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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑥ 7 休憩中の雑談

――――――――(side off)――――――――


 周囲に結界を張り、ユウ達はしばらく休憩することにした。


「ねえ、ジャネン。冥界の神様ってどんな人なの? ジャネンは会ったことあるの?」


 休憩中の雑談で、ユウがそんな話を振った。

 ジャネンは話そうか一瞬迷った反応をしたが、すぐに口を開いた。


「······会ったことはある、というより冥界に限定されるが、この世界に顕現されている」

「へえ〜、じゃあ冥界って所だと普通に神様に会えるんだ」

「簡単に会える方ではないが、まあそうだな」


 ジャネンの話では、冥界の神は人族などで言うところの国王のような存在らしい。

 頂点に冥界の神が立ち、六柱の冥王が秩序を保っているそうだ。


「我が神は尊敬できる偉大なお方だ。············少々、問題ある方でもあるがな」

「冥界ってどんな所なんだろ。ぼくも行ってみたいな」

「人族が来るのはあまり勧めんぞ。通常とは環境が異なるからな」


 ユウは冥界に興味を持ったようだ。

 ジャネンが呆れた声を返す。



「けど、ジャネン一人に邪気集めをさせるなんて、あのテュサなんとかっていう冥王も言ってたけど、ずいぶん人使いが荒いんじゃないかしら? 冥界の神様って」


 テリアが言う。


「本来はアジュカンダスという冥王の役割だったのだが、とある人族と衝突して討たれてな。(それがし)にその役割が回ってきたのだ」

「冥王が人族に討たれたんですかぁ!? 信じられませんねぇ」


 ジャネンの言葉に驚きの声をあげるミリィ。


「冥王って強いの?」

「アジュカンダスは神将ナークヴァイティニアと同等の強さくらいだったはずだ。特異点の変換儀式で、多少は弱体化していたかもしれんが」


 神将と同等の強さの冥王が討たれたと聞いて、ユウ達が驚く。

 神将ナークヴァイティニアは、ユウが神剣の力を無理に引き出したからなんとか勝つことができたが、それがなければ今のユウ達でも勝利は難しいだろう。


神将(あんなの)と同じくらいの強さの奴を倒すなんて、どんな人なのよ······」


 テリアか身震いしながら言う。

 神将ナークヴァイティニアは、テリアにとっても恐怖を覚えるほどに強敵だった。


「戦いの詳細は某は知らないが、ユウの持つ聖剣の前の持ち主、レイという人族が関わっていたはずだ」

「あ〜、あの常識外れの人間ですかぁ」


 ジャネンの言葉にミリィが納得したように言う。


「やっぱり、あの人ってすごく強いんだね」

「そうね。初めて会った時はレイさんやアイラさんみたいな強さが外の世界の普通かと思ったけど、やっぱりあの人達は飛び抜けてすごいわよね。先日、攻めてきたバルフィーユとかいう魔人族にだって、レイさんは一人で有利に戦っていたし」


 ユウとテリアが改めて、恩人達の強さを思い出す。


「······ちょっと待て、今バルフィーユと言ったか? まさかバルフィーユが攻めてきていたのか?」

「バルフィーユ? 誰それ?」


 ジャネンが聞き捨てならないとばかりに言う。

 その横でユウは首を傾げている。


「ユウとジャネンは眠っていたから知らないのよね。今言ったバルフィーユって魔人と小さな女の子が、たった二人でお城に攻めてきたのよ。わたし達や聖女セーラ様達、エンジェさんやリュガントさんも入れて総がかりで迎え撃ったんだけど、まるで相手にならなかったわ······。けど、レイさんが一人で戦って追い返しちゃったのよ」


 テリアが事情を説明する。

 ユウは自分の知らないところで、そんなことがあったのかと驚いている。


「······信じられん。バルフィーユは神将の中でも最強の戦闘能力を持つほどの奴だ。冥王達ですら、迂闊には手を出そうとはしない。いくら勇者とはいえ、単身で奴と渡り合える人族がいるとは······」


 ジャネンが言うには、バルフィーユの実力はナークヴァイティニアを軽く上回るはずだとか。

 実際戦ったテリアやミリィもそれに同意していた。


「一体何者なんですかねぇ、あの人族ぅ」

「お前達も、あの男のことを知らないのか?」

「わたし達も前にお世話になっただけで、詳しい素性は何も知らないわ」


 テリアも恩人達については何も知らない。

 ただ、圧倒的強さを持っているが、それを無闇に振りかざすことをしない。

 悪い人物ではないだろうということくらいだ。





「··················zzz」


 ちなみに、会話に参加していなかったマティアは眠っていた。


「静かだと思ってたら寝てたのね」

「ミリィも少し眠くなってきましたぁ······」


 迷宮攻略でテリア達も疲れが溜まっていたようだ。


「見張りならぼくがやるから、テリア達も眠って休んでていいよ」


 いくら結界内とはいえ全員寝るわけにはいかない。ユウが寝ずの見張りを申し出た。


「ユウ、アンタは疲れてないの?」

「ぼくはずっと寝ていたから眠くないんだよね。だから心配いらないよ」


 ユウに無理をしている様子はない。

 とはいえ、ユウは体調が悪くても表情にあまり出ないのだが。テリアはそれを心配したが睡魔には勝てず、ユウの申し出に甘えることにした。

 テリアとミリィはそのまま横になり、眠りについた。



「ジャネンも少し寝て休んでいいよ」

「いや、某は別に······」

「うまく隠しているつもりかもしれないけど、ジャネン、結構無理してるでしょ? 休める内に休んだ方がいいよ」


 ユウの言葉が図星だったようだ。

 反論しようとしたが、言葉が見つからなかったようで、口をつぐんだ。


「············わかった。某も少し休ませてもらう」


 ジャネンは横にはならずに座ったまま目を閉じた。しばらくすると可愛らしく寝息を立てていた。

 なんだかんだ言って、ジャネンもテリア達と変わらない幼さを感じる寝顔だった。



 ユウは皆が安心して休めるように、見張りをしながら休息を取った。




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