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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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292 その頃の迷宮攻略組

(ミールside)


 レイさんとアイラさんが、魔王軍に襲われている国の救援に向かうことになったそうです。

 ワタシもレイさん達について行きたかったのですが、遊びではないと断られました。

 残念ですけど、まあ仕方無いですね。



 お二人がいない間は、転移魔法を使えるのがシノブさんだけになってしまうので、迷宮攻略が思うように進めなくなります。

 改めて転移魔法の規格外さを思い知らされますね。


 転移魔法が無いと、全300階層という広大な迷宮を最初から、一気に攻略しなければならないんですから。

 そもそもレイさん達の探知魔法が無ければ、迷宮の構造の把握も難しいのですけど。


 転移魔法に探知魔法······。

 ワタシも使えるようになりたいですね。

 今度、エンジェさんにでも教わってみましょうか。





 神樹の迷宮にはシノブさんとフウゲツさん、スミレさん、ユヅキさんの四人が現在、攻略に向かっています。

 ワタシを含む、他のメンバーはお留守番です。

 姉さんはミウネーレさん達と、幻獣人族の里の人達と交流中です。


 ワタシは今、一人で神樹の下まで来ています。

 さすがに一人で迷宮に入るつもりはありませんよ。


「なんじゃ、エルフのミール嬢ちゃんだったか」


 神樹を見上げていたら、幻獣人族の長のゲンライソウさんに声をかけられました。


「すみません、ゲンライソウさん。許可なくここに来るのはマズかったでしょうか?」


 神樹の周りは、幻獣人族でも限られた人しか近付けないんでしたね。

 見張りの人がいるわけでもなかったので、すっかり忘れていました。


「いや、今更じゃしそれは構わぬが、何をしておるのかと思っての」


 許可をもらわずに来たことは問題無いみたいです。何をしていると言われても、正直なんて答えればいいかわかりませんが。



 この神樹······グランフォネストという名前でしたっけ?

 エルフの里にある、世界樹と呼ばれる大樹にそっくりなんですよね。

 エルフの里では、あまり良い思い出はないのですが、なんだか懐かしくなってしまったんです。

 世界樹の下は父様と母様と一緒に行ったことのある、思い出の場所ですから。



「神樹はもともとは、この場所にあったものではなく、当時の勇者がどこからか持ってきた種を植えたら育ったものじゃ。ひょっとしたらエルフの里にあるという、世界樹の種なのかもしれぬな」


 そのことを話すと、ゲンライソウさんがそう教えてくれました。

 神樹はまだ樹齢2〜300年ということですか。

 エルフの里の世界樹は何千年だか何万年前からあると聞いていますが、それと比べると神樹の歴史はまだ浅いのですね。







 ついででしたので、ゲンライソウさんに色々と昔話を聞きました。

 当時の勇者はなかなかに破天荒な人物だったみたいで、数々の武勇伝(?)を聞かせてもらえました。



 幻獣人族の里にある温泉施設も、当時の勇者が作ったものだったようです。

 女湯を覗いて仲間から袋叩きにされるって······。

 勇者というより、ただの変質者ですね、それは。


 レイさんが女湯を覗こうとするところは、ちょっと想像出来ないですね。

 当時の勇者のように覗きに来れば、むしろ歓迎するのですけど。



 そんな少し情けないエピソードがありますけど、やはり勇者の名は伊達ではなく、当時の幻獣人族のために色々と頑張っていたようです。

 今の自分達がこうして平和に過ごせるのも勇者のおかげだと、ゲンライソウさんが懐かしそうに言いました。









 ある程度話を聞いて、ワタシは神樹の下を去りました。ゲンライソウさんは、まだ神樹の下に残ってやることがあるそうです。

 神樹の実の回収でしょうか?



 ワタシはこの後どうしましょうかね。

 特に予定はありませんし、姉さんでも連れて、またクラントールの冒険者ギルドにでも行きましょうか。





 戻ってきたら姉さんとミウネーレさんが、里の住人と仲良く雑談しているのが見えました。

 姉さんは他人と話すのは苦手ですけど、幻獣人族の里の住人とは、結構打ち解けられています。

 住人達も良い人ばかりですし、本当に居心地の良い里です。


「あ、ミール。どこ行ってたの?」


 姉さんがワタシに気付いてそう言ってきたので、神樹を見に行っていたと答えました。

 どうやらワタシが一人で迷宮に潜ったのでは、と心配していたみたいです。

 いくらなんでも、そこまで無謀じゃありませんよ。


「まだシノブさんやフウゲツさん達は迷宮から戻ってこないでしょうし、クラントールの冒険者ギルドにでも行きませんか?」

「いいですねー! あたしもついて行っていいですかー?」


 ワタシの言葉に姉さんは迷い顔でしたが、ミウネーレさんは賛成してくれました。

 女だけで治安の良くない町に行くのは危険なことですけど、ワタシ達のレベルを超えるような荒くれ者はまず、いないでしょうから。


 それにディリーさんやアトリさん達のおかげで、冒険者ギルドの人達は結構まともになってきています。



 そんなわけで、ワタシと姉さんとミウネーレさんの三人で、クラントールの町に向かいました。



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