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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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303 魔王軍幹部ギュラン

 リイネさんとグレンダさんが隣国の首都の外壁を駆け上がり、町の外に飛び出してしまった。

 オレもすぐに二人の後を追った。


 壁を駆け上がるなんて、漫画やアニメの中だけのことかと思ってたけど、意外と出来るものだな。

 外壁のてっぺんまで登ると、外の様子が一望できた。


 景色を埋め尽くすほどの魔物の大群が集まっている。前回の襲撃は、本当にほんの一部だったようだな。



「これは圧巻だな。フフッ······腕が鳴る」

「リイネ様、あまり無茶はしないよう、お願いします」

「そう言うな、グレンダ。最近まで冥王関連の事務作業ばかりだったからな。たまには思い切り、身体を動かしたいんだ」


 リイネさんは魔物の軍勢を見て不敵な笑みをうかべ、グレンダさんはそれを窘める。

 どうやら冥王の後始末に追われて、ストレスが溜まっていたみたいだ。


 リイネさんはオリハルコン製の細剣(レイピア)、グレンダさんは剛剣をそれぞれ構えて、外壁から飛び降りた。

 オレも魔剣ヴィオランテを取り出して、二人に続いた。



「「「グウウウッ······」」」


 地上に降りたオレ達に、一斉に目を向けてくる魔物達。様々な種類の魔物がいるが、平均レベル50くらいかな。


 数はこっちの方が多いが、学園地下迷宮で戦ったゾンビ軍団に比べたら、迫力もレベルも足りない。


「烈風牙突塵っ!!!」


 リイネさんが先陣を切った。

 凄まじい突きの連打で、魔物を打ち倒していく。


衝破斬(しょうはざん)っ!!!」


 グレンダさんもリイネさんを守る位置に立ちながら、剣技で魔物を蹴散らしていった。

 レベル400を超えている二人に、レベル50前後の魔物が相手になるはずもなく、面白いくらいに次々と魔物が吹き飛んでいっている。


 オレも剣技や魔法を駆使して、二人の無双に加わった。




「な、何者なんだコイツラぁっ!!?」

「ば、化け物か······!?」


 魔物の群れに混じって、魔人族と思われる奴らの姿が見えた。無双するオレ達を見て、驚きと怯えの声をあげている。


「相手はたった三人だ! 魔物共、一斉にかかれぇっ!!」


 魔人族の一人が魔物達に指示を出した。

 やはり魔物は完全に魔人族(こいつら)に統率されているみたいだな。

 だったら統率している奴を倒せば解決するかな?


 雑魚が何体束になってかかってきても、リイネさん達は問題なく蹴散らしている。


「ハハッ、どうした魔王軍!? これならば学園地下を巣食っていたアンデッドの方が、よほど手応えがあったぞ!」


 リイネさんはまったく疲れる様子も見せず、楽しそうに魔物を倒していく。

 事務作業とやらで、相当にストレスが溜まっていたみたいだ。


 グレンダさんは表情を引き締め、一切の油断を見せずにリイネさんに続いていく。

 これ、二人だけでも魔物を全滅させられそうな気がする。




「どけどけどけぇーーっ!! なんなんだよ、てめえらは!?」


 魔物の群れの中から一際、大柄な魔人族が前に出てきた。

 身長2メートルは超えていそうな巨体で、なかなかに迫力がある。


「ギュラン様っ、お願いします!」

「人族どもっ、調子に乗るのもここまでだぁ!!」


 周囲の魔人族が勝ち誇った笑みをうかべた。

 なるほど、この大柄の魔人が魔王軍幹部のギュランって奴か。



[ギュラン] レベル210

〈体力〉41500/41500

〈力〉7250〈敏捷〉5800〈魔力〉3600


〈スキル〉

(魔王の加護〈大〉)(魔人化)(自己再生)

(身体強化〈大〉)(咆哮)(力強化)(統率)



 ············あれ? なんか思ってたより弱い?

 いや、レベル200を超えているし強敵には違いないんだけど、これじゃあリイネさん達の半分のレベルでしかないぞ。


「俺様はギュラン! 蹂躙されるだけの人族(ゴミども)の分際で生意気な抵抗を見せおって、楽に死ねると思うなよ!」


 やっぱりコイツがギュラン、魔王軍幹部みたいだな。確かに周りの魔物や魔人族は、レベル100を超える奴すらいない。

 コイツが飛び抜けて強いのは間違い無さそうだけど、正直拍子抜けなんだが。

 これじゃあ学園地下迷宮で戦った、冥王の眷属の方が強いんじゃないか?



 まあ、漫画やアニメの主人公みたいに強い奴と戦いたいとか思ってるわけじゃないから、敵が弱いに越したことはないんだけど。


 それにコイツ、(魔王の加護)や(魔人化)とかいう見たことないスキルを持っている。

 多分ステータス以上の強さはあるはずだ。

 アイラ姉がいたら、油断は禁物だと言うだろう。


「お前が魔王軍幹部か。わたしはアルフィーネ王国第二王女リイネだ!」

「アルフィーネ王国? この国は確かフレンリーズとかいう名じゃなかったか? まあ、そんなことはどうでもいいか」


 ギュランがリイネさんを見て、下品な笑みをうかべる。なんだか大ボスというより三下みたいな雰囲気だな。

 周囲の魔物や魔人族は、オレ達を円状に囲んで逃さないつもりだ。


 オレとグレンダさんもリイネさんの隣に立ち、構える。


「ギュランとやら、わたしと一対一で勝負しろ! 魔王軍幹部の実力、この身で確かめさせてもらう。レイ、グレンダ、手出しは無用だ」


 リイネさんはギュランと一騎討ちするつもりだ。

 レベル的にはリイネさんの方が上だけど、大丈夫かな?

 それに、果たしてギュランが一騎討ちに応じるか。


「ギャハハハッ!! 貧弱な人族、それも女が俺様と勝負だと? 面白え、そのキレイな顔をぐちゃぐちゃにして泣き叫ばせてやるぜ!」


 普通に応じてきた。

 そして、なんか大丈夫な気がしてきた。

 いちいち言動が三下だな、コイツ。

 コイツは鑑定魔法が使えないのかな?

 使えるなら、リイネさんの実力に気付けるはずだが。



 まあ、とはいえ腐っても魔王軍幹部だ。

 いつでもリイネさんを援護できるように構えておこう。





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