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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑥ 8 灼熱の守護者

――――――――(side off)――――――――


 結界内でユウ達は、しばしの休息を取っていた。

 テリア、ミリィ、マティア、そしてジャネンは可愛らしく寝息を立てていた。

 ユウだけは寝ずに見張りをしている。


 もっとも、この結界はそれなりに強力な物なので、ユウも最低限の見張りをしながら、休息を取っている。



 ジャネンも普通に振る舞っていたが、本調子にはまだ程遠いようで、しばらくすると完全に熟睡していた。

 ユウの言うように、無理に普通に振る舞っていたようだ。







「············ラドゥス様······。()()()を······捨てないで······。どうか······お側に······」


 寝言なのか、ジャネンがそんな言葉を口にしていた。目には涙も浮かんでいるように見える。


 ユウはジャネンのことをほとんど何も知らない。

 見た目は人族と大して変わらない少女が、いくら冥界の神の指示とはいえ、何故一人で故郷の冥界を出てこんなことをしているのだろうかと、ユウは疑問に思った。







 休憩に入ってから四時間が経ち、結界の魔道具の効果が切れた。

 ユウは全員を起こして、迷宮攻略を再開した。


「結界を解くとやっぱり暑いわね······」

「早くこんな迷宮、攻略して消しちゃいましょうよぉ」

「············」


 テリアが周囲の熱気を浴びて汗を拭う。

 ミリィとマティアも同様にかなり暑そうだ。


「最奥は案外近いかもしれん。このまま一気に攻略してしまおう」


 ジャネンはすでに普段通りに戻っていた。

 ユウは先ほどの寝言は聞かなかったことにした。





 溶岩が湧き出る迷宮を進んでいく。

 休憩を取ったため、ユウ達の動きが格段に良くなっていた。

 暑さにも多少は慣れてきているようだ。



 先ほどの炎竜の同種や、マグマフィッシュ(溶岩の中に生息する魚のような魔物)など、多数の魔物がユウ達に襲いかかってきたが、すべて撃退していく。


 魔物の強さ自体は、ユウ達の脅威になるほどではなく、さほど苦戦することもなく、順調に進んでいく。

 やはり最大の敵は、この焼け付くような熱気だった。







「どうやら、この先が迷宮の最奥のようだな。(それがし)の(千里眼)で見る限り、その先に道はない」


 ジャネンが言い、ユウ達が一度立ち止まる。

 思いのほか早く、最奥までたどり着けたようだ。


「思ってたより浅かったのね、この迷宮」

「いや、おそらく迷宮に直接取り込まれたために、深い階層に落ちたのだろう。入口から攻略していれば何日がかりにもなっていたはずだ」

「こんな暑い所に、何日もいるなんてゴメンですよぉ!」


 この先が最奥と聞いて、テリア達が一息つく。

 水分補給を取り、体調を万全にした。



「············つよいけはいがする。ふつうのまものじゃない」


 マティアが下に続く道を見て言う。


守護者(ガーディアン)って奴かな? どんな魔物なんだろう。そいつを倒せば迷宮は消えるんだよね」

「迷宮の守護者(ガーディアン)は他の魔物とは比較にならないくらい強力なはずだ。油断はせぬことだな」


 ユウは緊張しているわけではなく、むしろ楽しみにしている感じだ。

 緊張感のないユウに、ジャネンは警告を出す。


「大丈夫ですよぉ、ミリィ達ならきっと楽勝ですぅ!」

「あはははっ、そうだね、ミリィ」

「まったく、ジャネンもこう言ってるんだし、二人とも少しは緊張感を持ちなさいよ」


 テリアもユウとミリィに苦言を呈した。

 とはいえ、ここまでの魔物も楽に倒せてきたので、迷宮の守護者といえど、脅威になるほどではないだろうとテリアも思っていた。





 準備を整えて、ユウ達は道を下りていく。

 たどり着いたのは、今まで進んできた所よりも広大なフロアだった。


 周囲は間欠泉のようにマグマが吹き出し、フロアは広大だがユウ達が立てる足場が少ない。


「とんでもない所に出たわね······。守護者(ガーディアン)はどこかしら?」

「マグマの中に潜んでいるんじゃないですかぁ?」


 溶岩に落ちないように、全員がしっかりと足場を確認し、守護者の姿を探す。


「あれは何かな? なんか薄く光ってるけど」


 フロアの中心部にユウが光る何かを見つけた。

 手の平くらいの大きさの光が、フワフワと浮いていた。


「あれは············もしや精霊か? だが、妙な気配が······」


 ジャネンが謎の光を見て、警戒を強める。


「精霊って目に見えない決まった形を持たない生命······だっけ?」

「ユウ、まだ正体がわからないんだし、近寄ったら危険よ」

「あれが守護者ですかねぇ?」


 ユウ達が立ち止まり、様子を伺う。

 謎の光はユウ達の存在を認識したように動き、周囲を旋回したと思うと、溶岩の中に潜っていった。



――――――――――!!!!!



 溶岩が盛り上がり、巨大な人型の姿となった。

 全身がマグマで形作られた灼熱の巨人だ。


「············くる」


 マティアが構える。

 ユウ達も戦闘態勢に入った。



 灼熱の巨人はユウ達に襲いかかってきた。


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