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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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302 魔王軍の襲撃再び

 キリシェさんからアイラ姉に、幻獣人族の里に魔人族が現れたという内容の念話が入った。

 キリシェさんや幻獣人族の長やフウゲツさん達はレベルが高く、大抵の敵は問題ないはずだ。


 そんなキリシェさんが手強いというのは、相当ヤバい敵なんじゃないか?


「キリシェにしては珍しく、余裕のない口調だったからな。私は一度幻獣人族の里に戻り、様子を見てくる」


 キリシェさんの余裕のない口調というのが想像つかないんだけど。

 アイラ姉は一度転移魔法で、幻獣人族の里に戻るつもりだ。


「アイラ姉、オレも一緒に行こうか?」


 転移魔法を使えば幻獣人族の里に戻ることも、再びこっちに来ることも簡単だ。


「いや、レイは残った方がいいだろう。こちらも、今は落ち着いているとはいえ、いつ敵の襲撃があるかわからん」


 それはそうかもだけど、里に残っている皆も心配なんだが。


「最悪の場合は、私が皆を連れて里から避難させるつもりだ。それとも私だけでは不安か?」


 アイラ姉なら、どんな敵が現れてもどうにでもなる気がするな。

 それにアイラ姉だって、引き際は心得ているはずだ。自分の手に負えない相手だと判断したなら、迷わず逃げを選択するだろう。

 アイラ姉が手に負えない相手というのを想像したくないが。



 同じく、里にいるミールからは特に連絡は来ていない。なら、そこまで心配する必要はないのかな?


「わかった、里の方はアイラ姉に任せるよ」

「ウム、任されたぞ。レイは、リイネ達やこちらの国のことを頼んだぞ。私も事が終われば、すぐに戻ってくるつもりだ」


 そう言ってアイラ姉が転移魔法を使い、幻獣人族の里に戻った。

 この場には、オレとリイネさんだけが残された。


「アイラが行ったのなら問題ないだろう。余計な心配は無粋というものだ」


 リイネさんが言う。

 確かにアイラ姉は、オレなんかに心配されるようなタマじゃない。

 里のことはアイラ姉を信じて、オレはこちらの問題を解決に全力を注ごう。










――――――――――!!!!!



 アイラ姉が里に戻りしばらく経った頃、突然轟音が響いた。

 魔王軍の襲撃か?

 城の兵士達が慌ただしく動いている。



「魔王軍が現れ、町の入口の門を攻撃しているらしい」


 リイネさんが兵士達から情報をもらってきた。

 やはり魔王軍が来たのか。

 町の入口から城まで音が聞こえるとは、相当激しい攻撃だな。


 けど、町の外壁はアイラ姉が直したからな。

 素材にオリハルコンも混ぜているから、簡単には壊せないはずだ。




 オレ達はすぐに町の入口まで向かった。


「リイネ様、レイも来たか。······アイラ殿はどうした?」


 入口の門の前には聖女アルケミアやグレンダさん、そして騎士団がすでに構えていた。

 グレンダさんに、アイラ姉は一度里に戻ったということを話した。


 エネフィーさん率いる隣国の兵士達も駆けつけてきた。


「外には、かなりの数の魔物の軍勢が集まっているみたいですわ」


 アルケミアが言う。

 ここからでは外の様子は見えないが、音を聞く限り、かなり激しく攻撃しているのがわかる。



 外壁の上から、ワイバーンが姿を見せた。

 外壁を飛び越え、町に侵入するつもりだ。

 だが見えない壁に阻まれ、ワイバーンが弾き落とされた。


 どうやら外壁の上部分には、結界と魔法障壁が張られていて、敵の侵入を防いでいるようだ。

 さすがは城塞都市と言われるだけあり、空からも魔物は簡単には侵入できないみたいだ。



「敵軍の中にギュランと名乗る、魔王軍幹部の魔人を確認しました!」


 遠見の魔道具を使い、外の様子を確認した兵士が、そう報告した。

 どうやら幹部が直々に攻めてきたようだ。

 エネフィーさん達、隣国の面々が緊張した表情をうかべている。


「ほう、魔王軍幹部が直々に······か」


 リイネさんはそれを聞いて、獰猛な笑みをうかべていた。やっぱり、リイネさんは戦闘狂かもしれない。


「エネフィー、裏門はどこだ? さすがにこの状況で、正門を開けるわけにはいかないだろうからな」

「まさか、外に出るつもりですの!? リイネさん」


 町の外に出ようとするリイネさんの言葉を聞いて、エネフィーさんは驚きの声をあげる。


「このまま黙って見てるわけにもいかないだろう? ならば、こちらからも奇襲をかけるべきだ」


 確かにリイネさんの言うことにも一理あるな。

 まだ外壁が壊れる様子はないが、何もしなければ時間の問題だろう。


「それはそうですけど、幹部が直々に来ているのですよ!? 正面から戦っても返り討ちに合いますわ! ここは外壁を破られるまでに罠を張り、この場で迎え撃つべきですわ」


 なるほど、エネフィーさんも何も手を考えていないわけじゃないのか。

 だが、町の中を戦場にするわけにはいかないと、リイネさんも引かない。



「ならば、わたしが先行して敵の戦力を確認しよう。レイ、グレンダ。ついて来い!」


 言うやいなや、リイネさんが外壁を駆け上がり、あっという間に町の外に飛び出して行ってしまった。

 町を覆う外壁の高さは相当で、普通ならそんなことは出来ない。


 だがレベル400を超えているリイネさんの筋力ならば、容易いことだった。

 結界や魔法障壁も外からの侵入を防ぐためのもので、中から外に出るのは問題ないらしい。


 ありえない光景を目にして、エネフィーさん達が絶句している。


「まったくリイネ様は······。レイ、私達もリイネ様に続くぞ!」


 グレンダさんもリイネさんを追って、外壁を駆け上がった。

 しょうがない、オレも行くか。



 オレも二人を追って、町の外に飛び出した。


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