の生活用品くらいのはずです。

 例の黒いマスクは自分で持っているでしょうし。



「ふえっ? な、何かあったの?」


 部屋にフレネイアさん達が入ってきたことで姉さんが驚いています。

 ワタシは姉さんに事情を説明しました。


「ああ、そういうこと······。でもあの仮面の人とレイ君は関係無いと思うけど······」


 姉さんは仮面の男の正体を知りませんからね。

 ワタシも正体を知った時は驚きましたからレイさんと仮面の男を結びつけることはないでしょう。



 フレネイアさん、フェニアさん、リーフィさんが部屋に入りそれぞれチェックしています。

 とはいえ当然ながら何も出てきませんが。

 ちなみに見られたら少々説明が面倒なオリハルコン製の杖などは収納魔法で仕舞っているので問題ありません。



「······これはレイっちの着替え······!」


 リーフィさんがタンスを開けて中を探っています。そこはレイさんの着替えが入っている場所ですね。


 レイさんとは同じ部屋で過ごしていますけど、当然ですが衣類などはそれぞれ別々に保管、洗濯をしています。

 どういう下着を持っているかなどもちろん知りません。


 フレネイアさん、フェニアさんも興味津々にリーフィさんの後ろから覗き込んでいます。

 ついついワタシも便乗してしまいました。

 姉さんは恥ずかしそうに遠くから眺めているだけです。


 ············ほう、レイさんは結構な種類の下着を持っているのですね。

 派手な物はありませんが実に興味深いです。

 しかしここに入っているのは普通の物ばかりで()()()姿()の時に身につけているような下着はありませんね。


「ほうほう······男性はこういう物を身につけているのですか」

「ちょっとリーフィさん、はしたないですわよ!?」

「そういうフェニアさんこそ身を乗り出しすぎですわ!」


 ············持ち物検査をしているのですよね?

 これでは人の着替えを漁る変態集団にしか見えません。まあ、ワタシもその集団の一人に入っていますが。




「············何をしているのかな?」


 そんな声が聞こえてきてワタシ達は正気に戻りました。声の主はレイさんです。

 いつの間にか帰ってきていたみたいです。

 衣類の入ったタンスを漁るリーフィさん達を見て何とも言えない表情をしています。


 リーフィさん達は慌てて手にしていた衣類を仕舞います。今更遅い気がしますが。


「······コホン。レイっちに話があったのですが今日は日が悪いので失礼するのですよ!」


 リーフィさんが咳払いをして今のをなかったことにしました。

 フレネイアさんとフェニアさんは恥ずかしそうに、そして申し訳なさそうに頭を下げています。


 リーフィさん達は逃げるように去って行きました。さすがにあんなことをした後にレイさんに話を聞くのは気まずかったようです。


「なんだったんだ、一体······?」


 取り残された形となったレイさんが首を傾げています。


「レイさんが原因ですよ」


 ワタシはレイさんに三人が来た事情を説明しました。理由を聞いてレイさんは頭を抱えています。



 このまま放っておくとリーフィさん達が何をしてくるかわかりませんね。

 リーフィさんは取材と称して結構強引な行動を取ったりしますし、そこにフレネイアさんとフェニアさんの協力が加わったらどうなることか。



 これは一騒動ありそうな予感がしますね。




今回の閑話は全4話になる予定です。

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