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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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301 隣国の人達との交流

 リイネさんとアルケミアが、オレとアイラ姉のことを紹介してくれたので、隣国の王様達にすんなり受け入れてもらえた。


 一応、オレ達は特殊なスキルを持った冒険者として紹介してもらった。

 異世界人だということを話すかどうかは、まだ様子見だ。



 異世界についての情報を持っているかもわからないし、まだお互いに人柄もよくわかってないしな。

 第一印象としては、国王もエネフィーさんも悪い人には見えないが。



 まあ、そういった話よりも、まずは魔王軍をどうにかしないとな。

 聖女のアルケミアは神殿騎士団と一緒に町を回って、人々の不安を取り除いている。

 グレンダさんと王国騎士団は、この国の兵士達と魔王軍とのこれからの戦いに備えての作戦会議をしていた。




 そしてアイラ姉とエネフィーさんは、模擬剣を使っての手合わせをしていた。

 アイラ姉の実力を自身で確かめたかったのと、オレ達の持つ成長促進スキルの効果を見たかったとのこと。


 オレとリイネさんは二人の試合を見学している。

 国王や一部の兵士達も興味を持ったようで、一緒に見学していた。


 エネフィーさんの戦闘技術はかなり高いみたいだ。無駄のない動きで、アイラ姉と打ち合っている。

 初めて会った頃のリイネさんと、どっちが強いかな?


「······信じられませんわ。こんなにも早くレベルが上がるなんて」


 アイラ姉と手合わせをしている内に、エネフィーさんのレベルは38まで上がっていた。

 魔物を倒さなくても、こういった模擬戦をすればレベルアップするんだよな。

 この場にシノブも居れば、もっと上がっていただろうな。今はオレとアイラ姉のスキルの効果しかないから、獲得経験値200倍だ。

 それでも充分過ぎる効果だけどな。


「それに、あなたの剣の腕、只者じゃありませんわよ。冒険者と言ってましたけど、名が売れていないとは思えませんわ」


 アイラ姉はレベルに関係なく、剣の腕は超一流だからな。元の世界でだって、大会優勝経験者だ。

 エネフィーさんが尊敬の眼差しで、アイラ姉を見ていた。


「フム、エネフィー殿こそ、迷いない太刀筋で洗練されている印象だ。剣術はリイネよりも上なのではないか?」


 アイラ姉の言葉に、エネフィーさんが得意そうな表情を見せる。

 それを黙っていなかったのはリイネさんだ。


「いや、待てアイラ。確かにエネフィーの剣の腕は認めるが、わたしだって負けてはいないぞ」

「見苦しいですのよ、リイネさん。以前に手合わせした時だって、私が勝ち越したじゃありませんか」

「あの時はあまりに激しく打ち合ったせいで、途中で止められたからだろう」


 エネフィーさんとリイネさん、お互いに対抗心を燃やしているな。

 仲が良いのか悪いのか。

 アイラ姉はそんな二人を微笑ましく見ている。


 というか激しく打ち合ったって······。

 二人とも王女だよな?

 ずいぶんと好戦的な王女様だな。

 護衛の人達が、そんな二人を必死に止めているところが想像できたぞ。






「レイさん、あなたとも手合わせしてみたいですの。お相手してくださるかしら?」


 エネフィーさんが、今度はオレと手合わせしたいと言ってきた。

 アイラ姉とあれほど激しく打ち合った後なのに、元気な人だな。

 オレはアイラ姉ほどの腕はないけど、いいのかな?



 というわけで、オレもエネフィーさんと軽く手合わせをした。

 その間、アイラ姉は他の兵士達にも手合わせを申し込まれていた。





「アイラさんといい、貴方といい、信じられない腕前ですわね」


 軽くと思っていたのだが、結構な時間打ち合っていたな。エネフィーさんの剣技はリイネさんやグレンダさんとは違うタイプだったので予測がつかず、なかなか楽しかった。


 ちなみにオレとの手合わせで、エネフィーさんのレベルは45まで上がっていた。

 わずかの時間でずいぶんなレベルアップだ。

 オレとアイラ姉のレベルは1000近いから、ただの模擬戦でも得られる経験値が大きいようだ。



 アイラ姉と手合わせした兵士達も、レベルが+10くらい上がっていた。

 魔王軍に追い詰められて絶望していた隣国の人達も、今は希望に満ち溢れた表情だ。


「成長促進スキルとは聞いていたが、これほどとは驚きだな······」


 レベルアップしたエネフィーさんや兵士達を見て、国王も驚いている。


「フフッ、二人のおかげで我が国の騎士達も、以前とは比べ物にならないほどに力をつけましたから」


 リイネさんが得意気に言う。

 オレ(とシノブ)は正直、騎士達のレベルアップにはそれほど関わってないんだよな。

 ほとんどがアイラ姉の働きによるものだ。





 国王との顔合わせも終わり、ひとまず自由時間となった。

 オレ達の力を知ったためか、待遇が少し過剰になった気がする。

 まあ、漫画やアニメなんかでよくある、よそ者や部外者を蔑むような状況なんかよりはいいけど。


「フフッ、エネフィー達の驚き具合はなかなかだったな。わたしもだいぶ慣れてしまったが、お前達の力はやはり規格外だな」


 リイネさんが言う。

 あれからエネフィーさんや兵士達が、オレ達ともっと手合わせしたいと騒ぎになりかけ、大変だったからな。

 今は少し落ち着いているが。

 やっぱり強くなれるのなら皆、強くなりたいと思うものだよな。


「······? どうしたんだ、アイラ?」


 リイネさんがアイラ姉に問う。

 アイラ姉は片手を耳に当て、真剣な表情をしている。あの仕草はおそらく念話をしている時のものだ。

 アイラ姉と念話できる人物は、キリシェさんしかいないはずだが。


「············キリシェから念話が入った。緊急事態のようだ」


 やはりキリシェさんとの念話だったか。

 現在、キリシェさんは幻獣人族の里に滞在している。緊急事態って······神樹の迷宮攻略で何かあったのかな?


「里に魔人族とやらが現れたらしい。それもかなり手強いとのことだ」


 アイラ姉が真剣な表情のまま言った。

 こっちが落ち着いたと思ったら、今度は幻獣人族の里が魔王軍の襲撃を受けているのか?



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